第19話
優月視点
奥の部屋に入るといくつかの品が置かれていた。
「思ったより少ないな。もっと金銀財宝があるのかと思っていたんだが。」
『いや、これはおかしい。我が見たときはそれこそ国を一つや二つは買えるくらいの量があったはずだ。その大部分が消えている。』
「それはおかしいな…。ん?」
宝物庫内を見回しているとふとある紙に目が止まる。近づいてそれを見てみると何かが書かれていた。そしてそこには“優月様へ”と日本語で書かれていた。手紙を手に取り読んでみる。
手紙の差出人は案の定セレーネ様だった。内容はこうだ。
〜〜〜〜
優月様へ
迷宮攻略お疲れ様です。早速ですが貴方の武器や装備が壊れてしまったと聞いたので代わりをご用意しました。ここの金銀等の魔道具などではないものを対価に必要な品をそちらに送りました。中々の品なのでお使い下さい。ですが、装備は私の権能が影響してしまって効果が極端なものになってしまいました。ごめんなさい。
それでは今後の活躍を祈っております。
セレーネより
PS : 因みに貴方には言語理解の能力を付与しているのでこちらの世界でも話すのは勿論、読み書きもできるようになっていますよ。
〜〜〜〜
『ということみたいだ。』
『納得した。まさかセレーネ様がそんなことをするとは、一言言って下さればいいものを。』
「知り合い?」
『ああ、彼女はこの世界の主神の1人だからな。迷宮を任されたとき知己を得た。』
「なるほど。まぁ壊れた装備の代わりを貰えたのは良かった。PSのことは気になるけど早速見てみよう。」
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夜天
レア度 :
漆黒の夜を現した刀。この刀こそが夜であり全てを飲み込む漆黒の闇である。
不壊 切れ味上昇(超) 魔力伝導率上昇(超) 所有者固定
所有者 : 十六夜 優月
十六夜優月以外がこの刀を使用時この刀は十六夜優月の元へ転送される。ただし十六夜優月が死亡した場合はその限りではない。
スキル付加
・夜行 : 夜間又は暗闇での行動時にこの刀を使用した時所有者の身体能力上昇。
・
・
適用中神装 :
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夜天の軍服(上下)
レア度 : 幻想級
夜を模した軍服。模した夜はその姿を夜闇には溶けこませるだろう。
耐久性上(超) 伸縮性上昇(大) 衝撃緩和(超) 自動修復
スキル付加
・
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夜天のブーツ
レア度 : 幻想級
闇夜を駆け抜ける漆黒のブーツ。このブーツは夜の天すらも駆けることができるだろう。
耐久性上昇(超) 衝撃緩和(超) 脚力上昇(大) 自動修復
スキル付与
・天駆 : 魔力を流すことで空を走ることができる。
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夜天のグローブ
レア度 : 幻想級
夜天を纏うグローブ。着用者の手全てを完全に保護しているが、装着者に違和感を与えることはない。
自動修復 耐久性上昇(超) 魔力伝導率上昇(大) 感度上昇(超)
スキル付与
・
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ここまでがセレーネ様の用意してくれた装備だった。服は上がロングコートになっていたが動きづらさを全く感じさせない。
「凄いな。」
『ああ、まさかこれはどの品とは』
「初めて幻想級のものを見た。流石は幻想級って感じだ。効果の偏りも凄いけど。あとさっきルドラが言っていたのはこの刀のこと?」
『その刀のことではないが同じスキルのことではある。神器や神装を登録しておけばその武器で能力を発揮することができる。それにその刀は登録限度が無いのが凄まじいな。普通は登録できるのは一つだけなのだが。』
「登録数が多いといいことでもあるの?」
『一つはいくつ神装を得ても全て自分の得意武器として操れること。そしてもう一つは能力の併用が可能になることだ。別々の神装の能力を同時に使用することができる。無論それには高度な操作技術を要するがそれを加味しても習得できれば相当な強さを得られる。』
「なるほど。それは凄いメリットだな。でも登録する前に先に他の品もいくつか見ていこう。
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スキルカード《夜霧》
レア度 : 伝説級
スキル《夜霧》のスキルカード。使用することでユニークスキル《夜霧》を覚えることができる。ただし、一度しか使用できない。
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スキルカード《加速》
レア度 : 特級
スキル《加速》のスキルカード。使用することでスキル《加速》を覚えることができる。ただし、一度しか使用できない。
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精霊剣イルシオン
レア度 : 幻想級
精霊の力が込められた剣。魔力を流すことで剣身が出現する特殊な剣。剣身は自由に出現させられる。また、精霊の力の行使が可能。
耐久性上昇(超) 切れ味上昇(魔力純度が高いほど上昇) 必要魔力減少(超)
雷精霊 トーネル
スキル付加
速度上昇 : 所有者の速度全てを大幅に上昇させる。
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等々…様々なアイテムや財宝があった。セレーネ様が財宝は使ってしまったと言っていたがそれでも十分なほどの量が残っていた。他には質の良い回復薬、魔力回復薬、色んな効果が付与されたアクセサリーが置いてあった。一旦それらを回収してから、僕はその場にテントを張り、荷物を置く。そして体を洗い始める。
新しい装備を着る前に汗などを流してしまおうと思ったからだ。すっかりした後、装備を着用していき、スキルカードも使用する。
《スキル加速を獲得しました。》
《ユニークスキル夜霧を獲得しました。》
・加速 : 一定時間自身のあらゆる速度を上昇させる。
・夜霧 : 戦闘時に魔力を消費して自身の周囲一帯に結界を張り結界内を夜にする。ただし、結界の強度は魔力の量に依存する。また、範囲はlv×半径100m
そして装備は夜天一式に精霊剣、そしてアクセサリーの中でも特別に良い、銀の腕輪と黒曜の腕輪、さらに今まで付けていたウエストポーチを空間拡張が付与されたものに取り替え、ナイフや回復薬を入れる。そして服の中に暗器を仕込んでいく。
これが今の装備だった。ちなみに銀の腕輪は自身の素の身体能力を向上させ、黒曜の腕輪は自身の素の力を上昇させる効果を持っていてその強化量も大きくとても頼りになるものだ。特にどちらの腕輪も素の身体能力を上げるというのがいい。素の身体能力を上げるということはそこからさらにスキルによる強化が加わるため、普通より強化する割合が増える。またこの前のようにスキルや魔力を封印されても効果を発揮できるため今後は重宝しそうである。
「さて、準備は整ったし、ここを出るとするか。」
『この部屋の奥に地上へ行くための転移陣がある。それで上まで行くのが良いだろう。』
「分かった。そういえばこの迷宮は今後どうなるんだ?」
『ああここはもう停止することになる。我が地上に出た瞬間この迷宮も消滅してしまうのだ。』
「そういう仕組みか…。」
『何か思うところでもあるのか?』
「まあね。僕の世界にも迷宮が存在していたからそれを攻略した後どうなるのか気になって…まぁそれは今度でいいか、それじゃあ地上に行こうか。」
そうして僕が転移陣に乗ると勝手に起動し視界が光に覆われ、次の瞬間僕は森の中にいた。
*********
???視点
「皆よく集まってくれた。我々は遂に奴らの悪を暴き裁く力を得たと言えよう。よって今、私はここに計画の始動を宣言する!」
私がそう言うと仲間たちが雄叫びを上げる。その声は誰もが待ちわびたと言わんばかりであり、興奮を隠し切れていない。それを見ていると今までの日々が脳裏を過ぎる。感傷に浸る時ではないがここまでの苦しい道のりを思い返すと、一層この計画を成功をしなければという気持ちが強まる。
「各自己の役割を全うし奴らを倒して我らの同胞を救い出せ!始めるぞ、我々叛逆の
ここに叛逆の狼煙が一つ上がった。
*********
かくしてここに一つの転機が訪れた。彼女達が巻き起こすその動乱の行方は果たして。そして彼がこの物語にどう関わっていくのかはまだ分からない。しかしこの話が彼にとって大切なものになることは間違いないだろう。だからこそ私はその物語を残そう。それが私の唯一の役目なのだから…
––––第1節 迷宮にて 完––––
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