朗読

朗読とは


掌から噴き出す汗や

呂律の回らない舌や

鼓動が荒ぶる心臓や

緊張で震える唇など


ハウリングするマイクや

目を潰すほどの照明や

とつぜん読めなくなる文字や

喉が渇いて裏返る声など


時間を気にする司会や

首を傾げる観客や

深くうなずく朋友や

手練れの控えの詩人など


舞台に立つ前の期待や

第一声の前の静けさや

まばらな拍手の後悔や

打ち上げで飲む酒の苦さなど


そのとき

詩が

そこにある

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る