久しぶり、相棒。

その後話やらなんやらして、ダンスのお時間です。


あ、何気にダンスはじめてかも……。


なんて考えてたらお父様とはぐれちまったこんちくしょう!!


暇過ぎて死にそう。


けどポーカーフェイスが働き過ぎて笑顔張り付いてる。


表情筋が死にそう。


二つの意味で死にそう。


頭の中でパーリーしつつも、暇潰し出来ないかなとキョロキョロを周りを見渡す。


すると聞いたことある歌詞が聞こえてきた。


「空見上げれば、満点の星空〜♪キラリと宝石の如く、星は煌めいて–––––」


自然と、その歌声に合わせるかのように、私の口も、歌を刻む。


「「向かい合わせれば、君と視線が合った〜♪はにかむ笑顔で君はこう言った–––––––『まるで、私達の夢みたい』と〜♪僕も笑った、『そうだね』って♪星々が、僕らを祝福するかのように––––––––」」


その人物は、姿を現して、


「「眩しく輝いた♪」」


その声、顔、姿は、変わらなくて、


優しい笑顔も、相変わらず。


あぁ、久しぶりだわ。


そうでしょう––––––雷。


私の、前世の相棒。


そして、唯一無二の、幼馴染。


「……貴方の、お名前は?」


雷が、口を開く。


昔と、変わらないその声で。


私も、微笑んで、口を開く。  


「–––––神奈。華美嘉、神奈でございます」


自分の名今世の名を、告げた。


「そうでございますか。とても、素敵な名前ですね」


雷は、それそれは麗しい笑みを浮かべた。


私も負けずに、笑みを浮かべ、口を開いた。


「貴方様のお名前を、お聞きしても?」


私の問いに、雷は嫌な顔一つもせず、むしろ嬉しそうな顔で答えた。


ばなかいと申します」


雷–––––時花灰兎は、そう言った。


そこで我に帰る。

 

え、私なにやってんの??


なんで歌ってんの?


てかなんでお前がいるんだよ雷!?


私勢いで何したん??


これまでのことがブワーッと来た(語彙力なんて知らん)。


おいおい相棒何やってんだよ!!


お父様驚いちゃってるよ!!


榑人さん!?何悔しがってんの!?


凛も憐も何悔しがってんの!?


私マジで何やらかした!?


暇過ぎて頭逝っちゃったらこんなことすんのかよマジで!?


まじかよ詰んだ!!


うんまぁ、やっちゃったもんはしゃーねーしね、責任持ってやりますかぁ。


「歌の続きを、お願いしても?」


雷…灰兎は、眉毛を下げそう言った。


でも、やらなくちゃ駄目、だよな……。


私はゆっくりと口を開き、承諾の言葉を口にした。 


「勿論、引き受けますわ」


この時、私と灰兎が恋人であると言う根も葉もない噂が囁かれたなんてことはない。


ただ、熱烈なファンが出来ているとは知らない。

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