210日目-⑲

魔王が勇者になって【七十一日目】

※魔王本人により頭こと以下省略が代筆を行う。

――パチンッ。

少女が流し込んできた記憶が止まった。

『これが私の記憶であり記録』と見せられた記憶にいた姉妹に瓜二つの少女が話し出した。

『貴方様は本物の天使なのです』と少女。

『………私が…』

『あの後呪いを受けてからは私ら姉妹は魔王城から飛び出したあなたを探すために世界中を飛び回った――妹は『固定魔法』と『封印魔法』を解く魔法の開発に勢力を注いでいたようだけれど』と少女

『…………なぜ彼を殺したの?』

『彼?……ああ、彼は貴方様を洗脳していたからです。魔王――勇者一族の生き残りは『呪い』を受け死にました。私はその光景を目の前で見ていたのです。彼の者は自分を魔王と偽って貴方様を騙そうとしていたからです』と少女。

『……嘘よ』

『……ウソではありません』少女。

『……お願いだから……ウソだと言って…』

『……天使様、お気を確かに!』

『私は!!私は天使なんかじゃない!!……私は『サン王国』の地下で燻っていたしがない盗賊の頭だった。彼はそんな私を普通の世界に引っ張りだしてくれた……勇者じゃなくても魔王じゃなくても、私はニセモノの彼が――』

私は涙を流しながら走り出していた。彼から渡された日記帳を落とさないように。

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