第二部 プロローグ

「どうすればいいか・・・分からない・・・。」



地面に押さえつけている男の上に涙が落ちた。



この男を逃がせば・・・ただじゃすまない・・。



けど・・・。



奥歯を強く噛みしめた。



もう、誰も殺さないって決めたから・・・。



その気持ちと反して手に力が入った。



どうしても、俺の大切な人を殺したこの男が許せない。



なんで、殺されないといけないんだ?



普通に暮らしてるだけなのに・・・。



固く目を閉じて、俺は男の意識を奪った。



嫌なんだ・・。



こんなのもう・・。



そんな感情が心をかき乱していく。



息がうまくできない。



喉が熱い。



目から出る涙が止まらない。



目の前に居るその人を正しく認識できない。



冷静にならないといけないのに、胸が苦しい。



「嫌だ・・・。嘘だって・・・言ってくれよ!!」



何か・・・方法はないかと必死に考え、その人を揺すったが、何もできることは無い。



「この状況をどうにかできたら、僕は神様になれるかな?」



無邪気な少年の声が背後から聞こえてきた。



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