娘は絶対に渡さん! 肇side
今日は、甘夏家主催のパーティへ娘と行くことになった。正直、気乗りはしないがこれも仕事の一環なので仕方なく行った。
私の娘、華美嘉神奈はとても賢い子である。可愛くて、優しくて、賢い。そんな天に二物どころか三物以上与えられた愛らしい娘に、妻も私もデロデロでメロメロだ。
可愛くて仕方がない娘には、ちゃんと守って支えてくれるような人と愛し合って欲しい。
なので、どこぞの財閥の子息など軟弱な野郎には渡したくなかった。
たが、甘夏家の双子が娘に惚れやがった。しかもガチの方で。
あれはもう初心で微笑ましい子供同士の淡い恋愛じゃなくてドロドロした執着愛だろ。
普通十歳未満でドロドロした愛を経験するか? しないだろ。歪みすぎどころじゃないぞ全く。
しかも実の父親も息子達の歪みまくった感情に気付きながらも無視どころか息子を応援してるし。
はあああああぁぁぁ。厄介にも程があるだろ!
今日のパーティーで厄介ごと増やさないように警戒していたが………してやられた。
少しよそ見をしてる間にどっかの金持ちの子息に娘が狙われた。そして一緒に歌っていた。
歌う曲が歌う曲でこれまた非常に面倒臭い事態になった。
その曲が【space of the memory】
伝説の歌手宮寺由羅が作曲をし、その幼馴染である來雷が作詞をした曲である。
この曲のテーマが『約束の再会』なのだ。この曲を歌うということは、その子息はどこかで神奈と出会ったことがあるということだ。
またしても娘に擦り寄る邪魔者が現れた。
私の娘は絶対に渡さん!
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