第2話
『この人、一体何者?』
私は、彼の作業をぼんやりと眺めながら、そんな事を考えていた。
昨日話を聴いた時は、詳しい素性までは教えてくれなかった。
生まれた時から親がいない、最近までずっと一人で生きてきた、奥さんは四人いるが、子供はいない。
そんな事くらいだ。
込み入った事を聴こうとすると、はぐらかされる。
最初、深い森の中だったこの場所は今、貴族の屋敷が1つ入るくらいの平地になり、そこに1軒の家が建っている。
2階建ての木造で、見たことのない外観を伴った、素敵な家だ。
随所に陽の光が入るように建てられており、かなり開放的な造りになっている。
魔法で伐採した木々を薪に変え、アイテムボックスに放り込み、家の周りに庭を造った彼。
アイテムボックスから樹木まで出した時は目を見開いたが、その木々は、森に差し込む陽光や、月の光を計算して植えられる。
小さな池と苔むした岩、砂利が敷き詰められ、何とも言えない風情を醸し出す。
ここまでの作業に、10分もかかっていない。
因みに、この世界には時計がある。
太古の魔術師達は、自分達の実験に必要だからと、正確に時を刻む機械を生み出した。
今ではそれが小型化され、魔力電池と呼ばれる部品を魔力で充電するだけで動き続ける。
一連の作業が終わって満足したのか、私を思い出したかのように振り返る彼に、言葉をかける。
「話があるの」
もう、待ったなしだった。
「それで、話とは何だ?」
木の良い香りに包まれた家の中、食堂と思しき場所のテーブルに案内され、向かい合って椅子に座る。
家の中は土足厳禁だと言うので、入り口で靴を脱いである。
「貴方、一体何者?
人間じゃないわよね?」
「いきなり何を言う。
自分の容姿が魔物か何かに見えるのか?」
「ごまかさないで!
貴方の魔力は異常なの。
人間なら、その魔力量に身体が耐えられるはずがない。
私は、貴方の助手よね?
貴方を支える、パートナーよね?
ならちゃんと本当の事を教えて。
私には、知る権利がある」
偽りを許さぬ鋭い眼差しで、和也を見つめるアリア。
「今はまだ言えないと言ったらどうする?
自分の下を去るか?」
椅子を蹴って凄い勢いで平手を放つが、難なく交わされる。
「くっ!
・・それができれば、さっさとそうしてるわよ。
女を何人も侍らせてる無一文の男なんかさっさと見捨てて、もっと良い人を探すわよ。
でも、それができないから、こんなに苦しんでるんじゃないの。
悩んでいるんじゃないの。
どうしてそれが分らないのよ?」
拳を握りしめ、俯いた彼女が、絞り出すような声で、そう告げる。
「・・世の中には、知らないでいた方が楽な事もある。
知ってしまえば、ずっと苦しむ事もある。
何でも話合える関係は、確かに理想的ではあるが、それは隠し事をしないという意味までは含まないと自分は思う。
そうでなければ、己の恥ずかしい事や、過去の汚点すら曝け出さなくてはならず、却って苦痛を生む。
相手を裏切るようなものでなければ、その相手が重要視する事でなければ、隠し事も円満な関係の役には立つ。
自分がどんな存在なのか、それは君にとって、それ程に大事な事なのか?」
「そうよ!
すっごく大事よ!」
「・・何!?」
彼は、まさかそう言われるなんて思っていなかったという顔をしている。
「大事に決まっているじゃない!
何も知らずに産んだ子が、人じゃなかったら、びっくりするでしょう?」
「・・何の話をしている?」
「だから、私と貴方の子供の話」
「自分は君に、何かした覚えはないが」
「一緒に住むのだから、これからは分らないでしょう?
貴方の助手になると決めた時点で、私にはその覚悟があるのよ?」
「・・・」
「何?
私、何か変な事言ってる?
だって男と女が二人で一緒に住むのよ?
そういう事だよね?
・・まさか、考えてなかったの?」
呆然とした顔をされたので、不安になってそう聴いてみる。
「済まない、そこまで考えてなかった」
もう一度、全力の平手を放つが、今度も申し訳なさそうに交わされる。
「自分が学んだゲームでは、恋人同士でなくても一緒に住んでいたりしたから、普通に仲良くするためには、それが1番良いと思っただけなのだが・・」
因みに、和也がやっていたそれらのゲームは、18禁のアダルトパソコンゲームを、一般用のゲーム機に移植したもので、そのため、本来ならエッチなイベントが展開される所が別のものに置き換えられていたせいで、そういう暮らしを普通のものだと少し勘違いしている。
大抵のゲームでは、製作費など大人の事情もあって、出会いから1か月くらいで主人公とヒロインが結ばれるから(永遠の愛を誓うには3年かかったものもあるが)、和也がこれまで妻にしてきた女性達が、僅かな期間で和也に身体を許すような関係となっても、そこに疑問を抱かなかった。
この間エリカに聴かされた『器』の話は、和也の中ではそれとは別の特殊な事例として処理されている。
「ゲーム?
変な単語でごまかそうとしても無駄だから。
仮令少し齟齬があったとしても、貴方は私の手を取った。
契約を交わした以上は、貴方と私はパートナー。
子供の話は極端だけど、何時私を抱いても良いし、私も抵抗しない。
だから、先ずは最も重要な事を教えて。
貴方は何者なの?」
「物凄く論理が飛躍している気がするが、やはり君は性に興味津津・・」
「今は本当に大事な話をしているの。
今度そんな下らない事を言ったら、この場で襲うわよ?
・・私の中で、有り得ないくらいに心が叫ぶの。
『貴方を逃がすな、離すな、ずっと側に居ろ』って。
お願い、答えてよ」
「・・聴いたら後に引けないぞ?
自分の事を受け入れられなければ、君の記憶を消して、以後は二度と君に係わらない。
それでもか?」
「それでもよ!」
和也が溜息を吐く。
「・・自分は神だ。
この世界、いや、数多の世界を創った創造神。
妻達も今やその眷族として、最早人ではなくなっている」
そう告げる和也の背後に、窓の大きさ程の宇宙空間が広がる。
見た事もない光景が、アリアの目に飛び込んでくる。
「この星には、下準備に来たようなものだ。
エリカ、大事な妻の一人に与える星だからな」
「・・神・・様?
そんな、私、神様に惚れちゃったの?」
「・・意外に落ち着いているな」
「貴方が人間ではないのは分っていたもの。
悪い人ではないという事も。
あとは程度の問題だから・・」
「それで、どうする?
自分の下を去っても、記憶は消すが、他には何も不利益はないぞ?
ちゃんと家まで送り届ける」
「何で私がいなくなる事前提でものを言うのよ?
ここに残るわよ。
貴方の助手を辞めないわよ。
そんなの、当たり前でしょう?」
「当たり前?」
「そうよ、当たり前。
やっと見つけたのよ?
自分から側に居たいって思える人を。
同じベッドで寝ても、安心して眠れる人を。
そんな人、手放せる訳がないでしょう?」
話始めた頃と異なり、彼女の顔は笑っている。
「自分の素性を明かした以上は、それなりに君を制約下に置くが、良いのか?」
「何するの?
魂を差し出せ、とか?」
「違う」
和也が右手の掌を上に向けると、そこに銀色のリングが生まれる。
「先ずはこれを嵌めて貰う」
「もしかして、結婚指輪?」
「何でそうなる?
これは君を守るための物であり、君の本心を図るための物でもある。
この指輪には、様々な機能がある。
アイテムボックス、万能言語、魔力の泉、転移能力、防御障壁。
一度嵌めたら、自分(和也)に嫌気が差したり、君に自分以外の苦楽を共にしたいと望む者が現れない限り、絶対に外れない。
逆に、そういう状況になれば、アイテムボックスの中身を放出して、自然に消滅する。
自分は君の心を縛りはしない。
自分が嫌になったり、愛想が尽きたりしたら、何時でも傍を離れて良い。
自分に気兼ねして、それを躊躇わないように、敢えてそういった機能を持たせてある」
「・・嬉しいやら悲しいやら、微妙な気分ね。
私を守ってくれるのは嬉しいけど、完全には信じてくれないのは凄く悲しいわ。
それに、何だか自分に自信がないようにも聞こえるわよ?
あと、私の気持ちへの答えは?」
「?」
「何その顔?
今までの話、ちゃんと聞いてた?
私は、貴方が、好きだと言ってるの!」
彼女の大きな瞳が嬉しそうに細められ、口元に笑みが零れる。
「・・君はとても美しいし、魅力的だが、今はまだその答えを保留させて欲しい。
勿論、助手を頼むくらいだから、好意はあるし、仲良くもなりたい。
ただ、この頃少し自分でも反省する事が多くて、今直ぐ君をどうこうするという気にはなれないのだ」
申し訳なさそうに、和也は答える。
「何時まで待てば良いの?
あんまり長く待たせると、私、お婆さんになってしまうわよ?」
「それについては心配ない。
自分の眷族になる時、容姿はその者が最も美しい時まで遡る。
未だそこに到達していなければ、そこまでは成長する」
「私を貴方の眷族にしてくれるの?」
「このリングを嵌めるという事は、そういう事だ。
眷族になりたい時期は、君が好きに選べる。
もう人としてやり残した事がないと思ったなら、その時現れる門を潜ると良い」
「そういう事なら、いつまでも待つわ。
そして必ず貴方を振り向かせる。
・・これからずっと、宜しくね」
あの時と同じ様に手を差し出してくるアリア。
和也はそれに、椅子から腰を浮かせて応じる。
握った途端に、強い力で引っ張られた。
彼女の顔が間近に迫って来て、唇に、柔らかい感触が生まれる。
「これは契約の証。
恋人としてのキスは、また今度ね」
そう告げて笑う彼女の笑顔は、今までで一番、嬉しそうであった。
アリアに乞われて、家の中を一通り案内して回る。
近代的な造りの家は、どれもアリアを驚かし、蛇口をひねれば流れ出す水や、
この世界に無い設備も幾つか取り入れられてはいるが、それは和也が重視する食事と風呂の基本的なものだけだ。
家の敷地の周囲には、結界が張られているから、和也の許可を受けた者以外には、外から見える事も、侵入する事もできない。
「まだ日暮れまでには十分な時間があるし、できる事をしてしまおう。
君の家から荷物も取ってこないとな」
「・・オリビア様にも挨拶してこないと。
鍵を返さなくちゃ」
「誰だ?」
「あの町の領主の娘、私の大家さん」
「なら分担して当たろう。
自分はギルドで素材を売り、今後の仕事の仕込みもしてくる。
君は荷物を回収し、その者に挨拶してくるが良い。
用事が済んだらまたここに戻って来てくれ」
「どうやって?
私、ここが何処かも分らないわよ?」
「君はもう転移ができるだろう?
そのリングに込められた魔法は、行った事のある場所なら、目印を必要とせずにイメージするだけで飛べる。
この家には、ちょうど玄関先に飛んで来れる」
彼女の"左"の薬指に嵌められたリングを見ながら、和也が説明する。
何気なく右の薬指に嵌めようとした和也に、アリアが敏感に意図を察知し、説明を求めた上で、強引に左に付けさせられた。
まだ妻にはしていないため、リングの材質は変化していないし、表面に絵柄も現れていない。
「・・改めて考えると、凄い機能よね?
移動に時間がかからず、魔法は使い放題、言葉にも苦労しないで、何でも入るアイテムボックス。
御負けに防御障壁まである。
ちょっと狡いかも」
「何でも入るといっても、自分や妻達のものと違って、君達のはまだせいぜい国一つ分くらいしか入らんぞ」
「十分よ!
・・大事にされてるわね、私」
「自分にここまでの好意を示してくれるのだ。
このくらいのものは返す。
・・それから防御障壁は、君が傷つくくらいの攻撃か、君に害意の有る行動でないと発動しないぞ。
君が嫌でない相手との、無害な行為にもな」
アリアがリングを胸元で、右の掌で包み込むようにして目を閉じたので、和也は照れたように視線を逸らしながらそう告げる。
「・・本当だ」
彼女が自分に、静かに抱き付いてくる。
「・・遅くなってしまうぞ」
「もう少しだけ」
その後暫く、彼女は和也の肩に頭を載せたまま、彼を優しく抱き締め続けた。
「この辺りにするか」
キンダルから馬車で2日程の村の外れ、村人が狩りや採取に訪れる森の中に、和也はダンジョンの入り口を造る。
一見普通の入り口に見えるが、そこにはある仕掛けが施されている。
「あとは、色々揃えるだけだな」
そう言うと、また直ぐに姿を消した。
「換金を頼みたいのだが」
先日訪れたギルドに再び足を運んだ和也は、受付で書類に目を通していた女性に話しかける。
「はい、物は何でしょうか?」
「魔竜ガルベイルの鱗だ」
それなりに喧騒に包まれていた場が静まり返る。
「・・まさか、討伐なされたのですか?」
「いや、どうやら巣を引き払ったみたいだな。
自分が行った時は、既にもう居なかった」
「本当ですか!?
それが事実なら国に報告しなくては。
それで、その鱗はどちらに?」
「これだ」
和也は十数枚あった鱗の内の1枚を差し出す。
「1枚だけですか?」
「他にもあるが、残りは幾らになるか判明してからにする」
「魔術師協会に鑑定を依頼するので、2日程お時間を頂きますが、宜しいですか?」
過去の事があるので、この世界の魔術師は皆、協会への登録が義務付けられ、国によって管理されている。
「分った。
ではその頃にまた来る」
差し出された用紙に必要事項を記入して、係の者に渡す。
「え!?
何でアリアの名前が?」
彼女と顔見知りらしい受付嬢が、そこに記載されたアリアの名前とギルドナンバーに驚きの声を上げる。
「自分はギルドに登録していないし、この国の戸籍もない。
何なら料金は彼女に渡してくれても良い。
アリアは自分の助手だから」
そう告げると、和也はギルドを後にする。
少しして、何気なくその跡を追っていく、数人の者達がいた。
「何か用か?」
わざと人の居ない路地裏に入り込んだ和也は、自分をつけてきた四人の男達に話しかける。
「良い度胸してんな。
それともやっぱり馬鹿なのか?
わざわざこんな所に来るなんてよ」
「忙しいから早く用件を言え」
「・・随分調子付いてんな。
どうやってアリアを取り込んだんだ?
顔か?
それとも金か?
俺達にも教えてくれよ」
「誠意を持って、丁寧に、礼儀正しくお願いした。
用はそれだけか?」
「・・俺達さあ、今仕事が無くて金欠なんだよ。
少し恵んでくれねえか?」
「断る。
自分も今は無一文だ」
男達の中で何かがキレた。
「なら鱗の残りを渡しな!!」
「ぐはっ」
「がっ」
ドカッ、ズドン。
突然襲い掛かってきた彼らを、和也は拳と蹴りで大人しくさせる。
「ジャッジメント。
・・まだ辛うじて踏み止まってはいるが、もう後がないぞ。
今後はまともに生きる事だな。
慰謝料として、所持金の半分と武器を全て貰っていく」
気絶している彼らの懐から、全部で銀貨30枚を転移させ、武器は浄化と修復を経て、収納スペースへと放り込まれる。
そして、何事もなかったかのように姿を消した。
「今日は」
アリアは、門に佇む顔見知りの衛兵達に向けて挨拶する。
「アリアさん、今日はどうしたのですか?
お茶会の日は、まだ先ですよね?」
彼女に微笑まれて嬉しそうな衛兵が、そう尋ねてくる。
「オリビア様に、お返しする物ができまして・・。
お取次ぎいただけないでしょうか?」
「分りました。
暫くお待ち下さい」
アリアからの用件は、最優先で自分に取り次ぐよう常々厳命されている彼らは、彼女の下に直ぐに赴き、そして程無く戻ってきた。
「お会いになるそうです。
どうぞ、お入り下さい」
門を開けられ、屋敷の入り口まで案内される。
『何時来ても、圧倒されるお屋敷よね』
門から屋敷の玄関まで、50ⅿくらいある。
キンダルは、国の主要な都市の1つであり、そこを治める彼女の父親は、ビストー王国の財務大臣をしている伯爵でもある。
玄関に到着すると、今度はメイドに案内されて、豪華な応接間へと通される。
そこで暫く紅茶を飲みながら待っていると、家の中なのに、かなり気合を入れておめかししてきた少女が現れた。
「いらっしゃい。
来てくれて嬉しいわ」
極上の笑みでそう言われ、立ち上がって挨拶を返すアリア。
「ご無沙汰致しております。
相変わらずお元気そうで、安心致しました」
「いつも言っているでしょう?
そんな他人行儀な挨拶は嫌だわ。
さ、私の部屋に行きましょう。
ここだと貴女も寛げないわよね?」
「・・はい」
アリアは少し複雑な顔をする。
彼女の私室に行く方が、実は気疲れするのだ。
ここだと流石にしないが、自分の部屋では、彼女はべったりくっ付いて来て、頻繁に自分の身体に触れてくる。
オリビアは今年で15歳。
三人姉弟の次女で、後継ぎではないため、大分甘やかされて育てられてはいるが、根は優しく、頭も良い、美しい娘だ。
なので、アリアとしても、立場を抜きにしてもそう邪険にはできず、あまり変な場所までは触れてこないため、されるがままにしていた。
因みに、彼女の部屋には、アリアが描いた数少ない肖像画が飾られている。
「それで、今日はどういったご用件かしら?」
案の定、大きなベッドに座らされ、その直ぐ隣に腰を下ろして腕を組んできたオリビアに、そう尋ねられる。
「実は、今度引っ越す事が決まりまして、お借りしていたお部屋の鍵を返しに参りました」
「え!?」
驚いた顔でこちらを見る彼女。
「長らく無料で貸していただき、本当に有難うございました」
「・・この町を出て行くの?」
「はい、まだ正確には把握していないのですが、恐らくこの町からは、少し離れていると思います。
ただ、あくまで住む所はというお話で、生活の拠点は、暫くはまだここだと思われます」
「何だか誰かと一緒に住むような言い方ね?」
「・・はい、この度あるお方の助手になる事ができまして、それで、仕事にも都合が良いので一緒に住む事になりました」
「・・もしかして、男なの?」
「・・はい。
とても素敵な方です」
「!!!」
組んでいた彼女の腕が強張る。
「・・どんな人?」
震える声で、そう聴いてくる。
「男らしく、優しく、律儀で、そしてとても強い力を持った人です。
この機を逃したら二度と出会えない、私の運命の人」
アリアの、その嬉しそうで力強い言葉に、
「もしかして、もう・・寝たの?」
「いいえ、まだそこまでの関係ではないです!
・・ただ、何時かはそうなりたいと・・願っております」
薬指に嵌めたリングを、愛おしげに撫でるアリア。
それを見たオリビアの視線が、僅かに険しくなる。
「・・分ったわ。
鍵は返して貰う。
でも、私は諦めない。
まだこの町で仕事をするのよね?
ギルドを通して依頼をするから、その時は必ず受けて!
いい、きっとよ?
受けなかったら、二人の仲を邪魔してやるんだから・・」
どう返事をしようか迷ったアリアの頬に、彼女が柔らかな唇を押し付ける。
『!!』
キスをされた事より、障壁が働かなかった事に驚くアリア。
・・私、この
知り合ってから、自分を守るように、色々と手を貸してくれた彼女。
そんな彼女を、自分は何時しか妹のように感じていたのかもしれない。
オリビアの気が済むまで部屋で過ごしたアリアは、屋敷を出ると、夕暮れ近い空を眺めて、和也が待つ二人の家へと帰って行くのであった。
その時、和也は風呂に浸かりながら、自らが稼ぐ方法について色々と考えていた。
アリアに約束した以上、彼女に支払う賃金は、自分で稼がねばならない。
今日のように
ああいった行為が、稼ぐという概念に当てはまるかと言われれば、それも違うだろう。
ギルドの依頼を片っ端からこなせば、それで生計を立てている者達を、苦境に立たせる事になる。
かといって、自分が武具等を作成して売れば、この世界のバランスを崩しかねず、中途半端な物で済ませれば、それこそ鍛冶屋や武器屋を営む者達から仕事を奪ってしまう。
頭を悩ませていた和也は、浴室の脱衣所にこっそり侵入してきた者の気配に気が付かず、浴場への扉を開けられる事を許してしまう。
ガラガラッ。
戸が開けられる音に反応して振り返れば、そこには全裸のアリアが恥ずかしそうに立っている。
手にした小さなタオルで、一体何処を隠したら良いのか、迷っているようにも見える。
「銭湯ではないのだし、他人が入っている時は、遠慮するのがレディーの嗜みだと思うが・・」
「良いじゃない。
こんなに広いお風呂なんだし、私は貴方の助手なんだから」
「助手は関係ないと思うが・・」
「いいえ、関係あるわ。
例えばね、長旅やダンジョンを長期間攻略する時なんかは、何処かで必ず野宿したりするでしょう?
そんな時、裸を見られるのが恥ずかしいからといって、お互いが別々に水辺を利用していたら、不意の襲撃に耐えられない事だってあるし、私達は二人しかいないから、同性の見張りも置けない。
予め裸を見せ合って、お互いに耐性をつけておく事は、今後に必要な事なのよ」
まるで今その場で考えたような言い訳に、和也は容赦なく突っ込みを入れる。
「・・先ず、防御障壁があるから、君が傷つく事はない。
転移ができるから長旅なんてしないし、ダンジョン攻略の際も、必要ならここに転移で帰って来て、用が済んだらまたそこに行けば良いだろう?
大体君は、ダンジョンで用を足したくなった時、転移なくして一体どうする積りだったんだ?
もしかして、適当にその場でする積りだったのか?」
今まで一人でやってきて、地下迷宮には滅多に行かない上、直ぐ出られる第1階層しか入った経験がないアリアは、そんな状況を考えた事もない。
薬草採りや顔料探しの時だって、行く前に済ませているし、行動中は余計な水分は控えているから、その事に言及されるまで、まるで気が付かなかった。
「ちょっと転移の事を忘れていただけよ!
・・言われてみれば、他の皆は一体どうしているのかしらね?」
和也はこの時、自分のダンジョンには必ずトイレを設置しようと決めた。
「そういえば、貴方がトイレに行く所を見た事がないけど、どうして?」
「自分やその眷族に、そんなものは必要ない。
呑み込んだ瞬間、全てが消滅してしまうからな。
食事は単なる娯楽に過ぎない」
「狡い!」
「君だって、眷族になればそうなる」
「それはかなり魅力的ね。
体型を気にしなくて良さそう。
・・でも、もうちょっと人でいたいかな」
「君の身体に無駄なものは何もないと思うが・・」
目の前で佇むアリアの裸身を見ながら、和也はそう口にする。
「これでも苦労してるのよ。
私、格闘系でしょう?
肉体が武器だけど、女の子だからあまり筋肉を付け過ぎるのは嫌だし。
胸の形も変わってしまうから」
そう言いながら、自分がいつまでも突っ立っていた事を思い出したのか、手桶で湯を浴びて、湯船に入ってくる。
「君の身体は今くらいがちょうど良いと思う。
とても美しいバランスで成り立っている」
自分の横に並んで座ったアリアにそう告げると、彼女はとても嬉しそうな顔をする。
その後暫く、のんびりと、外の景色を眺めながら湯に浸かる二人。
一緒に入る事の是非は、最早彼らにはどうでも良くなっていた。
明くる日、まだ日が差さない内に目覚めた和也は、何時の間にか隣で寝ているアリアに苦笑し、早速仕事の仕込みを始める。
ベッドの上で、大陸の地下に広がる広大な迷宮を透視し、比較的安全な場所を探しては、そこの壁際に数多のトイレを設置していく。
ドラゴンのブレスにも耐え得る素材で、地球の洋式トイレをイメージして作られたそれは、魔法できちんと衛生管理され、毎回気持ち良く使用できるようになっている。
ただし、使用前に銅貨4枚を扉にある投入口に入れないと、戸が開かない。
また、必ず一人でしか使えない。
料金をケチろうとしたり、いかがわしい目的で使用しようとしても、二人目が入ろうとした時点で弾かれる。
空いているトイレの扉は青く光り、使用中なら赤く照らされるが、トイレから出た途端に敵に襲われないように、外側からは見えない内部の小窓からは、外の様子が覗けるように工夫されてもいる。
この大陸の地下迷宮だけで、約3000個のトイレを設置したから、仮に1日1回ずつ使用されたとしても、1日で金貨1枚以上の収益になる。
冒険者達に認知されるまでには、少し時間がかかるだろうが、一旦使われ始めれば、かなりの稼ぎになるだろう。
少なくとも、女性の冒険者達には使用して貰えるはずである。
水洗トイレである事は、言うまでもない。
全ての準備が整うと、和也は再び眠りに就いた。
次なる目覚めは、まだこの世界では普及していない、珈琲の香りによるものだった。
自分の髪を
わざわざ自分の部屋まで運んできたらしい、淹れたての珈琲の良い香りが、和也の意識を覚醒させる。
最近まで一人暮らしをしていたアリアであるが、やはり人恋しかったのか、共に住むようになってから、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
二人で珈琲を飲みながら、今日の予定を話し合う。
「自分は今日から仕事に就くが、君はどうする?」
「助手だもの、私も一緒に行くんでしょ?」
「常に行動を共にする必要はないぞ?
君の身の安全が保障された以上、寧ろ別行動の方が効率が良い。
お互いに必要な事ができるからな」
「・・じゃあ、今日はここで絵を描いていても良いかな?
叔母さんに頼まれてる絵が、まだ仕上がってなくて・・」
「勿論だ。
自分は夜まで小銭を稼いでくる」
「何するの?」
「廃品回収だ」
「・・何でそんな事するの?」
「自分が運営するダンジョンに必要だから」
「ダンジョン経営!?
・・何だかぼられそうね」
「どういう意味だ?」
「だって、神様が造ったダンジョンなんて、攻略不可能でしょ?
それとも慈善事業でもやる積りなの?」
「両方だ」
「はあ?」
「まあ、必要になったら、君にも手伝いを頼もう」
「それは良いけど、・・ねえ、やっぱり、それ変よ」
珈琲を飲み終え、寝間着代わりの黒いTシャツとトランクスに、いつもの黒のジャケットとズボンを身に着け、剣を差そうとした和也に、アリアが言う。
「それとは?」
「その剣の事。
はっきり言って、その服装に似合わない。
アイテムボックスがあるのだし、貴方なら瞬時に取り出せるのだから、差している意味ないじゃない。
安物にしか見えないし、それを差すと、服装のバランスが崩れるわ」
人物画も手掛ける画家としての意見なのか、それとも個人的な好みなのかは分らないが、アリアは、これまで誰もが気を遣って言わないでいた事を、鋭く指摘する。
「・・一応自分の名前の由来になった物だし、何も持たないと貧相に見えるかと思ったのだが、・・ない方が良いか?」
「ええ、服だけの方が、断然素敵」
「分った。
そうしよう」
和也は剣を、収納スペースに放り込む。
「アドバイスを貰ったお礼に、君にこれを贈ろう」
和也はベッドの上に、黒のバトルスーツと黒い手袋、黒のブーツを創り出す。
バトルスーツは首から足首までの一体型で、体にフィットし、アリアの美しいラインを際立たせる作りとなっている。
その何れにも、彼女の元の防具とは比べものにならない程の硬化魔法が掛けられ、自動調整、浄化機能まであるから、彼女の動きに合わせて収縮し、内側からの熱や汗を速やかに除去する。
「防御障壁があるから、君にもう防具類は必要ないだろう?
この装備全体に強い硬化魔法が掛かっているから、身体の様々な部位で攻撃する君に合っていると思う。
着脱の手間を省くため、リングに一瞬でそれができる機能を加えておく。
凄く軽いから、かなり動き易いぞ」
「有難う!
貴方って、服装自体のセンスは良いのよね。
・・貴方とお揃いの黒だし、凄く素敵!」
参考にしたのはアニメやゲームの服装だし、黒なのは単に汚れが目立たないからだが、あまりに喜んでいるので、何も言えない和也であった。
「ねえ、貴方、アリアの雇い主よね?」
ギルドの掲示板を確認して、直ぐ外に出た和也に、女性の二人連れが声をかけてくる。
どちらも
「正確に言うと、雇い主ではない。
仲間と言った方が正しいな」
「お金の関係じゃないっていう事?
まさか恋人なの?」
「少なくとも、今は違う」
「ふ~ん、確かに良い男ではあるしね。
ガルベイルの鱗を持って来たって、凄い噂になってるけど、強いの、貴方?」
「あれは偶々この国に来る時通った場所に巣があったから、興味本位で覗いただけで、単に運が良かったのだ」
「そうなの?
・・ねえ、少しお話があるんだけど、何処かで話せないかな?」
「今からか?」
「うん、早い方が助かる」
「・・分った。
知っている店があるから、そこにしよう」
和也はそう告げると、二人を先日の店に案内する。
「個室を頼む」
出迎えてくれた店員にそう告げると、店の奥の部屋へと案内された。
個室に入るなり、女性二人に緊張が走る。
疑問に思っていると、アリアの叔母である女主人が、注文を聴きにやって来た。
「・・いらっしゃい。
ご注文は?」
皆で前回と同じものを頼むと、去り際に、少しどすの効いた声で話しかけられる。
「アリアとの事、遊びだったら許さないわよ?」
「?
どういう意味だ?」
訳が分らない和也は、目の前の二人に向けて、疑問を口にする。
「・・もしかして、知らないでここを頼んだの?」
「ん?」
一向に訳が分らないといった表情をする和也に、二人の緊張が解ける。
「この店の個室はね、つまり、飲食以外にも使われるのよ。
そういう事をするのは、ほとんどが夜の客だけど・・」
「・・それは失礼した。
てっきり大事な話をするための場所だとばかり・・」
「知らなかったのなら仕方ないわ。
でも、酒場の個室は、昼とはいえ初対面の女性を案内する場所ではないわよ?」
「申し訳ない」
「じゃあ、話を聴いて貰おうかな」
そう言って彼女が話始めた内容は、簡単に言えば依頼のようなものであった。
これから地下迷宮に潜るから、その手伝いをして欲しいと。
魔物は極力避け、素材や残留品を探すのが目的だそうだ。
期間は2日間、利益は三人で山分け。
戦闘になった場合は三人で戦う。
魔術師の彼女は、簡単な治癒と攻撃魔法が使えるそうだ。
「話は理解したが、何故自分に持って来たのかが分らん」
「それは・・貴方が強いと思ったのと、アリアの仲間なら、信用できると考えたからよ。
私達は二人だけのパーティーだけど、時には他のパーティーに混ぜて貰う事もある。
でもそんな時は大抵、身の危険を感じながらの仕事になるわ。
全員がそうではないけど、大勢で組む以上、中にはやっぱりそういう目で私達を見てくる人も居るから。
お互いに気を付けて相手を見張っていないと、おちおち寝てもいられない。
もうそんな事に疲れたのよ。
今回組んでみて、もし互いの相性が良ければ、これからはずっと貴方に頼むわ。
お望みなら、直ぐにではないけど、その内あちらの方でのサービスを考えても良い」
自分と話をするのは常に剣士の女性だが、魔術師の彼女も、目を伏せながらも頷いた。
「・・分った。
とりあえず一度、一緒に仕事をしてみよう。
後の事はそれが終わったら考える」
「有難う!
じゃあ、今日このまま行っても平気かな?」
「構わない」
アリアに報告を入れようか迷ったが、まだ念話もできないし(一方通行なら可能)、2日なら大丈夫だろうと判断して、和也は仕事に赴くのであった。
入るのは初めてとはいえ、明け方に隈なく透視をしていたので、大体の事は把握している和也は、落ち着いた足取りで二人の後を付いて行く。
入り口で、武器はと尋ねられたので、アイテムボックスに入れてあると告げると、意外にも、少し警戒された。
魔法はどんなものが使えるのかと尋ねてきたので、とりあえず、浄化の他に、火と水と治癒の魔法は使えると答えてある(嘘は吐いてない)。
初日の内に、3階層の手前まで移動し、そこで一晩を明かす予定だ。
地下迷宮は、横に何処までも伸びる広くて長い道と、地下へと降りる細くて短い通路で構成されている。
その広さはほぼ大陸全土に渡るので、太古の人々が住居として使用した部分と、後に魔術師達が住み着いて、実験や研究を繰り返した地域とが複雑に絡み合い、町1つ分程の広場や小さな国くらいある緑地、地底湖なんかも数多く散在し、上がったり下がったりする場所もあれば、ひたすら降りていく所もある。
基本的には下に行くほど凶悪な魔物や魔法生物が出現するので、冒険者と雖も、やたらには下の階層に降りたりしない。
1日目の今日は、少し急ぎながらの探索だった。
元々大して危険な魔物も出ない上に、そこに存在する冒険者も多く、魔物と戦う彼らの脇を通り過ぎたり、迂回をしながら進む。
既に他の誰かが戦っている魔物に攻撃を加えたり、傷ついている冒険者に治癒を施す事は可能だが、彼らの許可なくそうしても、分け前は貰えないのがギルドの決まりだ。
報酬を得たいのなら、きちんと許可を取るか、戦闘しているパーティーが、全滅するか逃げ出すのを待てば良い。
窮地に陥っているパーティーからの救援要請に応えるかどうかは自由だ。
因みに、理由なく他の冒険者を攻撃したり、殺したりすれば、当然処罰される。
2階層までの浅い場所には、所々に各国が設置した監視カメラがあり、その場の映像を記録しているので、魔物の攻撃とは考えられない不審な死体が見つかれば、直ぐに調査される(各冒険者には報告義務があり、それをせずに遺品などを貰い受ければ、その者も罰せられる)。
3階層からは、魔物もそれなりに強力になり、無闇に冒険者同士で殺し合って消耗すれば、今度は自分達の身が危険に晒される他、予算などの理由もあって、監視カメラは存在しない。
だがその代わり、魔術師協会が売り出している携帯用の記録媒体を使えば、短時間の撮影は可能な上、予め登録された者が死ねば、媒体は即座に決められた場所に転移する仕組みなので(その分非常に高価だが)、やはりそう悪い事はできない。
冒険者の中には、自分の貴重な装備をギルドに登録し、良からぬ事を企む者達から身を守る動きもある(尤も、その装備が余程の物でない限り、登録料の方が高くつき、他と見分けがつかない事も多いが)。
異世界のダンジョンと言えど、そこに居る者に、レベルという概念は存在しない。
世界の管理者である和也が、それを設定しないからだ。
ゲームや小説などで用いられるそれは、経験値が一定の基準に達した時に、管理者から与えられる特定のボーナスによって支えられている。
しかし、そこには様々な矛盾があり、その考え方を現実の生活には適用できない。
レベルではなく、数字やスキルの優劣で表記するシステムも同様だ。
そもそも、あまり人間世界に係わらないでいた和也に、一律にそんな事をする理由はないし、強い相手を倒したから能力が上がるという事は、逆に言えば、そうしない限りどんなに努力しても能力が上がらない、報われないというに等しい。
しかも、その相手が倒せるという事は、既に彼がそこまでの能力を持っていたという事ではないか(不意打ちならともかく)。
レベルやスキルなどという概念は、遊びの中で、他との優劣や差別化を図るためのものか、現実世界で、成果が目に見えにくい職種に就いておられる方などが、日々の安心感と充実度を補うための手段として、ゲームの中で活用するくらいでちょうど良い。
少なくとも、和也はそう考える。
「今日はまあ、こんな所ね」
安全な場所を見つけて、そこに腰を下ろして寝ようとした二人に、和也は浄化で奇麗にした場所と、僅かな食料(寝る前だから)を提供する。
場所が場所なので、水と、野菜と肉の挟まったパンだ。
礼を言い、美味しそうに食べた二人は、疲れているのか、直ぐに眠りに就いた。
道中、早速和也が設置したトイレが役に立ったし(これまでなかったので半信半疑だったようだが)、極浅い階層だから、安物の、折れたり捨てられたりした武器や防具が結構散らばっていて、それを目当てに来た和也を喜ばせた。
二束三文の武器や防具を、しかも壊れているものを、どんどん拾っては浄化し、アイテムボックスに入れていく和也を、二人は少し変な目で見ていた。
そんな彼女達のお目当ての品は3階層にあるらしく、本番は明日だと言う。
4時間後に二人揃って起き出した彼女らは、見張りをしていた和也に寝るように告げて、今度は自分達がその役に就く。
1時間程して、和也が眠りに就いた後、それを確認した魔術師の女性が、ポツリと漏らした。
「本当にやるの?」
「・・仕方ないのよ」
「この人、結構良い人よ?」
「そうみたいね。
私達を、全然嫌な目で見てこないもの。
・・でも、やらないと、私達の暮らしが・・」
「・・・」
その小さな話声は、深夜の迷宮に、悲し気に消えて行った。
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