【クラフィ編】ニートな猫姫、爆誕なの
1)
シャエル歴2897年。ブランの月20日_______
創世竜イオが
私の名は、コレット。王都シャエルに建つシャデシャトー城に勤めるメイドであり、今、城の廊下をとある部屋まで歩いていると、前方から歩いてくる姫の家庭教師が
「やあ、おはよう。コレット。今日も、時間通りですな。」
「 おはようございます。ローズモントさん。
シャデシャトーは慣れましたか。」
彼の故郷は、東国にあるクラフィティオナの歴史を管理する騎士【
「 ええ、すっかり。さては、マリー姫の
「 はい。毎朝、毎朝、起こすのに苦労しておりますわ。
では、失礼いたします。」
おほほと笑いながら、ローズモントさんと姫の
***
その立派な調度品が飾られた部屋の中、
そこへ廊下に面した扉から、聞きなれた声が掛かってきた。
2)
姫の部屋の前までコレットが来ると、扉の前には巨大なキツネがいた。
「 ヌコワール殿、ヌコワール殿。」
と声を掛けてみるが、起きる様子はない。これで、良く姫の部屋の門番が
「姫様。姫様。朝ですよぉ。起きてくださいな。」
何度か扉をノックし、
「むにゃ......。ぽてち......」
大方、また、シャデシャトー名物のぽてちを食べている夢を見ているらしく、そんな暢気な寝言が聞こえてきた。コレットは、慣れた仕草で、入りますよと声を掛けると、部屋の中に入り、ベッドにつかつかと歩み寄り、ばさっと布団を引っぺがした。
「うにゅ...。アルフォンスさまぁ......」
布団の下に
コレットは、
「 姫様、園遊会のご用意を致しますよ。」
今上殿下、マクシミリアン7世は、歴代女王殿下の多いこの国に珍しい男性の王様であり、彼の
「やだっ!!!!」
と、盛大に拒否をするが、いつものことであるので、
「 では、まず、朝食に致しましょうか。」
彼女の興味を引くことで、そこから説得をすることにした。
3)
さて、マリー様が食堂で朝食を
奇妙なことに、彼女は
4)
この日の園遊会のゲストは、シャデシャトー王国の南に位置する穀倉地帯にある食通で知られる国家【ロマニア皇国】の女皇ルイーズ・マドレーヌ・ココ・アレクサンドラ1世だった。そして、彼女が座る席には、どこかで見かけたことがある仔猫が抱かれていた。隣国の女王陛下である彼女は、臣民の誉れ高い名君として知られているが、大の猫好きでもあるという。コレットが会場を見渡すと、視界の端にマリー姫が歓談しているので、普通の仔猫だろうが、見れば見るほど、姫様に見えてくる。再びルイーズ閣下に目を移すと、仔猫にキスしそうになっている。
そこに、マリー姫らしき人物が挨拶に来て、姫が仔猫を預かった。
その様子を見て、コレットは安堵する。姫を猫から人に戻すもう一つの方法とは、キスすることだからだ。マリー姫らしき人物は、そのまま、お花摘みにと称して会場を後にしていった。
5)
幸か不幸か、ルイーズ閣下との対談は、
【つづく】
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