203日目-③

勇者になって【六十四日目】

茶屋どこだよ。分からん。

『あ、魔王様』と呼びかけたのはパイモン。ひょっとこ顔の仮面をかぶり両手には食べ物を持っていた。見た目もこの国に合わせた服装(確か浴衣だった気がする)を着ていた。

『……なにしてるんだパイモン』

『なんかぁ、ふらふらしてたらいろんなモンをくれんだよ』

何やら町人から物を貰い受けたらしい。

……なるほど、パイモンを子供と勘違いしたのか。小学生並みだもんな、背丈。

『なあ、『国里』って店知らないか?』

『国里?あーどっかでみたよ。あっちだった気がする』

どっちだよ。

『あ、やっぱりそっちだった気がする』

そっちはどこだよ。

『あー、まあいいや自分で探すよ』

『そうだよ。人に頼らず自分で探せって。そんじゃな~』

何だろう、カチンときた……あいつの分のプリン食べてやる。

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