第7話

 「いらっしゃい。

随分遅かったわね」


夕食の時間をかなり過ぎてから屋敷に赴いた和也を、紫桜が少し不機嫌そうな声で迎える。


「少しやる事が多くてな。

お陰で、大体は終わったと思うが」


「何か、蔵が1つ増えているんですけど」


「米や塩なんかを補充したら、農機具を入れる場所がなくなってしまったから、空いてる場所に勝手に造らせて貰ったのだが、不味かったか?

統一感を出すように、他の4つと全く同じ物を造った積りだが」


「不味くなんかないわ。

寧ろとても有難いし、新しい農具や鉈は、非常に助かるけれど。

・・でも、貴方ちょっと働き過ぎじゃない?

疲れてない?

どれだけ魔力があるのか知らないけれど、あちこち買出しに行ったり、蔵を数時間で建てたり、共同浴場まで改修してくれたそうじゃない。

貴方に何かあったら取り返しがつかないんだから・・お願いだから、無理しないでよね」


夕食に間に合わなかった事をむくれているのかと思ったが、どうやら自分を心配してくれていたようだ。


「このくらいなら心配ない。

魔法が存在せず、道具すら満足にない場所で、己の意志と体力だけで困難と戦っている者も多いのだ。

力に恵まれ、それを己が正しいと思う事に使える機会を得た自分は、幸せであると言わねばならない。

仮令身体が疲れたとしても、それ以上に心が癒されている。

満足がいく仕事をした後に入る風呂は格別だしな。

・・気にかけてくれて、有難う」


何故か風呂という言葉に顔を赤らめるも、和也に負担がかかり過ぎていない事が分り、安心した様子の紫桜。


「今日はね、わたくしの着物や蔵の中を色々と見て回った源さんから、貴方に伝言を頼まれたの。

夜の訓練を少し早めに切り上げるから、自分の家まで来て欲しいそうよ。

何か貴方にお話があるみたい。

源さんの家は、この屋敷の右隣の家よ。

この屋敷を囲むように、志野さんや影鞆さんの家が建っているから、直ぐ分ると思うわ」


「分った。

では、それまでここでお茶でも飲んでいて良いか?

美味しそうな草餅を買ってきた。

あやめや志野の分も買ってあるから、後で食べさせてやると良い」


「嬉しい。

和菓子なんて、おじい様が生きていらした時以来よ。

今は二人とも訓練に出ていて、わたくし以外に誰もいないから、遠慮なく上がって」


「君一人なのか?

・・幾ら何でも少し無防備過ぎないか?」


「大丈夫。

島の正門の結界をものともしない貴方には分らないかもしれないけれど、わたくし一人しかいない時には、この屋敷に掛けてある結界魔法が発動するの。

あやめさんと志野さんの二人が、その結界を解く鍵になってるわ。

だから、二人の内、どちらか一人が居なければ、本来なら誰も敷地に入って来れないの。

それを無視できるのは、ここでは貴方しかいないわ。

わたくしがここまで出てきたのも、それが理由よ」


「結界?

あまりに微弱で分らなかったが、誰が掛けたんだ?」


そこまで言って、そんな事ができそうなのは、この島では一人しかいない事に気が付く。


案の定、紫桜が片眉をひくひくさせて、こちらを見ている。


「微弱で悪かったわね。

貴方と比べられたら、大抵の人はそんなものよ」


「悪かった。

自分は、君を守る結界としては微弱だと言った積りなのだが・・」


「・・貴方って、嘘を吐くのが下手ね。

直ぐに分るわ。

まあ、今回は草餅に免じて許してあげる。

早く上がって」


草餅にかこつけて、笑ってそう言ってくれる紫桜の後を、苦笑に自戒を乗せながら、付いて行く和也であった。



 「美味しい。

よもぎは春が1番良いと思っていたけど、この時期の物も良いわね」


紫桜が幸せそうに食べている。


「店主が言うには、四季によって味が変わるから、季節ごとに食べ比べてみると良いそうだ。

添加物も一切使ってないと言っていたから、この時代の者にも違和感なく食べられるのではないかな」


「添加物?」


「魔法がない世界では、物を長期間保存したり、人工的に色や味を調えたりするのに、ある種の薬のようなものを使うのだ。

それが人体に溜まり過ぎると、良くない影響を与える事もある」


「ふーん。

何でそんな事をするのかしらね」


和也とは何の遠慮もなくなった紫桜の言葉遣いが、かなり砕けた物言いになる。


「本来なら、ある場所やその季節にしか食べられない物を、1年中、何処でも食べられるようにするためなのが主な理由だろう。

あとは、本物を食べる事が難しい者に、味と姿を似せた物を与える役目もあるな」


「随分贅沢な世界なのね」


「その世界では、人口が増え過ぎた上、富が偏り過ぎて、逆に旬の物を食べる事の方が贅沢になりつつある。

様々な食べ物が品種改良され、人工飼育された結果、食べ物で季節を感じる事も減ってきてしまった。

だが、どちらが良いとは一概には言えぬ。

風情を求め過ぎれば自然との付き合いが重視され、その結果、全てを天候などの運に左右されたり、移動や流通が不便になって、病気や怪我での治療が間に合わずに、命を落とす者が出る。

都市化、機械化が進み過ぎれば、時間に管理された者達から、余裕やゆとりが失われていく。

この世界のように、自然が豊かな中で、人が相応の生活ができるのは、偏に魔法という便利な存在のお陰だ。

自分達は、普段何気なく使っている物にこそ、もっと敬意を払う必要がある」


甘い物を食べて、お茶が欲しいであろう紫桜に、海底で引き揚げた陶磁器の中から、大小2つで絵柄の同じ湯呑みがあったのを思い出し、それを用いて茶を淹れてやる。


「・・有難う。

貴方もわたくしと同じ気持ちでいてくれる事が嬉しいわ」


「?

そんなに茶が飲みたかったのか?」


「わざと言ってるの?

フフッ、相変わらず、こういう事には鈍いのね。

・・これよ」


そう言って、彼女が視線で示した先には湯呑みしかない。


「その湯呑みがどうかしたのか?」


「これ、貴方が飲んでいる物と同じ形と絵柄でしょう?

こういう大小同じ柄の物を、夫婦茶碗と呼ぶの。

結婚した夫婦が、いつまでも変わらぬ愛を誓って、二人で使うものよ」


からかい半分に、少し大袈裟に伝える紫桜。


「済まん。

では、自分は何か違う湯呑みを使おう」


慌てて他の湯呑みを出そうとする和也を、紫桜がにっこり笑って止める。


「冗談よ。

夫婦茶碗なのは本当だけど、そこまでの意味はないわ」


「・・実は、先程の草餅には、もう1つ別の食べ方があってな。

餡の入っていない物に、氷砂糖で作った蜜と、きなこをかけて食べる物があるのだ。

いやあ実に惜しい。

君はもう満腹のようだし、自分だけで食べるとしよう」


エリカに大分鍛えられた和也は、時によって、反撃する手段を学んでいた。


「それでやり返した積りなの?

・・貴方はきっと、わたくしが何も謝らなくても、ちゃんとわたくしの分まで用意してくれるわ。

だって貴方は、わたくしが心から愛してる、優しくて思い遣りに溢れた、素敵な人ですもの」


からかうような笑みを収め、穏やかで、しっとりとした笑顔で、その事を心の底から信じて疑わないような口調で語りかけてくる。


暫し、じっと見つめ合う二人。


やがて、負けを認めた和也が、目線を逸らしながら、彼女の皿に、新たな草餅を数個出してやる。


「フフフッ、ご馳走様です。

思ってもない事を言っている人と、心からの言葉を伝えてる人の差ね」


楽しそうな笑みでそう言いながら、別に添えられた蜜ときなこを草餅に塗し始めた紫桜に、魔力でお茶を注ぎ足し、手拭を用意してやりながら、風呂とはまた赴きの異なる、二人きりの穏やかな時間に、身を任せる和也であった。



 夜の訓練を終え、あやめ共々風呂で汗を流したであろう頃、教えられた源の家に出向く和也。


紫桜の屋敷に比べると、かなりちんまりした家で、教えられなければ、ここが領主を直接補佐する者の家だとは分らないであろう。


「毎度ありー。

御剣養鶏場ですー。

ご注文をお伺いに参りましたー」


玄関の扉を開け、抑揚のない、平坦な声でそう呼びかける和也に対し、あやめが苦笑しながら出てくる。


「また人を観察対象にしてるのかい?

済まないが、今日はそういうお遊びはなしだ。

真面目な席だからね。

上がっておくれ。

奥で源も待ってるからさ」


「真面目な話?

・・そうか。

苦情でなければ良いが」


よく見れば、あやめは自分が贈った黒の留袖を着ている。


家の中を流れる空気にも、何処かしら緊張感が漂っている。


彼女に案内されて向かった、8畳くらいの和室には、紋付袴に身を包んだ源が、正座して待ち構えていた。


「よく来てくれた。

そこに座ってくれ」


そう促された席は、床の間を背にした上座である。


違和感を覚えながらも、指示された通りに腰を下ろすと、あやめが源の隣に正座して、姿勢を正す。


それを確認してから、源が厳かに口を開いた。


「この度は、姫様並びにこの島のために、並々ならぬご尽力を頂き、心から感謝致します。

姫様も、御剣殿にはお心を許し、何れは夫婦めおとになりたいとまで申しております。

私共は、代々花月家を預かる者として、御屋形様亡き後、姫様を見守り続けて参りました。

私共の願いは、偏に姫様のお幸せのみ。

どうか今後とも、姫様を宜しくお願い致します」


そう言って、源とあやめが畳に両手をついて、深く頭を下げる。


先日まで、自分を紫桜につく悪い虫のように言ってきた源の変わりように、少し驚く和也。


ただ、二人の様子と先程のあやめの言葉からも、決して冗談などではない事が解る。


紫桜を妻に迎えるかどうかの話は、てっきり二人だけの秘密だとばかり思っていたが、この二人は既に知っているようだし、この分だと、志野辺りにも漏れていそうだ。


紫桜ほどの女性であれば、二人にお願いされるまでもなく、喜んで迎え入れたいし、どうするかを選ばれるのは、寧ろこちらの方なのだが、この二人は自分達のけじめとして、こちらに頭を下げているのだろうから、彼らの行動は受け入れておく。


その上で、言わねばならない事だけは、きちんと伝えておかなければならない。


「紫桜を妻に迎え入れるかどうかの最終的な決定権は彼女自身にあるが故、自分は今ここではっきりと約束はできないが、これだけは言っておく。

自分は、仮令紫桜が自分との婚姻を取り止めたとしても、彼女の命ある限り、見守り続けていく。

その際は、彼女の人生を尊重し、必要以上の介入はしない積りだが、少なくとも、予期せぬ災害や事故などの身の危険からは完全に守り、日々の生活においては、もう二度と惨めな思いはさせない程度の援助はする。

自分がここに来てからの、ほんの僅かな時間の中で、紫桜からは、それを大きく上回る、温かい思いを受け取った。

仮令彼女が自分の側を去ったとしても、その温もりを思い出すだけで、自分は幸せであると断言できる。

・・自分には、既に二人の妻がいる。

その何れも、自分には過ぎた女性達であるが、紫桜も、彼女達に勝らずとも劣らない、魅力に溢れた女性であるのは確かだ。

お互いの関係が、この先どう変わろうとも、それによって、彼女という人物への接し方を、変える積りはない」


己の真の姿を知った紫桜の心が自分から離れてしまえば、今のような”異性”としての付き合いはできない。


だが、幸せな時間をくれた彼女を、陰から見守るくらいは許されるであろう。


彼女にはそれを言わずとも、この二人にだけは伝えておこう。


それが、きちんと場を設えて、自己の思いを真摯に伝えてきた者達への、礼儀でもあろうから。


「・・良かった。

御剣殿は本当に、姫様の事を考えていて下さる。

自分の都合の良い時だけ、己に利益がある間だけ、姫様に言い寄って来る者達とは違う。

本当に良かった。

御剣殿になら、安心して姫様をお任せできる」


源がゆっくりと、下げた頭を上げながら、目を潤ませて、和也を見つめてくる。


あやめは、同じように頭を上げながらも、穏やかな目で和也を見てくる。


もし自分に、親というものが存在したなら、これ程までに情を注ぎ、慈しんでくれたであろうか。


血の繋がりのない、他者の子であっても、共に過ごした十数年の歳月が、お互いを親子以上の何かに昇華させるのか。


自らの子であっても愛せない者すらいる中で、こうした二人のような者達を生んでゆけるこの世界。


創って良かった。


こんな時、和也はつくづくそう思う。


「話が以上なら、三人で酒でも飲まないか?

美味い酒と鯛の酒蒸し、刺身やニシンの昆布巻きなんかも用意するぞ?

カラスミやアン肝も良いな。

どうだ?」


湿っぽくなった場を元に戻そうとする和也の計らいに、異論を唱える二人ではなかった。


二人が普段着に着替える間、和也はこの家の間取りを確認していた。


・・やはり、風呂がない。


一々共同浴場まで入りに行っているのか?


幾ら何でも、この島のナンバー2の者達の家にしては質素過ぎるであろう。


子供ができれば、まだ小さい内は、共同浴場では何かと困るであろうし。


庭を見渡し、その風情やバランスを崩さない場所を探す。


・・家の裏手しかないか。


ちょうど、紫桜の屋敷と同じように、土塀の裏手が少し木の茂った空き地になっていて、その後ろが小山の斜面になっている。


まあ、文句を言われたら直せば良いだろう。


そう考えて、空き地の整地をした上、土塀を10ⅿ程後ろにずらし、できたスペースの、トイレと反対側の場所に、家族三人が入れるくらいの風呂場を造ってやる。


湯船は檜にしてやり、子供が腰掛けて入れるように段差を設け、木製の椅子と桶、手桶を備える。


天井を高めにし、木造故に建物全体に防水加工を施して、お湯は紫桜の屋敷に湧き出る源泉を少し分けて貰う。


念のため、裏手の小山が崩れてこないように、その斜面に崩落防止の結界を施した。


ここまでの作業を3分でこなし、何食わぬ顔で、庭に面した縁側で月を見る。


程無くやって来た二人が腰を下ろした場所のテーブルに、先程言った料理を並べて酒を出す。


「相変わらず便利だし、凄いご馳走だね」


「鯛の大きさが半端じゃねえな」


喜ぶ二人と共に席に着き、酒と料理を勧める。


「今日の酒も美味いぞ。

酒本来の色を保ち、熟成させる事で味に深みを出している。

これは、その酒の中でも多くの愛好者がいる大吟醸だ」


料理を堪能しているあやめと源の杯に、なみなみと注いでやる。


「・・美味しい。

この間のも素晴らしい味だったけど、これもまた格別だね。

独特の後味がするよ。

何てお酒だい?」


「名前は・・志野が喜びそうな、”姫”という文字が入っているとだけ言っておこう」


「これも蔵に?」


「ある。

この酒は、熟成させて飲むものだから、蔵での貯蔵に向いている。

だが、生酒は冷蔵保管が鉄則だから、そういう酒の酒樽は、冷蔵保存の魔法が効いている。

触れば冷たいから、直ぐ分るだろう」


「大吟醸は流石に出せないけど、普通のお酒は、村の者にも分けてやって良いかい?

ここの所、訓練にもよく参加するようになってきたし、頑張ってるみたいだからね」


「前にも言ったが、蔵の物は紫桜にやった物だ。

お前達で相談して、好きに使うが良い。

ただ、酒樽だけは、仮令空になっても残しておけ。

後で使い道がある」


「分った。

有難うね」


「そういえば、源、お前達の戦う姿に勇気を貰ったと、菊乃が褒めてたぞ」


先程から黙って飲み食いに専念している彼に、彼女の言葉を伝えてやる。


「ほう、そいつは嬉しい。

やっと俺も一人前になったってとこかな」


懐かしい事でも思い出しているかのような顔で、そう口にする。


「以前に何かあったのか?」


その表情が何となく気になった和也は、源に聴いてみた。


「・・俺の左目、火狐にやられた跡があるだろう?

これはまだ20歳を少し過ぎた頃の、青二才だった時の傷だが、その当時の俺は、訓練はしていても伸び悩んでいてな。

別に焦ってた積りはなかったんだが、思うように身体が動いてくれなくてよ。

案の定、その年の奴らとの戦いで、片目をやられちまったって訳さ」


「話の腰を折って済まないが、何故直ぐ魔法で治さなかった?

紫桜はヒールが使えたし、彼女が幼かったとしても、誰かしら回復魔法を使えなかったのか?」


「雪月花という国はな、女以外には、日常生活に必要な簡単なものしか、魔法の習得が許されないんだ。

天帝が女しかなれない以上、その地位を脅かす存在を作れないようにするためだな。

そんで、この島に御屋形様と共に渡ってきた家臣達は、皆、妻と離縁してここに来ている。

流された住民を含め、満足に回復魔法を使える大人の女が居なかったのさ。

あやめや志野は、母親より父親に懐いていたからこっちに来たが、普通は、本国からこんな島に来たがる女はいねえよ」


「では紫桜はどうなのだ?

皇族なのだろう?

幾ら祖父に懐いていたとはいえ、祖母や母親が許したのか?」


「・・姫様は、ちょっと微妙な立場にいなさってな。

お生まれになった時から、とてもお美しいと評判になり、年々それが顕著になるにつれて、天帝の家の者達から疎まれ始めたんだ。

次期天帝は、姫様こそ相応しいという声が、周囲から上がり始めていたからな。

まだ3つ4つの幼い子供だったが、頭も良く、魔法の才能も有りそうな姫様を恐れて、色々と花月家に圧力をかけてきた。

顔も見た事のない相手と、無理やり縁談の約束までさせられそうになり、それを拒んだ御屋形様が、自分が去った後の姫様の境遇を心配して、一緒に連れて来たんだ。

母親は、姫様さえいなくなれば、天帝側からまた良くして貰えると、寧ろ喜んでいたくらいだからな」


「・・・」


「んで、姫様がヒールを独学で覚えなさった頃には、もうこの傷は治せなかった訳だ。

奴らの爪には遅効性の毒があるが、毒の進行がかなり遅い代わりに、中々に厄介な代物みたいでよ。

ある程度の時間が経っちまうと、普通のヒールでは治せないようだな。

・・姫様が、御屋形様の毒を消そうと何度も何度もヒールを掛けていた姿が忘れられねえよ」


「天帝とは、そんなに大層な存在なのか?

高々1国の王に過ぎないのだろう?」


「神が、この世を治めるために、お遣わしになった者の子孫だと言われている。

ホントかどうか分らんけどな」


「・・・。

口を挿んで悪かった。

お前の話の続きを聴かせてくれ」


少し酔いが回ってきたような源に、続きを促す。


「ええと、何処まで話したっけな。

ああ、・・そんで、しょぼくれて、自信を失いかけていた俺に、御屋形様が言って下さったんだ。

『源よ、”戦ってやる”、”守ってやっている”と考えている内は、己の本当の力は出せんぞ』ってな。

・・そのお言葉の、真の意味に気付くまで、暫く時間がかかった。

翌年の、奴らとの戦いで、あやめが奴らに殺されそうになった時、初めて頭の中が真っ白になった。

考えもせずに、身体が動いていた。

それまでで最速の拳を、奴の顔面に叩き込んでいた。

・・その後は、無我夢中で戦った事しか覚えていない。

あやめに指一本触れさせないために、全神経を奴らの動きに集中させていたんだろうな。

戦いが終わって、御屋形様に『良くやった』と肩を叩かれるまで、ただじっと、前だけを見ていた。

最前線で戦う、御屋形様達の頼もしい背中に励まされながら、ただ、あやめを守る事しか頭になかった。

同じ自らの意思でありながら、『守る』と『守ってやる』とでは、あんなにも差が出る事に気付かされたその後は、見違えるように身体の動きにキレが出た。

人が、一人では生きていけない理由とやらが、何となく分った気がするのも、その時からさ」


酔いの回った良い気分で畳に横になった源に、風邪を引かないよう、あやめが着物をかけてやる。


暫く無言で月を眺めながら、あやめのお酌で酒を楽しんだ和也は、彼女に礼を言い、草餅の土産を置いて、家へと帰るのであった。



 「源さん達と何を話してきたの?」


既に見慣れつつある、自分に悪戯を仕掛けてくる時の笑顔。


大方、聴かなくても分っているのだろう。


風呂にやって来た紫桜は、己の聴きたい台詞を、わざわざ自分に言わせようとしているように思える。


「鯛はどう料理するのが1番美味いかを、あやめと三人で熱く議論してきた」


「そんな訳ないでしょう?」


期待した答えが返ってこない事に、僅かに口を尖らせる紫桜。


「源とあやめの馴れ初めをじっくりと聞かされてきた」


「それも嘘よ。

もっと大切なお話だったでしょう?」


少し焦れてきたのか、かけ湯を手早く済ませ、自分の脇に座り込み、こちらの顔を覗き込んでくる。


「紫桜が小さい頃の恥ずかしい話を・・」


話の途中で紫桜に両手で顔を挟まれ、顔を彼女の方に向かされて、至近距離から見つめられる。


「早く本当の事を言わないと、酷い目に遭うわよ?」


「ほう。

どんな?」


「貴方の息を止めるわ」


「随分物騒な・・」


言葉の途中で、彼女の唇に自分のそれを塞がれる。


まるで本当に息をさせないかのように、ぴったりと、強く押し付けてくる。


1分以上そうしてから、彼女自身が苦しくなったのか、こちらの目を見ながら、ゆっくりと離す。


「・・何のお話をしてきたの?」


囁くように言いながらも、こちらを威嚇するような凄みがある。


「女性の何処に魅力を・・」


再び唇をぶつけてくる。


暫くしてから唇を離すと、自分の首に両腕を回し、額をくっ付けてきながら、咎めるように見つめてくる。


「1日1回ではなかったのか?」


「な・ん・の・お話だったの?」


こちらの抗議を無視して、再度聞いてくる。


「・・君を宜しくという話だった」


「それで、何て答えたの?」


「どうするかは君次第だから、まだはっきりとは約束できないと」


「馬鹿。

馬鹿、馬鹿っ!!」


不貞腐れて、自分の身体の向きを変え、背中を和也に押し付けながら、その足の間に座り込み、和也の両腕を取って、自らを包むように抱え込む紫桜。


「最終的な君の判断によっては、きちんと迎え入れると約束したではないか。

何故そうまで怒るのだ?」


「・・だって、時々不安になるのですもの。

わたくしを愛しているともはっきり言ってくれないし、『抱いて』とお願いしても、それも先延ばしにされてるし。

口づけだって、いつもわたくしからばかりで、貴方からして貰った事ないし。

・・わたくしは、日を追うごとに、貴方にどんどん惹かれていくのに、貴方はいつも何処か遠くを見つめるような眼差しで、わたくしの恋に焦がれた視線を宥めてしまうのですもの」


紫桜が、少し寂しそうにそう言ってくる。


そんな彼女の体温を感じながら、和也は、エリカに気持ちを告げられた頃の自分を思い出していた。


喜びで舞い上がりながらも、やっと手に入れた幸せを失うのが怖くて、色々と醜態を晒した気がする。


異性に初めて恋をした紫桜も、きっと、自分の思いを持て余して、戸惑っているのだろう。


あの時、空っぽの蔵の前で己に誓ったように、もう二度と、自分を見失うような愛し方はしないが、大切な相手を不安にさせるようでは意味がない。


和也は、紫桜に抱え込まれた腕に少し力を込め、抱き締めるようにして、彼女の耳元に言葉を紡ぐ。


「自分は君を、紫桜を、・・愛している。

心から愛しいと思っている。

君の容姿だけではなく、その心の美しさ、魂の在り方に強く惹かれている。

君の笑顔を何時でも見ていたい。

そのために、できる事をしてやりたい。

君が自分にとって、本当に大切な者だからだ」


己の言葉が、紫桜により深く伝わるようにと、彼女を抱き締めている腕に、更に力を込める和也。


その『愛している』という言葉に、身体を硬直させていた紫桜は、暫くしてからゆっくりと身体を弛緩させ、下を向いた顔に両手を当てて、静かに嗚咽を洩らし始める。


流れ出る湯の音に、ともすればかき消されそうになる彼女のむせび。


その心の震えを、しっかりと受け止める和也であった。



 「おはようございます」


鶏と魚たちに餌を撒いていた和也に、菊乃が元気な挨拶をしてくる。


和也が渡した紬と袴が、彼女の爽やかな笑顔によく映える。


辛い境遇や背負わされた過酷な義務に負ける事なく、向日葵のように笑える今の彼女には、会う度に、何かしてやりたくなる。


握手をした和也の手を、自らの両手で包み込み、照れたように下を向く菊乃をベンチに座らせ、オレンジジュースを出してやりながら、今日は何を景品にしようかと考える和也。


「菊乃は暇な時、何をしているのだ?」


「暇な時、ですか?

そういう時間はあまりありませんが、最近は、頂いた笛の練習をしています。

曲を全然知らないので、ただ、音を出しているだけですが」


恥ずかしげに笑ってそう答える菊乃。


「そんなに毎日忙しいのか?」


「私だけが忙しい訳ではありませんが、鍛錬と畑仕事で半日以上過ぎてしまいますし、この頃、お風呂に入る時間が少し長くなりましたので」


何故か顔をほんのり赤らめて、そう告げてくる。


「一体どれ程鍛錬しているのだ?」


「夜の訓練を入れて、1日8時間くらいです。

私はまだ皆さんの足を引っ張っているので、できる限り頑張らないとご迷惑になりますから。

もう直ぐ、赤い満月ですし・・。

あの、御剣様は、それまでここにいらっしゃいますか?」


「少なくとも、赤い満月の夜には、まだここに居る」


「では、姫様とご一緒に、戦いをご覧になるのですね?」


「戦いを見る?」


「違うのですか?

当日の夜、姫様は、本国のお役人達とご一緒に、門の外の観覧席から私達の戦いをご覧になられます。

以前、姫様も、後方からの魔法支援を望まれたそうですが、お美しいそのお身体に、傷など付いたら取り返しがつかないと、本国の許可が下りなかったそうです」


「?

だが、彼女の祖父や父親は、戦いに参加していたのだろう?

何故紫桜だけ駄目なのだ?」


「私も源さんから少しお聞きしただけなので、あまり詳しい事は分りませんが、本国に、姫様をお嫁にお迎えしたいと望まれる偉い方が大勢いらっしゃって、天帝様も、そのお声を無視できないのだそうです。

御屋形様とお父上がお亡くなりになった後、本国から、かなり強く戻るように命じられたそうですが、姫様は頑としてご了承なさらず、そのために、以前にも増して、本国からの嫌がらせが増えたと聞いています」


「今、この島には、彼女の他に回復魔法が使える者が居るのか?」


「いいえ。

ですから、戦闘中に傷を負っても治せないので、その場合は最後方に下がって、戦いが終わるのを祈るしかありません。

門の結界は、予定数を倒し終わるまでは、姫様が終了宣言をされない限り、開かれませんから」


「・・宣言した場合は、足りない分の人数が、鉱山送りになるのだったな」


「・・はい」


「菊乃は魔法が使えるのか?」


「浄化と、火魔法をほんの少し。

薪が足りない時に重宝するので、優先的に覚えました。

ご飯を炊く事もできないくらいですが」


恥ずかしそうに下を向く菊乃。


「・・今日の景品は、菊乃にだけ大サービスだ。

絶対に他の者に言わないこと。

母親にも内緒だぞ。

その約束を守れるならだが、どうする?」


「え?

皆さんに秘密の事なんですか?」


「そうだ。

ばれたら色々と面倒な事になるからな」


真面目な顔で、菊乃を見つめる和也。


「え、え?

私なんかで良いのですか?」


「(後方支援の)君が適任だ」


「じゃ、じゃあ、お願いしても良いですか?」


「勿論だ。

目を閉じてくれ」


「は・・い」


顔を真っ赤にして、目を閉じ、顔を上向かせる菊乃。


和也の瞳が蒼みを帯び、右手の人差し指が菊乃の額に触れる。


「もう良いぞ。

これで大丈夫だ」


「え?」


菊乃が、訳が分らないといった様子で和也を見て、次第に何かを理解したかのように、その顔を更に赤くする。


「み、御剣様のバカーッ!」


いきなり走り出して去っていく菊乃。


「・・何故だ?」


呆然と、彼女の後姿を見送る和也であった。



 (地球のスーパー)


再開発の波に乗って街が大きく様変わりし、行政が、住み良い街造りを掲げて保育施設の充実を図った結果、人口がここ数年で急激に増え、それを当て込んだデパートや商業施設が次々オープンしては客の取り合いを繰り返す、そんな繁華街の一角に、その店はあった。


大手チェーン店の内の1つでもあるその店は、この地域の古株でもあり、再開発前から地元住民に愛されてきたが、新しくて小奇麗な大型施設にどんどん客を奪われ、ここ1、2年の売り上げはかなり低迷している。


そんなスーパーの食肉売り場に、今日も渋い顔をしながら肉をさばく、一人の中年男性が居た。


慣れた手つきで様々な肉をさばきながらも、時折長い溜息を洩らす。


それでも、さばいた肉を手際よくパック詰めしては、店頭に並べていった。



 男の憂鬱が最大になるのは、閉店間際の2時間である。


丁寧に処理された肉たちに、3割引、半額と、1時間刻みでシールを貼っていく作業は、男が嫌いな仕事の上から2番目だ。


勿論、最も嫌な仕事は、賞味期限切れで肉を廃棄する事である。


魚の刺身などと異なり、肉には賞味期限にある程度の幅があるが、それでもせいぜい4、5日で、ジビエに施す熟成処理のような手間をかける余裕もなければ、その権限すら与えられない。


上からの指示は、とにかく新鮮でバラエティーに富んだ肉を提供し、他の店に見劣りしないという事であり、ある程度の赤字は無視される。


ここで赤字を出しても、呼び込んだ客が他の部門で何か買ってくれれば、全体的な売り上げは達成されるからである。


総売り上げという数字だけが一人歩きし、利益率という実質を伴わない、上辺うわべだけの仕事。


それでも、まだ十分食べられる肉を、形式的な日付だけで判断して無残に捨てるよりは全然増しだった。


割引シールを貼る事自体は、実は然程男にとって苦痛ではない。


定価では手が出ないような良い肉を、偶には安く客に提供し、それで喜んで貰えるなら、それはそれで良いかとも思う。


商品というものは、一度でも安く売ってしまうと、客側がそれを覚えてしまい、常にその値段を基準にして判断するようになる可能性が高いので、正直、あまりやりたくはないが、足繁く通ってくれる客には、サービスしたい気持ちも当然、男にはある。


問題は、割引シールを貼っていくという行為が、肉を捨てる期限のカウントダウンのように感じられるせいなのだ。



 男の生まれた家は田舎で酪農を営み、多くの家畜を育てていた。


朝早くから夕方まで、牛の世話をし、自身の身体にその臭いが染み付いても、元気に育つ家畜たちを見れば、笑う事ができた。


だが、現代を生きていく以上、お金を稼がねばならず、愛情込めて育てた牛たちを、食肉用に売りに出さねばならない。


それまで親身になって育てられていた牛たちが、人が生きるためとはいえ、一転して殺される立場になった時、一体何を思うのかは考えないようにしていたが、屠殺場に彼らを送り出した夜には、只々酔って忘れるためだけに、親父と二人で酒を飲んだ。


屠殺場で働く人達には、本当に頭が下がる。


昔は、差別階級の人達が働かされていたという根も葉も無い噂もあり、残念な事に、その仕事に顔を顰める者もいる。


だが、そこで働く彼らとて、温かい心を持った人間なのだ。


理由なく生き物を殺す事に、痛みを感じない訳がない。


仕事だからと、完全に割り切れるはずもない。


それでも、誰かがやらねばならないから、彼らはそれをしてくれている。


他人が嫌がり、避ける仕事を、黙ってしてくれる人達のお陰で、世の中は上手く回っているのだ。


もし自分が、世話した家畜を生きながらにさばいて、その後売りに出せと言われたら、酪農を続ける事はできなかっただろう。


尤も、その家も仕事も、天災であっけなく潰れ、失意の親父はまるで辛い事を忘れたいかのように認知症になって施設に入り、自分は職を求めて都会に出てきた。


知らなくても良い事も、世の中には多々あるけれど、自分達が普段何気なく口にして、簡単に捨てているものが、どんな風にしてそこまで辿り着くのかを少しでも知って貰えれば、仮令僅かでも無駄にせずに済むのにとの思いが、この男には強過ぎる。


人の糧にさえならないのであれば、一体何のために、彼らは死んでいったのか。


半額シールも虚しく、期限切れでゴミとして捨てられる肉の数々。


3000円もする肉に半額シールを貼ったところで、買える人は限られるだろう。


この店に真に必要とされる質と量の肉だけを店頭に並べられれば、無駄は半分以下に抑えられるのに、客に対する見栄えを重視する上の人間は、売り場を商品で溢れさせろとそれを許さない。


期限切れの肉を惣菜や揚げ物に転用するにも限度があり、以前、廃棄された肉を不届きな業者がゴミからあさって再利用していた事が明るみに出て、消費者の期限に対する目がかなり厳しくなった事で、賞味期限が切れたら消費期限にラベルを貼り替えて、こっそりと再度売り場に戻すという荒技も難しくなった。


なので、あまりに廃棄が多い時には、男が自分で少し購入していた。



 今日もまた、閉店まで30分を切った。


それなのに、近隣の商業施設に入る食肉売り場が利益度外視の大セールをしたあおりで、半額品が大幅に売れ残っている。


給料日まであと6日。


今月は既に2万円程、処分するはずの肉を買い取り、もう懐に余裕はない。


自宅の冷凍庫も、買い取った肉がぎっしり詰まっていて、夏にアイスを入れる隙間すらない。


胃がちくちくと痛み出す中、お客が来る事を祈って、売り場の奥の処理場から店の入り口付近を注視していた男の前に、その者は現れた。


全身黒ずくめの、まだ10代にしか見えない少年。


およそ自炊しているようには見えないその少年は、値段も見ずに、半額品の肉を片っ端から買い物籠に入れていく。


両手の籠一杯に肉を入れた少年は、他の商品には見向きもせずにレジに行く。


会計を終え、店を出て行くその少年を見送り、どっかのレストランのスタッフかなと考えながら、大分減った半額品を見て、少し溜飲を下げた男の前に、再度その少年はやって来た。



その両手には、空の買い物籠が握られている。


おいおい、マジか?


熱い期待を込めて少年を盗み見る男。


その期待に応えるかのように、少年は、残り全ての半額品を籠に入れ、空いたスペースに3割引きの肉を詰めてレジに行く。


店を出て行く少年の背中を、まるで救世主のように見つめた男は、久し振りに美味いビールが飲めそうだと喜んだ。


!!


直ぐにまた、その少年はやって来た。


同じように、両手に買い物籠を持っている。


『神様』


祈るように奥から見つめる男の前で、少年は、3割引の肉の全てを籠に入れ、さっさとレジへと向かう。


『君は今日からこの売り場のV・I・P』


心の中で、最上級の賛辞を送りながら、奥の処理場で敬礼して、少年を見送る男であった。



 余談だが、この後、このスーパーが店を畳むまでの3年間、閉店間際の時間に、まだ売れ残りの半額品の肉があると、この少年はやって来た。


不思議な事に、半額品が全く残っていない日には来ない。


また、閉店1時間前に、半額シールが貼られた直後にも来ない。


半額目当ての客が、一通り買い終えた閉店10分前くらいの時間に、ふらりとやって来ては、そこに残っている半額品を全て購入していく。


その結果、本来なら賞味期限切れの肉で作られるこのスーパーの惣菜や揚げ物が、全て期限切れ前の鮮度の良い物で作られるようになり、それが更に半額品の肉の数を減らす事に繋がって、男が自腹で廃棄するはずの肉を買うという事が一切なくなった。


お陰で、男の家の冷凍庫にはアイスが入れられるようになり、暑い日の楽しみが、ビールの他に1つ増えたようである。



 和也は、収納スペースに入れたままの状態で、買い取った肉の全てに処理を施した。


包装を全部取り去り、付着した血や細菌の類を浄化して、種類ごとに分けて自作の容器に入れる。


その過程で出たゴミは、生ゴミは消滅させ、プラスチック類は汚れを浄化してから、リサイクルを目的とした店専用のゴミ箱に捨てる。


「夕食の時間には間に合わなかったな」


あのあと、泣き止んだ紫桜は、湯で顔を洗い、手ぬぐいで拭いた顔をこちらに向けて、とても嬉しそうに微笑んでくれた。


後ろから彼女を抱え込んだ自分の腕に、そっと両手を添え、風呂から出るまで一言も喋らずに、二人きりの時間を楽しんでいた。


まるで、少しでも何かを話したら、自分が言った『愛している』という言葉が、消えてしまうとでもいうかのように。


大分慣れつつある、憧れの星の華やかな夜景に暫しその身を溶け込ませ、そののち、彼女の下へと帰る和也であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る