パーティへいざ行かん!と言いたかった!


メイドさん達に二時間くらいメイクされてげんなりしてる華美嘉神奈です。


足がもう棒状態なんデスガ……辛たん。


でも、何とかポーカーフェイスで誤魔化しているぜクラメンシス。


「神奈、準備はいいかい?」


お父様が心配そうにこちらを見る。ちなみにお父さんからお父様呼びに変更致しましたぜ。勿論お母様も同様にな!


「ええ。準備万端ですわお父様」


にっこりと笑みを何とか貼り付ける私。偉い、偉いぜ自分…!!


「…それじゃあ、行こうか」


「はいお父様」


お父様と手を繋ぎ、ポルシェ9○○でパーティ会場へ向かった。と言うかこの世界でもポルシェ9○○ってあったんだね!? いや、現代だから当たり前か。








華やかな衣装で身を包む老若男女。美しい音楽が流れ、まるで中世ヨーロッパの舞踏会に来たみたいだ。


私、華美嘉神奈は歩く度に周囲の視線を集める。そりゃ見た目は美形両親の血を引き継いでるからねー。うん。中身は言わないで。


精神年齢二十きゅ……おぅふ。


内心結構荒ぶってるがご安心。ちゃんとポーカーフェイスはバッチシですぜ。


微笑みを浮かべつつ、周囲をちらりと見渡す。


すると一人、ずっとこちらを意味ありげなで見てくるやつがいた。


「………」


警戒しつつも、微笑みは崩さない。えちょ、まじで私令嬢イケてんじゃね? え、前世も令嬢歌手イケたんじゃね?


シリアスクラッシャー? 何それ美味しいの? この小説にシリアスなんてないのさ!


……え、まって行かないで!? ほんのちょっとしたアメリカンジョークだから!?


いや小説とかメタイよ!? いや私キャラクターじゃないんだけどさ!? 生きてるよ!?


って、何一人芝居やってるんだろ………。


ぼんやりとしていたら榑人さん達がいる場所に近い所にいた。


「この度は榑人様、私共をお招き頂き誠にありがとうございます」


にっこりと営業スマイルでお父様は榑人さんに話しかける。


「いやいやこちらこそ。わざわざこんな所まで足を運んで頂いて、光栄です」


榑人さんも負けず劣らずの営業スマイルをうかべている。


ひぇぇ…お金持ちコワイ。って、自分の父親今更怖がってどうすんねん。


さて、凛と憐にも挨拶するか。


「榑人様、凛様、憐様、お久しゅうございます。以前お会いした時よりも一層麗しゅうございますわ」


お父様に見習って私も営業スマイルを貼っ付けた。


「ああ、神奈嬢も。以前よりももっと可憐になられている」


榑人さんは、それそれは麗しい笑みを浮かべ返してくれた。


おーやるなぁと心の中で感激する。


なにぶん前世でそれなり場数を踏んでいるからな、貴族社会も生きられるぜ!


なんて、自画自賛してるけど、所詮は歌手だもんなぁ……。


っとぉ!? あっぶね意識軽く飛ばしてたわ。


「神奈嬢もご機嫌麗しく」


「以前よりももっと美しくなられましたね」


二人共社交辞令が上手いなあ。いや四歳でこうなりたくないけど。


私が四歳の時はガキ大将だったぜお。

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