第13話 つよしといわし

スウェット。こういう時は最強の服だと思う。

幸い俺自身が細身だったことと、変身したあとの女の姿が長身だったこともあって多少のサイズ違いも気にならない。強いて言えば、腰回りが予想以上にでかかったこと、ウェストや手足がめちゃくちゃ細い事、自分の身体とのギャップに今更ながら驚いていた。

「チッ、身体の線が出過ぎなんだよなぁ…」

姉がボソッと呟いた。どうも機嫌が悪い。

正直怖い…


ちいさい頃、姉は勝気な性格だったため、男の名前のあだ名で呼ばれた。

その名は「ツヨシ」

一方いたって普通だったはずなのにそんな姉を持ったために俺につけられたあだ名は

「ヨワシ」

なんの捻りもねぇなと思ったら中学一年の国語で鰯という漢字がでてきて捻りが加わったあだ名は「イワシ」に無事出世した。

ツヨシは中学から進学校に通い、無事ツヨシを卒業したのに、イワシはネタ枠と化し同級生は未だにイワシと呼ぶ。もうなんでイワシなのか覚えているヤツの方が少ない。


ご紹介が遅れました、俺の名前はマサノブです。

「姉さん、女を殴っちゃだめです、事件になります」

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