202日目-③

勇者になって【六十三日目】

『わっちが将軍のことを愛してるなんて、冗談はぬしの強さだけにしてくんなまし 。第一、わっちは将軍の暗殺を依頼した張本人でありんす 』

急に饒舌だな。

『愛してる、なんて言ってないが……』

『そ、それは、いい間違いでありんす。 揚げ足取りとはぬしも性格が悪いのでありんすね 』

『まあな』

人魚の姉さんは少し黙ってから口を開いた。

『わっちは将軍様に命を救われた身でありんすぇ。 人魚や魚人は国を持たずに海を故郷として生活していんした 。でもわっちは親と逸れこなたの国の沖合に流されんした 。わっちは気味悪がられつるし上げられ、沖合の町人に殺される予定でありんしたんでありんすが。そこに若き将軍様に救ってお貰いんした』

『なるほど。で、将軍の首を取ってくる依頼をした理由は?』

『貴方を殺すため。貴方が危険だと思ったからでありんす』

……なるほど。家老もいたし、くノ一も強そうだ。将軍も中々。魔王を返り討ち作戦だったのか。

『じゃあ、あれも嘘?『復活の魔法についての文献』っていうのも』

『うん、それはそう』

『そっかざんねん。そんじゃ下の階に戻るか』

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