211日目-②

魔王が勇者になって【七十二日目】

※魔王本人により頭こと以下省略が代筆を行う。

『どいう事じゃ、一体何が起きたというのじゃ!!?』

『よう、ばあさん。仲間が世話になったな――いや、久しぶりだな。魔王を封印しに行ったとき振りだな』

『何を言っておるか小僧!魔王を封印しに……なぜ知っておるのじゃ…!』

『だから言ってるだろ?記憶を取り戻したって、俺は勇者一族の生き残りだ』

『なぜじゃ、ならなぜ生きておる……?』

『『ニッ国』の国宝と言われているのは、『人魚の血』と『復活の魔法の文献』だ。でも誰もそれについて知らない。なぜか?それは……』

その質問に私は、ハッとなって答えた。

『まさか、魔王が昔に既に盗んでいたとか?』

『ピンポーン!!でも文献の内容はどこに書かれていたでしょう!?』

再び問う魔王に対し私は答えた。

『日記帳の中?』

『ピンポンピンポン!!!さすがラストだな。昔の時のままだ!ってまだ記憶戻ってないんだっけ?―――』

『――もういっぺん死ねええええええええええ!!!』

私は魔王の顔面をぶん殴った。

『ふうう、すっきりした』

魔王を殴ると混乱していた頭の中がすっきりした。

『――っっっってえ!!!!』

顔面が地面にめり込んだ魔王は叫びながら起き上がった。

『……お前、あの時死んだ後に、生き帰っておったのか?』

『ううん?ああ、お前なんか勘違いしてるぞ?』

『俺たちは皆同じ魔法を受けているんだ、『固定魔法』をな?』

『な、ならなぜあの時あの場でお前は倒れたのじゃ!』

『封印魔法――『キューブ』の副作用というか、代償だ。俺たち天使と勇者の一族の秘密だから伝えなかったけれど、あの魔法を発動をすると使用者は一定期間封印される』

『ならば、あの時お前は……』

『ああ、仮死状態になってただけだ。でこの見た目は当時のままって事、肉体年齢18歳だぜ』

『……そんな、ばかな』

『なら私は、一体?』

『俺と同じ代償封印を受けて記憶障害を受けてたってだけだな』

『……さっき自決したのは?』

『確認したのか?血ぐらい何リットルでも魔法で生成できるっての』

『……そう、なんか、腹立ってきた。いっぺん死んで』

『俺が死んだふりしているうちに何があったんだよ』

『なんにも、ほら、早く記憶を戻してよ。その日記帳の中に全部載ってるんでしょ?』

『はっは、さすがだな。でも遠慮しとく』

『なんでよ。早く元に戻しなさいよ』

『……どうなっても知らないからな』

そう言って、魔王は失った分の記憶を私に流し込んだ。

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