第5話


更新遅くてすみませんでした。


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優月視点



《看破》を発動させて中身を見ていく。



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ヒュドラの胆汁


レア度 : 伝説級


ヒュドラの胆汁。中にはヒュドラの猛毒が入っている。


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耐毒のペンダント


レア度 : 伝説級


毒への耐性を付与されたペンダント。大抵の毒には耐性を持つ。


スキル付加


・毒耐性lv.6 : 毒に対しての耐性を持つ。


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この二つがドロップ品だった。僕は確認を終えるとペンダントを《アイテムボックス》に仕舞い胆汁を取り出す。


胆汁は試験管のようなものに入っておりそれが何本もあるため結構な量になる。本来なら武器に塗ったりするものだとは思うが、今回は違う使い方をする。この戦いの前決めていたことで毒を完全に克服するということだ。先程は『聖闘気』で無効化したが今回の本題はこちらだ。



『気』という言葉がある。

その起源は中国に由来したもので、気は体内を血液のように巡っているものだとされている。また気功の気に関わらず中国由来の気の定義は全て陰陽五行思想に由来する。

そのため、気はこの世の全てのエネルギーの総称であり、そのエネルギーを集めたり散じさせる力もまた気であるとされる。


そして僕は地球での過酷な実験の中この『気』という力に気づいた。


それはほんの偶然であった。身体に有る僅かな変化。それをはっきりと自覚した時に『気』という存在を認知した。

この気は当初無いにも等しい程の量だったが、それを意識して使うごとに量は増えていった。使うと言っても、『気』を放出して枯渇させ、回復により量を増やすと言ったものだ。

ただし枯渇すると全身が痛み大変だった。まぁその頃には痛みへの耐性をつけるための拷問も始まっていたためあまり気にならなかったが。


それはともかく、『気』の量は増やしていたが、それの活用方法を見つけることはできなかった。何せ操作はできるが、別に何か効果があるわけでもなかったからだ。

本来の用途は治療だと知識としてはあったが、自分の体を治すことはできなかったため、練習のしようがなかった。ただそれでも自分の勘が今後必要になると訴えてくるため継続していた。


それからしばらく経って遂に変化が訪れたことに気づく。気が見えるようになったのだ

。それにより分かったことは気の本質は変化だということ。

気を目視できるようになり周囲を見た結果生物は全て大なり小なり気を持っていた。

そして多様な性質を有していたのだ。さらにはその性質さえ固有のものではなく移り変わるものであった。


このことよりどうやら僕の気は何の性質も持っていないという性質だということがわかった。


そもそも『気』とは変化するエネルギーのことだ。そしてそのエネルギーを変化させられるのは己の意思ではなく、長い年月自然から気を取り込み続けたもののみ。

それは植物であったり、動物であったり、魔物であったりする。また人だと、長い年月修行をした仙人と呼ばれる者達が該当する。

それらは全て種としての格が高く、また奇跡のような力を有していることもある。例えば、神話に名を連ねる怪物とか。


そう、だからこそヒュドラの猛毒の根幹を成すエネルギーを自身に取り込みさえすれば、常に毒を体内で生成しているのと同じことが気によって可能になる。なにせ僕の気の性質はどんな性質にもなれるのだから。ただし、あくまでも理論上の話だが。


僕はヒュドラの胆汁を取り出し、体内の気を高める。莫大な量の気が体内で活性化し始めるが、勿論何の効果もない。次に胆汁にある気の量を見る。そこには思った通り長い年月を経て貯まったと思われる大量の毒の気が存在していた。



毒の気を少しずつ自分の中に取り入れていく。この際、慎重にやらないと気と気が反発し合ってしまうので気をつける必要がある。


ゆっくりと取り出し、少しづつ混ぜる。僕の気は無色から段々と紫に変わり、毒の性質を持ち始める。



三時間は経っただろうか、毒の気を全て取り込むことに成功した。


《マスタースキル気功術を獲得しました。》


《マスタースキル毒創造は気功術に統合されます。》


するとスキルのアナウンスが流れる。僕はステータスで《気功術》の詳細を見る。


・気功術…気を操る術。

 └毒功…毒の気を操る気功術。気を練ることで様々な毒を作り出すことが出来る。


となっていた。恐らく、気功術は単体では効果がないのだろう。毒のように、外から気を取り込めば、多種類の気功術が扱えるようになるはずである。


それに、これで相手がどれほど強力な毒を使ってきても対応できる。実質的に僕に対して毒は一切効かなくなったと言っていいだろう。



僕は刀を仕舞うと、次の階層へと足を踏み入れる。迷宮はまだまだこれからだ。








三日後 四十九階層 大広間 扉前



あれから三日多くの魔物を倒しながら進んできた。魔物は当然のように強化されていったため、今までよりも進み具合は遅くなっていったが、それでも三日でここまでくることができた。

四十九階層までは凶暴な牛や三つの首を持つ凶犬、人喰い馬など、どれも一筋縄ではいかないボスの魔物がおり、中々に苦戦を強いられることもあった。


そして、四十九階層はここまで、木に扮した魔物であるトレントや蜥蜴型の魔物、サラマンダーなどがいた。

僕はそれらを倒し、遂に四十九階層のボス部屋まで辿り着いた。

ルドラ曰く、この階層をクリアすれば、五十階層では龍が待ち受けているらしい。


僕は体の疲れがないのを確認すると、扉を開けていく。


中は荒廃とした大地だった。しかし一つ違うのは、その最奥に一本の葉の生い茂る木とその木になる黄金の林檎があるというところだろう。

周りには魔物の姿も気配もなく、僕は荒廃した大地へ一歩踏み出した。そしてそれと同時に化け物が姿を現す。


それは百の頭を持つ竜だった。百の頭はその全てがこちらに向けられ、その口を開いている。


「「「「「「グガァァァ!!!」」」」」」


百の雄叫びとともにその頭が物凄い密度で接近してくる。

僕は避けきれないと分かるとすぐさま『魔纒』で身体能力を爆発的に向上させる。さらにクラススキルの《国士無双》を発動させる。このスキルの効果時間は一時間だ。


月華天真流 百花繚乱


最善の手を撃ち続けることで何とか百の頭による一斉攻撃を凌いで行く。常人ならすぐに途切れてしまうだろうが、生憎と僕は迷宮でこれよりも速く密度の高い攻撃を経験してきたのだ。


思考を反射で行い、迫る首に対して時に断ち切り、時に軌道を逸らし、時にアクロバティックに回避する。


「多重空間障壁」


キリがないと思った僕は魔素の一部を練り上げ魔法を発動する。そしてその間にこの展開を打開する一手を使う。


「 《起句》 吹き荒れろ 『シュトゥルムヴァント』 」


夜天に神器を発動させる。


暴風付与プレステルエンチャント


刀が風を纏い翡翠色に輝く。そして僕は刺突の構えを大きく取る。その間にも何十枚と展開した空間障壁が破られていく。


風刺螺旋エアリアルスピラ


刀の切っ先に集中させた風を螺旋回転させ貫通力を上げる。


解放ショット


最後の空間障壁が破られると同時に、溜め込んだ風の刺突を解放し、刺突をする。

解き放たれた螺旋回転した風の刺突はその大きさを増加させ矢のように一直線に竜を貫いていく。


「「「「「グギャァァァ!!」」」」」


硬く分厚い皮膚を突き破り、最奥の木が見えるまで突き進んだ『風刺螺旋』はそこで消える。多くの頭と胴体に大きな穴が空いた竜はそれでも残った頭を総動員して襲いかかってくる。


僕は『暴風付与』を再度施し『風剣』を放って頭を切り裂いていく。


風刃乱牙エアリアルオドゥース


百にも上る風の牙を複製し、それを放つ。牙は頭を切り裂いていき、瞬く間に頭の数が減り、遂には胴体を残すだけとなる。


風爆エアリアルバースト


そしてその胴体を圧縮した風を解放し、吹き飛ばす。


こうして百の頭を持つ竜は神器の前に呆気なく死んだ。



竜を殺した後には何もドロップ品がなかった。見た感じあの最奥の林檎が今回の報酬なのだろう。僕は早速そこまで行き、林檎を看破する。



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黄金林檎


レア度 : 幻想級


神々の楽園の木に成る黄金の林檎。その味は至高である。食せば、林檎に蓄えられた神気に耐えうる身体に作り変えられる。また、身体のどこかに一つの能力が発現する。


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それはまた凄まじい林檎だった。恐らくこれを食べれば、をさらに簡単に発動できるようになるだろう。それに加えて、《天乃御剣》の代償も抑えることが可能になる。


早速食べる。残念ながら味は分からないが、身体が熱くなり、身体が内側から何かに満たされていく感覚がする。息が乱れ、呼吸が荒くなる。


そしてそれが終わると、僕の身体は外見こそ変わらないものの、内側は溢れんばかりのエネルギーに満ちていた。そして、身体の一部に宿るという能力を理解する。


能力が発現した場所は耳だった。能力は端的に言えば聴覚の超強化だ。それにより、どんな音でも聴くことができる。応用力の高い能力だ。


試しに目を瞑ってから足を地面にぶつけることで音を発生させる。

すると驚いた事に音が部屋の中で反響して地形の形が把握できたり、物体などを感知することができた。また、そのおかげで一つ不審なものも発見することができた。


僕はこの広間の右奥に行き、その壁に看破を使う。なぜここを調べているのかといえば、ここだけ音を吸い込んだからである。そしてその違和感は当たっていた。

《看破》によれば、これは隠し扉だったらしい。音からして罠もないとわかるので、扉を開けると、中には一つの丸薬があった。



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快癒丸薬


レア度 : 伝説級


自然に蓄えられたエネルギーの凝縮により、生まれた丸薬。飲めば、傷、病を回復させる。


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《看破》によれば、回復薬らしい。そして、目に気を凝らして見ると、沢山の癒しの気が内包されていた。僕はそれを手に取って丸薬ごと飲み、体内に癒しの気を蓄え、習得する。


《マスタースキル気功術:恢気癒功を獲得しました。》


気功術:恢気癒功…恢復の気を操る気功術。傷や病の元に気を集めることで、治すことができる。気を練ることで、さらに恢復効果を上げることができる。



これは中々いい拾い物をした。これがあれば戦闘中の回復も簡単にできるようになるだろう。


しかし、耳の能力は便利だが今はまだ使いこなせないのも事実。明日の戦闘では邪魔になる可能性もなくはないので、使うのは明日勝てたらになるだろう。それまでは能力を抑える必要がある。


僕はボス討伐の終わった部屋で今日は休む事にして、明日、黒龍との戦いを決行する事にした。

野営の準備を終えると、まずは魔力の訓練をし、気功術の訓練をしてからステータスを表示する。




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名前 : ユヅキ イザヨイ

年齢 : 13

性別 : 男

種族 : 人族

職業 :月天ノ劍帝/武の英雄

Lv : 94

魔力量 :8190/8190

魔力純度 : 8190

魔力強度 : 8190

技量ランク : S+


スキル : アイテムボックスlv.10 空間属性魔法lv.10 付与魔法lv.6 換装lv.10 魔力炉lv.8 帝ノ威lv.6 解体lv.10 料理lv.10 多重無詠唱lv.9 影属性魔法lv.5 操糸術lv.10 闘気lv.10 絶気lv.9 血液操作lv.9 因子覚醒lv.10 生贄lv.9 生活魔法lv.10 魅了lv.8

魔刃lv.4


マスタースキル : 感知lv.10 看破lv.10 魔素操作lv.8 魔銃術lv.4 気功術lv.3


トランスドスキル:劍帝lv.5 身体超越lv.2


ユニークスキル : 天神ノ才 支配ノ瞳lv.8 獣化:白虎 夜霧lv.1 増幅 月下ノ暗殺者 月天ノ隠帝


クラススキル : 英雄祝福lv.5 武帝 一意専心 雲外蒼天



称号 : 異世界の英雄 神殺し 死神 絶影 支配者 スケルトン殲滅者 王殺し 神器保持者 月の女神の寵愛 ゴブリン殲滅者 到達者 解き放たれし神の才 竜殺し 



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・一意専心…自身の集中力を極限まで高める。それにより、動きの無駄がなくなる。〔武の英雄〕専用スキル。


・雲外蒼天…自身よりも強大な敵に立ち向かい、打ち勝った時、得られる経験値を倍にする。〔武の英雄〕専用スキル。



これまた強力なスキルだ。それに《英雄祝福》が目標の五レベルまで上がったのは幸運だった。それに、思ったよりレベルも上昇したので、職業も追加でつけるだろう。

次にスキルツリーを開く。



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名前 : ユヅキ イザヨイ

年齢 : 13      魂位階 : 188

スキルポイント : 0

適性

 ・魔剣適性 : 2/3

 ・聖剣適性 : 2/3

 ・神剣適性 : 2/3

習熟度

 ・長剣 : 3/10    ・短剣 : 5/10

 ・小剣 : 3/10    ・大剣 : 0/10

 ・細剣 : 0/10    ・刀 : 10/10

             └王刀 : 5/10

 ・太刀 : 5/10    ・大太刀 : 0/10

 ・短刀 : 5/10    ・小太刀 : 7/10

基礎

 ・筋力 : 20/20  ・五感 : 10/20

・体力 : 20/20 ・バランス力 : 20/20

・走力 : 20/20 ・自然治癒力 : 15/20

・全耐性 : 20/20 ・直感 : 20/20

 └全異常耐性 : 5/10 └超直感 : 5/5

特殊

 ・見切り : 5/10  ・斬鉄 : 1/1

 ・粉砕 : 1/1   ・二段飛び : 1/1

            └八双飛び : 1/1

 ・衝撃波 : 1/1    ・振動波 : 1/1

 ・付与増大 : 3/3   ・縮地 : 1/1

  └付与超過 : 1/3   └瞬動 : 1/1

 ・活性化 : 1/1   ・鬼門開放 : 1/1

特殊剣技

 ・七命剣 : 1/1    ・聖光剣 : 1/1

 ・奇跡剣 : 1/1



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今回は今あるポイント全てを使って、基礎を大きく向上させた。これにより身体は段違いに軽くなり、黒龍との一戦でも身体能力による差が少しは埋まっただろう。



それから僕は一通りの準備を済ませると、明日の死闘に向けて身体を休めるのであった。



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更新遅くてすみません。

私事により次の更新は3月下旬になります。

節の途中なのに申し訳ないのですが、区切りがいいのでここで一度切らせてもらおうと思います。


誠に勝手で申し訳ないのですが、今後とも私の拙作を見ていただければ嬉しいです。




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