200日目-⑬

勇者になって【六十一日目】

『……爺や、ここどこだ?』

『ええ、それがわっしにもわかりません。城が崩落し平屋ごと斬り逃げた。そう記憶してるのですが。年を取りすぎましたかね記憶が曖昧で』

『いや、爺の記憶は俺と同じだ、俺も忍に担がれて勇者と逃げていたはずだ、なのになんで何十里も離れた屋敷の中で捕らえられてるんだ』

『一杯食わされましたな』

『お前、魔王と手を組んだのか!?』と勇者。

『……組んだというか、話すと長くなんだよ……だからみんなが集まるまでちょっと寝ててくれ。わりいな』

『……くっ、ううう』

『若様、申し訳ございません……うっ』

『……うっ』

将軍、家老、くノ一、三人が煙を吸って倒れた。彼らはガーゴイルに作らせた即席の牢屋の中に閉じ込めた。

隙をついてまとめて飛べてよかった。

『わりいなガーゴイル、いきなり頑丈な牢屋と縄を作ってって頼んで』

『大丈ブですだ、魔王様。屋敷に飛ぶ直前に頭の中に伝えてくれたおかげで余裕があったのだ』

『そっか、サンキュな』

……そんじゃ、俺たちの勝ちという事で。皆が帰ってくるのを待ちますか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る