第6話

 桃太郎は戦いました。

 雉衛門が太刀をふるっている間に、桃太郎は種子島で援護しました。

 一発撃ったら犬が銃を渡します。

 猿彦は素早く弾を込めると犬に渡し、犬から渡された種子島に再び弾を込めています。

 犬は火縄に火をつけて桃太郎に渡し、戻ってきた種子島の火縄の火を消して猿彦に渡しています。

 やがて弾が無くなると、三人も雉衛門に続いて切り込んでいきました。

 しかし。

「たった四人でよく頑張ったが、さすがに百人相手にするのは無理だろう」

 多勢に無勢でした。

 種子島こそ持っていないものの、盗賊団には弓がありました。

 少しずつ手傷を負っていき、やがて四人とも動けなくなってしまいました。

「女たちに気づかれたくねえから、これ以上騒ぎたくねえんだ。頼むから、死んでくれや」

 盗賊団の一人が刀を抜いて迫ってきます。

 もうだめかと、桃太郎が目を閉じたときに思い出しました。そうだ、きびだんごがある。

 藁にもすがる思いで取り出すと、桃太郎は一口できびだんごを食べました。

 そして三人の口にもねじ込んで食べさせました。

「無駄な抵抗をしなけりゃ、楽に死ねるぜぇ!」

 盗賊が刀を振り下ろしました。

 桃太郎を捉えるはずだった刀はしかし、半ばからポッキリと折れていました。

「な、なんだって!?」

 桃太郎は不思議な気分でした。

 体中から力が沸き上がり、先ほどまでの傷が嘘のようにふさがってしまいました。

 それどころか筋肥大をはじめた体はどんどんと大きくなり、先ほどとは二回りも大きな体に変化していました。

「な、え?」

 目の前で超筋肉質な男に変身した桃太郎を見て、盗賊はその場に崩れ落ちました。

 それはそうでしょう。素手で刀を叩き折っただけでなく、ムキムキになったのですから。

「た、助けてぇー!」

 桃太郎たちは暴れに暴れました。

 刀の動きはのろく、弓はつかんで投げ返せるほどになりました。

 こうして、きびだんごの力で四人は盗賊を撃退することに成功したのでした。


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