201日目

勇者になって【六十二日目】

作戦がほぼ完了したことと、皆に乗っ取った屋敷に戻るように伝えた。

……負傷者が出なかったから良しとするか。で、どうしようか。

人魚の姉さんからの依頼は正確には終わっていない。将軍の首を取ってくる。かぁ殺生は苦手だな。

……すべては交渉次第だな。

『……爺さん。起きてるんだろう?』

牢屋に催眠で寝かせた家老に声をかけた

『いやはや、気が付いておいでで』

『はあ、肉体が勇者とはいえ魔法が効かないなんてショックだよ。本当に強いな爺さん』

『いえいえ先々代魔王、いやにも引けを取らない魔力の質ですぞ』

『お世辞は良いって、じじいと比べるなよな。それに親父が妙に『ニッ国』に詳しい理由も解けたよ』

『ええ、私は先々代の『幹部』を務めておりましたので、まあ、兼見習いでしたが。先代魔王様にも何回か稽古をつけさせてもらった記憶もあります。懐かしいですな』

オヤジに稽古つけたって。千回戦ってもこの爺さんには勝てる気がしねぇ。

『……爺さんに、頼みがあるんだが良いか』

『ハハ、悪意がない魔王ですか。いいでしょう力になりましょう』


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