第3話 勇者達のステータス②
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【
レベル1
HP:60/60
MP:95/95
スキル
火魔法、水魔法、風魔法、詠唱短縮、
「魔法の才能」
「
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賢者と言われても納得の強さ。
だが……
俺のMPと比べると、十倍以上の開きがある。
これまで見てきた三人は、二つの固有スキルを持っていた。
しかし、俺は一つ。これは、もう一つを”持っていない"のではなく、”表示されていない”だけなのではないかと思う。
その場合、もう一つのスキルは、『魔力増幅』系の固有スキルになっていただろう。
『賢者』なんて職業が、俺の『死霊術師』という職業よりもMPが少ないとは考えにくい。
そう結論づけると納得できる。
だが、『賢者』のほうが若干HPが多めなのが地味にダメージだ。
……俺、どれだけ打たれ弱いんだ。
眼鏡の男子生徒――北野を皮切りに、自分もとこぞって周りにステータスを見せ始めるクラスメイト達。
「大変なことになっちゃったね」
「伊月、なに他人事みたいに言ってるのよ」
いつの間にか近くにいた伊月と澪が、俺のほうへ歩いてくる。
相談したいことがあったから、ちょうどよかった。
「伊月、澪。まず俺のステータスを見てくれ」
俺は二人に自分のステータスを見せる。
「へえ、死霊術師かー。悠介に似合っているような、いないような……」
「そんなことより、何よこのMPの量は。北野君よりよっぽど多いじゃない……!」
「どういう事よ?」と言わんばかりのジト目をこちらに向けてくる澪。
俺がいまさっき考えていたことを話すと、二人は納得したようになるほどと頷く。
「確証はないけどな」
そう後から付け足すと、伊月が少し困ったような表情をした。
「それは納得したけど、表示されてないってことは実際に見える固有スキルの数は一つってことになるよね?」
「それがどうかしたのか?」
伊月の言いたいことがイマイチ分からない。
俺が首を傾げていると、隣の澪が何かに気づいたらしく、こちらに顔を向ける。
「悠介はたぶん、固有スキルが一つしかないという理由で、他の勇者より才能がないと見なされるわ」
そういうことか。
「でも、全員が固有スキルを二つ持っているとは限らないだろ?」
「たしかにそうだけど……。一つの人はあまりいないと思うわよ?」
そう言えるのは、二人共固有スキルを二つ持っているからだろうか。
「二人のステータスも見せてくれ」
俺が言うと二人は頷き、ウインドウを出現させる。
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【
レベル1
HP:110/110
MP:70/70
スキル
剣術、風魔法、火魔法、魔法剣、回復魔法、詠唱短縮、
「魔法の才能」
「剣の才能」
「
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【
レベル1
HP:125/125
MP:35/35
スキル
剣術、縮地、集中、強化魔法、
「剣の極意」
「絶対切断」
「
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普通に固有スキルを3つ持っていた。
「……お前らって異世界行ってもチートなのな」
「「悠介には言われたくない」」
口を揃えて言う二人。
「俺はMPが多いだけだろ?」
伊月と澪は、俺に背を向け、二人だけで話し始める。
「悠介、あんなこと言ってるわよ」
「きっと、元の世界でもこの世界でも自分が凄いってことを理解してないんだよ」
「……分かっててわざと言ってるのかと思ったわ」
「謙遜も過ぎれば嫌味になるのにね」
俺に聞こえないようにヒソヒソと小声で何かを話す二人。
そんな二人を余所に、俺は幼馴染達のステータスについて考える。
伊月の持つ「
これらはおそらく、必殺系スキルと呼べるようなモノだ。それもかなり強力な効果の。
名前を見れば分かるが、「絶対切断」とか相当チートな代物だろう。
浅野や北野も、才能系スキル以外に固有スキルを持っていた。
まだ言い切れないが、才能系スキルと必殺系スキルはセットで持っているのが当たり前なのだろう。
それに比べると、俺は死霊術の才能スキル一つだけ。
結論。
俺、異世界で生きるには貧弱すぎる。
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