新たな攻略対象が現れた! ふざけんな!


……いよいよ新たな攻略対象とご対面だ。正直逃げたい。今すぐ。


あぁ、くそっ!めんどーだわっ!何で会わなきゃいけないの!意味分かんない!神様に今度愚痴ろ。


苛立ちを抑え、私は目の前の問題に向かった。


「お久しぶりです。はじめ様。お呼び下さり、ありがとうございます」


お父さんに挨拶してるのは、青みがかった黒髪に翡翠の瞳の美青年。彼は、華美嘉財閥と肩を並べるあまなつ財閥のトップだ。


「いえいえ。こちらこそ、お越し頂きありがとうございます」


お父さんは、穏やかな笑みを浮かべている。


「所で、そちらのお嬢さんが」


「ああ、私の娘の神奈だ。神奈、ご挨拶しなさい」


またですか、面倒臭いですがやりますよ!


「ご紹介に預かりました。華美嘉神奈と申します。以後、お見知り置きを」


淑女の礼をする。


すると、甘夏さんは目を開いてこう言った。


「これは、驚いた。神奈嬢は、随分賢いのですね」


「お褒め頂きありがとうございますわ」


一礼をする。


「あぁ、申し遅れました。私は、甘夏財閥のトップをしております。くれ申します」


ふむ、この人は甘夏榑人と言うらしい。


「この子達は、私の息子達です」


榑人さんが言うと二人の少年が自己紹介した。


「はじめまして。僕の名前は、あまなつりんです」


一人目の少年は、さらさらな茶髪に二重の翡翠の瞳の少年だ。すみがくの攻略対象。


「…あまなつれん。よろしく」


二人目の少年は、榑人さん似の黒髪に翡翠の瞳の少年だ。すみがくの攻略対象。


やばい、緊張感が半端じゃない。


「よ、よろしくおにぇが、お願いしましゅ、お願いします」


緊張し過ぎて、顔に熱が集まる。


まさか、こんな所で失敗するとは…はずいっ!


「……噛んだ」


憐が小さく言ったが私には、大きなダメージであった(精神的)。


「あぁあ、噛んだ事はわしゅれてくだしゃ、また噛んでしまいました」


あわあわしながら、どうしようか焦る。


すると、少年…凛がポツリと言った。


「…真っ赤」


更にダメージが…くそ!こいつら私を殺す気か!(精神的)


「それは、忘れて下さい」


私は二人にズバッと言った。


「「は、はい」」


二人は、戸惑いながらも承諾してくれた。

すっごく悲しいわ。黒歴史確定かもしれん。

オワタ、さよなら、私の第二の人生。


「お見苦しい姿をお見せてしまい、誠に申し訳ありません。これからは気をつけます」


榑人さんと凛と憐に謝罪の言葉を言う。


ここからは、許される、感謝する、お詫びするの、終わりで事が流れて欲しいんだけど。

榑人さんが爆弾を落としてきた。


「いいえ、お気になさらず。ただ、肇様のお屋敷に一度行って見たく…よろしいでしょうか?」


お父さんの方を見て、榑人さんは言う。マジですか。ふざけんなですね。いや。なーに言っちゃてんの、この人。まさか、あそこの二人も?だったら、嫌です!心の中で断固拒否するわ!無意味だけと。悔しい。





そんな私の思いなど知らず、お父さんは軽く承諾した。凛達も驚いてましたよ。分かるわ。でもな、わざわざ着いて来るのはおかしいぞよ。




誕生日パーティーは無事に終わって、榑人さん達の訪問が決まった。









おまけ




「カクカクシカジカと言う訳で、ほんっと疲れた訳ですよ。神様」


『話は分かった。でもいい加減、神様って呼ぶのやめない? 言いづらいでしょ』


「あー、でも名前はなぁ。ネーミングセンスとかないし」


『言いやすい奴でいいよ』


「今度決める! おやすみ!」


『えちょっ? 寝るなよ! ってもう、寝た!? はっや、寝んの。…僕も帰ろ』




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