第6話



優月視点



昼時になっていたので昼を食べてから地下の訓練室に戻り訓練を開始する。既にクラスは伝えてあり何を習得するかはまだ決めていなかった。因みに契約書を用いてばらさないという契約を交わした上でステータスを見せあった。リーナのステータスはこうだ。




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名前 : リーナ・クロフォード

年齢 : 27

性別 : 女

種族 : 人族

職業 :暗殺者 影属性魔法使い

Lv : 51

魔力量 :4268/4268

魔力純度 : 4103

魔力強度 : 4097

技量ランク : AA


スキル : アイテムボックスlv.7 影属性魔法lv.9 見切りlv.10 詠唱破棄lv.8 毒生成lv.9 闘気lv.8 魔力炉lv.4 魔力回復lv.8 体力回復lv.4 状態異常耐性lv.9


マスタースキル : 感知lv.8 看破lv7 魔力支配lv.7 身体強化lv.8 生体支配lv.8 暗殺術lv.9 隠術lv.9 魔糸操術lv.10


ユニークスキル : 悪意感知 逆探知 



称号 : 天才 悪を暴く者 元クロフォード伯爵家次女



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毒生成 : 自らの体液を使いあらゆる毒を作れる。ただし自分が知っている毒のみ。レベル上昇ごとに使う体液の量が減少する。


闘気 : 闘気を使用できる。


魔力炉 : 魔力を貯めておける。レベル上昇ごとに貯めておける量が増加する。


生体支配 : 体術系統の複合最高位スキル。自らの身体に関する全てを支配する。lvの上昇ごとに操作性向上。


暗殺術 : 暗殺系統の複合最高位スキル。暗殺に関する術をまとめたもの。


隠術 : 隠密系統の複合最高位スキル。この者は誰にも見つかることはない。


魔糸操術 : 操糸術の複合最高位スキル。その糸は生き物のように動く。lv上昇ごとに操作性向上、魔力の運用性向上


悪意感知 : 自らに悪意や敵意などを向けた相手を感知する。


逆探知 : 自らが索敵系統で感知されたときその相手が分かる。


天才 : 天から才能を与えられた者。その者の成長は凡人では測れない。

必要経験値減少(大)、レベル上昇時身体能力、魔力上昇割合アップ(中)、スキル習得難易度低下(大)


悪を暴く者 : たくさんの悪を暴いた者の証。

悪への制裁時全能力上昇(小)


元クロフォード伯爵家次女 : 元クロフォード伯爵家次女の証。




暗殺に偏った構成をしていた。特に《逆探知》には驚いた。ユニークスキルなら習得できないだろうから僕では同じことはできないだろう。また《天才》の称号は僕の《神才》の下位互換といったところだろう。才能系の称号を持つ人には初めて会った。ちなみに才能系のスキルや称号というのは自分の成長速度を上昇させるスキルや称号を指す。これらは基本的に生まれつき備わっているもので後天的に入手することは一部の例外を除いて不可能である。


またスキルは豊富でマスターも僕と違うものが半分あり興味深い。特に《生体支配》は支配系統のスキルなので結構欲しい。多分無理だろうけど。


後は僕は《暗絶殺》に全て入っているがもしなかったのなら恐らく《暗殺術》と《隠術》があったのだろう。


そしてヒュドラの毒は魔法ではなくスキルだったらしい。これは是非とも欲しいスキルだ。これが有るだけで暗殺の成功率が桁違いになる。


こちらが彼女のステータスに見入っているとどうやらあちらも僕のステータスに見入っているようだ。その目は大きく見開かれ食い入るように詳細を見ている。そのまましばらく見たのちに彼女がこちらに迫ってくる。



「ユヅキ!君は神器を持ってるのか?有るのならば是非見せてくれ!」



この通り、とリーナは手を合わせて頼み込んでくる。別に神器を見せるのは構わないので手に顕現させる。今回は夜天に顕現させるのではなく弓の状態で顕現させる。そしてリーナに渡してあげる。


リーナは目を輝かせ神器をマジマジと見る。しばらくすると堪能したのか返して来る。



「初めて神器を見ることができたよ。本当にありがとう。それにしてもユヅキはよく迷宮を攻略できたな。私は途中で断念したのに。というか才能系スキルがあるとはいってもこの年齢でここまでとは君の過酷な人生を表したようなステータスだな。」



それに対してノーコメントで流し、訓練についての話に変える。



「初めは《毒生成》とか《魔力炉》が欲しいんだけど。」



「《魔力炉》はいいが《毒生成》はちょっと待って欲しい。それと聞きたいことがあるんだが、《怪力》、《金剛》、《疾走》というスキルは取得したことあるか?」



「いやどれもないな。存在自体は知っていたが《身体強化》や《明鏡止水》で何とかしてたから気にも留めなかった。」



「そうか、ならこれらの基礎スキルをはじめに習得しよう。それに基礎スキルなら他のスキルと並行してできるしな。私の場合だと《生体支配》に統合されてて見えないけどな。」



「分かった。それじゃあお願いするよ。」



………

……



一時間後。



《スキル怪力を獲得しました。》


《スキル金剛を獲得しました。》


《スキル疾走を獲得しました。》



「まさかこんなにも早く習得するとは思わなかった。どうやら私は《神才》というスキルの凄まじさを知りながら理解していなかったようだ。」



「そう?でも確かに今回はいつもより早かったような気がするかな。リーナや他の人は大体どのくらいかかるの?」



「そうだな。この量だと私で一日、才能系を持っていない人で三日、四日といったところかな。」



なるほどこの世界の人たちでそれなら地球人はもっとかかるだろうな。僕も地球人だけど、なんせ環境が違う。言うなれば、エルドラでは最新鋭の訓練を効率よく受けることができ、地球では旧世代の訓練を効率の悪いやり方で受けれる。といったぐらいの差がある。同じ人でも生まれた時からこんなにも環境が違うなら強さに差が出ても仕方ないな。



「ちなみに魔力量とかはどうかな?」



「ふむ、そうだなユヅキはやはり多いな。そもそもユヅキの年齢でそのレベルというのがあまりない。この世界だと成人は15歳だから、大抵がその時から本格的に戦闘を始める。だから、このままレベルを上げて魔力量を増やしていけば多分この世界でも一、二を争うほどの量になってるだろうな。」



「なるほど。ならこのままやっていくのがいいのか。でもやっぱり《魔力炉》は必須だな。」



「まぁこのスキルは私も最近見つけてな。今レベル上げ中なんだ。このスキルは取るのが難しい。なんせ魔力を自在に動かしてそれを貯めなきゃだからな。やり方はシンプルなんだが。」



「魔力の操作には結構自信があるので多分大丈夫だと思う。」



「そうか。なら、まず魔力を体内で圧縮する。」



僕は彼女の言葉に従い魔力を操作していく。



「次にその圧縮した魔力を体内に留きながらもさらに同じのを作っていく。そして作ったものを合体させてできたやつをずっと体内に持っているんだ。この状態で少しいれば習得できる。」



ここまで説明してこちらに目を向けできるか?と問いかけて来る。今の説明で分かったのだがどうやらいつもの訓練と似たようなものでそれをただ体内にとどめておくだけで取れたらしい。


《スキル魔力炉を獲得しました。》


案の定少しするとあっさりと獲得できた。それをリーナに伝えると結構驚かれた。どうやらリーナは取るのに時間がかかったらしい。この作業で《魔力支配》のレベルが大幅に上がったのは良かったらしいが。



そんなこんなで今日ももう日が暮れたらしいので部屋に案内してもらう。案内された部屋にはベッドと机そして風呂までも付いていた。特に風呂に関してはありがたかった。リーナはこれからいつもの夜間訓練があるとのことで訓練所に戻っていく。そこでふと足を止めてこちらを振り返る。



「夕食なんだが、悪いな自分で調達してくれないか?」



「分かった。ついでになんか冒険者ギルドで依頼でも受けるかな。」



「ああそれがいい。あとユヅキは転移が使えるから外からここに転移してきて構わないからな。」



「いいの?させてくれるならありがたいけど。」



「勿論だとも。この部屋の掃除をするやつなんかには話を通しておく。そういえば《毒生成》が欲しいとかいってたな。なら知識を増やすといい。ここには色々な文献があるからそれを読んでいいぞ。場所はここを出て左にまっすぐいくとあるから。出入りも持ち出しもここなら自由にしてもらって構わない。流石に外への持ち出しはやめてもらいたいが。」



「分かった。助かるよ。それじゃあ僕は夕飯の調達に行って来る。」



そう言って転移で外に行き、ギルドへと向かう。外は既に日が傾いており帰宅している冒険者をよく見かけた。


ギルドに着くとそこでは多数の冒険者が飲み食いをしていた。それらを無視して真っ直ぐ依頼の掲示板の方へと向かう。すると依頼はほとんど残っていない。当たり前だが普通は朝に受けるため目星いものは残っていない。


ふと一つの依頼が目に止まる。依頼名はゴブリンの討伐。ゴブリンを討伐した数だけ報酬が上乗せされ最低十体は討伐が必要で報酬は銀貨一枚と一体につき銅貨一枚プラスらしい。この依頼だけは何故か多く残っていた。受付嬢さんに聞くとどうやら不人気らしい。なぜならゴブリンは臭い、汚い、めんどくさい、と言った三拍子が揃っているため誰も受けたがらないらしい。新人がよく受けるらしいがそれでも手が足りていないようだ。


僕はその依頼を受けることにする。森の中を探索するので食材の調達を兼ねて丁度いいだろうと考えたのだ。僕は依頼を受けると(受付嬢に夜の森は危ないと散々反対されたが)森に行く。幸いにもこの都市の門は夜遅くまで空いているらしいのでそんなに急ぐこともない。


僕は森の中を獲得したばかりの《疾走》を使って走る。


《スキル悪路走行を獲得しました。》


この神才による獲得難易度の低下が仕事をしすぎているようだ。スキルがポンポン取れる。まぁ環境が環境なので迷宮で溜まった経験値が反映されているのだろう。


スキルを獲得してからはスムーズだった。ゴブリンと目当てのボア以外の魔物はスルーして《感知》を頼りに森を突き進んでいく。


暫くしてボアをいくつか仕留め、ゴブリンも何体か仕留めた感知に異常な量のゴブリンが映る。


《スキル遠見を獲得しました。》


何かスキル獲得のタイミングが良すぎる…

とまぁそれは置いといて《遠見》を早速使うとそこにはゴブリンのコロニーが出来上がっていた。上位種がたくさんおり、流石にそれを見てまずいと感じる。ざっと見た感じ千体ほどおり、最上位種のエンペラーまで出現している。おそらくは既に女を手に入れていてその人に産ませているのだろう。


僕はすぐさまコロニーの近くまで行き、女性がいると思しき場所を探す。するとコロニーの中心に小屋がある。《身体強化》で聴覚を最大限強化してその周辺の声を拾う。ゴブリンの言葉は相変わらず意味不明だが、その中に僅かながら人の声が混じっているのに気づく。その声の主の居所を探るとどうやらその小屋にいるようだ。


僕は意識を切り替え隠密状態になる。かけられるだけの隠密能力をかけて自身の気配や匂いなどを消す。そしてゴブリンどもの死角を縫うように潜入していく。結局は誰も隠密状態の僕を見つけることなく僕は小屋に辿り着く。


小屋に入ると酷い光景が広がっていた。そこには何十人もの女がおりその誰もが既に正気を失っておりまた妊娠しているのかお腹が膨らんでいる。言葉もあー、うー、としか発しておらずその女性たちをゴブリンは意気揚々と犯していた。


僕はその場で夜天を抜きゴブリンの首を刎ねる。そして女性たちに近づいていく。もう誰もが生気がなく、目の焦点も定まっていない。すると一人の女性が僕に気付いたのか少しの正気を取り戻し途切れ途切れの声でこう言う。


“殺してください。もう楽になりたいんです。”


“こんなことを頼める立場ではありませんがあいつらを皆殺しにしてください”


僕はその言葉を聞き一思いにせめて痛みがないように夜天で彼女たちを殺す。“ありがとう”という言葉を最後に全員が死ぬ。僕は隠密状態を解除してして小屋を出るよう勿論のことゴブリンどもに見つかるが気にしない。


僕は息を小さく吸い、呟く。



「依頼により殲滅を開始する。」 と…




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