【クラフィ編】ドジっ子メイドを拾ったの
1)
その少女のオレンジのショートヘアは,ふわふわで,ハシバミ色の
「あぅぅ~~~」
と
これが,この少女,ドジっ子メイドにして魔女のアニエス・バローと,シャデシャトー王国のニート姫マリーとの出会いだった。
2)
シャデシャトー王国から,西国の東に位置するイオガイア帝国に,国境を
そして,今,三人の女性が,
「ここが,エティエンヌ殿の
と,メイド姿の女性が,村人然とした少女に問いかけている。
「はいな。お婆ちゃんの庵ですぅ。コレット様。」
と,少女,アニエスは,間延びした声で,メイド姿の彼女,コレットに答えた。
どうやら,アニエスは,森に薬草を摘みに行って,迷ってしまっていたらしいが,カーナビ魔法ともいえる位置情報表示型地図展示魔法【アトラ】と,このコレットの機転によって,なんとか自宅であるこの庵まで戻れたのである。
なぜ,そんな便利な魔法が使えるのに,アニエスは道に迷っていたのかというと,彼女はとんでもない方向音痴であることが,コレットとコレットの主人である少女に判明したからで,放っておくと,時空と次元を越えて道に迷うレベルの方向音痴ぶりであった。例えば,普通なら三十分もあれば到着できる距離にある庵まで着くのに,アニエスが向かった先に魔力だまりが
「ようやく,ついたわね。」
と,マリーが疲れたように,二人に語り掛けるのも無理からぬことと言えた。
しばらくして,三人の声を聞きつけたのか庵の中から,アニエスをしゃきっとした感じの銀髪の女性が現れ,
「おやおや。アニエスや。ようやく戻ったかえ。」
とアニエスに声をかけた。
「あ,お婆ちゃん。この二人,薬草のオクトケアが欲しいんだって」
アニエスが声を掛けた,この人物がエティエンヌ・バロー,その人らしかった。
3)
オクトケアというのは,八種の薬効があると言われているハーブのことで,魔女は任意の薬効を,魔法で,このハーブに付与できるという噂を聞きつけて,マリーはやってきたのだった。
「アニエスが,世話になったね。姫さま。」
ひとまずの礼を,目の前に腰かけた身分の高そうな装いの少女に,エティエンヌは告げ,話を切り出した。
「それで,私に何用だい?オクトケアが必要とのことだが。」
と尋ねると,彼女は,こう告げた。
「
エティエンヌ殿。」
その言葉に,エティエンヌは驚愕の表情を浮かべた。
「なんだって!
そう
【つづく】
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