【地球編】転校生は有名作家
1)
博覧展の会場で、由梨からの不思議な話を聞き終えた飛鳥しおりは、
「そんなことがあったのね。」
としか言えなかった。他にもいろいろと言いたいことはあるのだが
由梨の話を聞いた第一声は、それであった。だから、
「やっぱ。信じられないわよね。」
という由梨の返しも当然と言えば、当然と言えた訳で。
「そういえば、エリスが今の作品を書き始めたのって、この事件の後くらいだったわね」
由梨は思いだしたように、そうぽつんと
2)
由梨から話を聞いた翌日のことである。まさか、彼女が同じクラスになるとはと、しおりは頭を抱えていた。教壇の前には、いつぞやの道を尋ねてきた少女がいた。
サイン会のときに再会して、件の小説の作者だったというときは驚いたものだが、どうやら、今度は留学生として、しおりのクラスに転入してきたらしい。
「えぇ。話は聞いていると思うけど、この度、留学生として当東猫城学園中等部に通うことになったエリス・クロフォードくんだ。この学園では,普通の学生として暮らしたいということで,皆も思うところはあるだろうが,普通に接してほしい。」
なんて、なぜかメイドのコスプレをしてる女性の担任の話があって、彼女は簡単に自己紹介をすると、案の定というか皆の質問攻めにあっていた。有名作家さんなので当然と言えば当然かもしれないが、彼女は嫌がることなく生徒たちの質問に応じてから、私の隣の空席だった席に腰かけた。
「じゃあ、飛鳥ぁ、エリスの面倒を見てあげるように」
「えぇ。かおる先生。無茶苦茶ですよぉ。」
担任が無責任に私にエリスの世話を頼み、その日の一日が始まった。
3)
エリスのコミュ力が高い性なのか、私の日頃の人望が良かったからか、エリスの世話係になった私への風当たりは、さほど厳しいものではなかった。何事もなく放課後まで時が過ぎ、エリスと一緒に行きつけの喫茶店タチバナへ足を向けていると、顔馴染みの高校生バンドが、ストリートライブをしている。たしか,
4)
そのころ,私の姉の
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