小さな御伽噺を…え、ドユコト?
私が承諾すると灰兎は、
「宇宙の果て、貴方と〜♪手を重ね、笑い合う♪彗星は一閃、宇宙を駆け抜けた♪」
灰兎は空に手を伸ばし、目をやんわりと細め、小さく口で弧を描く。
「何億年何光年、離れても、この心は繋がってるから、『お別れ』じゃないよ♪」
私も負けずに、かつて愛した世界を思い出しながら、歌う。
…なんて、格好良く言ってるけど、心は戸惑ってる。
何故、灰兎…雷がここにいるのか。そして、私をどうやって見つけたか。
何故、『華美嘉神奈』を『宮寺由羅』だと思ったのか。
まだ、謎の部分が多すぎる。
…そして、何故この歌をチョイスしたのか。
これは楽しい楽しいお話し合い(拳)が必要だな。
ふざけた
変に目立つのは勘弁なんだよ!
私普通!! モブ、じゃないけど少しアホな悪役令嬢元歌手!!
キング・オブ・モブ・キング。
あーゆーおーけー??
てかさ、灰兎もとい雷の見た目分かんなくね?
じゃあこの際言うぜ?
はっきり言って可愛いよりの中性的な容姿。
髪は赤みがかった黒髪ショート。目はくりくりっとした愛らしい灰色。そしてアホ毛。
チャームポイントのアホ毛(二回目)。
…っと、余談はここまでにして。
二つの声が重なり、互いに響き合う。
この曲の名前は【
宇宙の思い出、的な…?
これはね、雷と天体観測した時にビビッと頭にひらめいたやつ。
作詞は雷で、作曲は私。
ずっと離れていても、心は繋がっているよ。
この曲には、そんなメッセージが隠されている。
…今、ピッタリ、だな。
そんなことを考えつつも、口は弧を描き、歌を歌う。
「「星々を巡り〜♪果てまで広がる〜♪この宇宙の無限に懸けて♪次々に命が生まれる♪」」
楽器の音も、ましてや、再会したばかりなのに、何故歌声は重なり、こんなにも心を震えさせるのだろう。
音楽は、人を感動させる力を持つ。
それは、本当なのかもしれない。
私は、音楽のそんな所に惹かれたのだろう。
だって、歌うだけで、自然と笑顔になるのだから。
今ここは、私達の
この場にいる全ての人を魅了させてみせる。
よそ見なんて、許さないわよ?
私だけを、見つめて。
私に、溺れて。
私に、焦がれて。
私は貴方だけの華。
美しく、咲き誇ってみせる。
「「天の川にいる乙姫も彦星も、全て、全て、ここに生まれたの♪星々は輝き、空を照らす♪はじめも終わりも何もかも、ここでなるの♪」」
「「『愛してる』その言葉は、僕を幸せにする♪星を巡り、空を巡り、君と出会い、今ここに居る♪」」
ねぇ、離れ離れになっても、ずっと一緒なら、なんで、巡り合えたんだろう?
何千、何万人といた人間の中から、私を見つけてくれたのって、貴方なんだよ?
何年も前に作ったこの曲を歌うって、相当私に会いたかったのかな?
––––––––私も、会いたかったよ。
また、二人で歌おう。
馬鹿みたいに笑い合って、いっぱい思い出を作ろう?
私が、死ぬまで、死ぬなよ?
死んだら、許さないからな?
美しい男女二人の声。
誰もがその美声に聞き惚れる。
息を吸うのすら忘れて。
小さな
「「星を巡って空を巡って出会いを重ねてきらりと光って夜は終わりを告げる♪今度は朝日が眩しく輝く番だ♪」」
星みたいに、離れ離れになっても、生まれ変わって、また、会えるかな?
そしてさ。
空気になってるお父様達どうすればいいのかな?
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