第17話
優月視点
ラスタルを倒した後にはいつものようにドロップ品があった。また、ラスタルを倒したためか、結界も解除されたようで、魔力もスキルも使えるようになっていた。
すると、
《マスタースキル剣王が進化しました。》
《スキル体術が進化しました。》
《スキル体力回復を習得しました。》
《マスタースキル息吹を習得しました。それに伴いスキル瞑想、スキル体力回復、スキル魔力回復はスキル息吹に統合されます。》
と、一気にスキルに関するアナウンスが流れてきた。どうやらあの結界はこのアナウンスすらも止めていたらしい。相当高度な技術だったのだろう。
休憩したいところではあったが、ひとまずドロップ品の確認をすることにする。
スキル発動 看破
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マジックカード《付与》
レア度 : 特級
付与魔法のマジックカード。使用することで付与魔法を覚えることができる。ただし、一度しか使用できない。
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血濡れの小太刀
レア度 : 伝説級
ラスタルの刀から生み出された小太刀。多くの血を浴びてきたこの小太刀はいつのまにか錆びることを忘れた。
修理不要 切れ味上昇(大) 魔力伝導率上昇(超)
スキル付与
・吸血 : 血を浴びそれを吸うことで切れ味が増していく。
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この二つがドロップ品だった。小太刀の方はまさかのスキル付与品で驚いたが今は気になるマジックカードを使用する。
《スキル付与魔法を習得しました。》
無事に覚えられたようだ。
・付与魔法:あらゆるものに自身の持つ魔法を付与できる。また、支援系魔法も使うことができる。
中々使い勝手の良い魔法のようで、これから重宝しそうだ。
ドロップ品の確認も終わったので今日は休むことにする。身体を洗って血を流し、《獣化:白虎》をワンの状態で発動して、傷を治していく。傷が全て治ったら、夕飯(干し肉)を食べ、寝る。
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翌朝、目が覚めた僕は昨日破れてしまった上着をアイテムボックスにしまい、予備の服を着る。これは性能は元のものに劣るものの、戦闘に耐えうるだけの強度は持っている。着替えた後にいつもの小太刀と新しく手に入った血濡れの小太刀を両腰に装備する。主武器の刀が壊れてしまったので、今後の戦闘はこの二本でいくことになるからだ。
装備を全て整えたら、魔力の訓練をする。
終了したら、次に行く前にステータスの確認をする。昨日は疲れていたため見なかったが、気になるアナウンスがあったためだ。
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名前 : ユヅキ イザヨイ
年齢 : 13
性別 : 男
種族 : 人族
職業 :
Lv : 38
魔力量 :4790/4790
魔力純度 : 4790
魔力強度 : 4790
技量ランク : AA+
スキル : アイテムボックスlv.6 銃術lv.8 空間属性魔法lv.3 付与魔法lv.1
マスタースキル : 感知lv.8 看破lv8 魔力支配lv.10 身体強化lv.9 明鏡止水lv.10 息吹lv.3 身体操作lv.2
トランスドスキル:劍帝lv.1
ユニークスキル : 神才 暗絶殺 支配ノ瞳lv.6 増幅 獣化:白虎
称号 : 神童 異世界の英雄 神殺し 死神 絶影 支配者 スケルトン殲滅者 王殺し 頂に手をかけし者
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なんか、すごくなっていた。レベルの大幅な上昇やスキルの変化にも驚いたが、一番驚いたのは“トランスドスキル”だ。これは聞いたこともない。というかそもそもマスタースキルが進化するなんて初めて知った。とりあえず一つ一つ確認していくことにする。
・息吹 :
・身体操作 : 体術の臨界突破スキル。含まれるスキルは体術のみだが、それゆえに、最高位すらも超越した。身体を意のままに操ることができる。lv上昇とともに操作性が向上する。
・頂に手をかけし者 : 何かの分野においてその極みに到達しかけている者の証。頂に至るのはそう遠くはないだろう…
ここまではまだいい。いや、臨界突破してマスタースキルになるというのも聞いたことはないが、そしてこれが最も重要なものだ。
・トランスドスキル : マスタースキルの枠を超えたスキルの名称。そのスキルは、ユニークスキル同様にその所持者以外には発現しない。
・劍帝 : 劍の頂。その劍技の前には誰であろうとも斬り伏せられるであろう。各lvごとに特殊スキルが使用可能になる。
lv.1 :・
・連なる重み : 連撃時に効果発動。一撃一撃ごとに威力が増加していく。限界はない。
端的に言えば強すぎる。特に《天乃御劍》の神気の使用可能だ。代償はあるにせよ、それさえ無視すれば、相当強い。そもそも神気というものが強すぎる故だ。神気の詳細については後々にするとしよう。
今回マスタースキルからトランスドスキルに進化したのから察するに他のスキルにもまだ進化の余地があるのだろう。《魔力支配》と《明鏡止水》は結構昔からあるやつだから今回みたいに限界超えて使えば進化しそうだ。できれば、龍との戦闘前には進化させたい。やはり龍との戦闘前にもう一つくらい迷宮にはいるべきだろう。
さて、考え事もここまでにして、次の階層に行くとしようか。
次の階層への階段を見つけ降っていくと壁にいろいろな壁画が描かれている。そこには、人に崇拝される神々の絵や、神々が集い何かを話している場面、そして最後には人と神の闘争が描かれていた。その後の絵は消えてしまっていて見ることは出来ない。
僕は絵が好きというわけでもないのに自然とこの絵を見つめていた。何か僕を惹きつけるものがこの絵にはあったからだ。少しして我に返りまた、階段を降りていく。
次の階層に足を踏み入れると、盛大な御出迎えがやってきた。色とりどりの魔法が僕に向けて飛んでくるのだ。それも絶え間なく。流石に洒落にならないレベルだ。しかし、僕は先程の考えを思い出し、最低限身を守る姿勢をし、後は《明鏡止水》任せにする。恐らく耐え切れるだろうと予想しているが万が一のために一手打っておく。
魔法が僕に直撃する。しかし、僕に傷を負わせるには至らない。どうやら《明鏡止水》は充分に効果を発揮してくれたらしい。僕は魔法が止んだ瞬間に右手に血濡れの小太刀を左手に魔術銃を持ち敵に向かって突っ込んでいく。
少しすると、敵の正体を見ることができた。敵は機械でできた人であった。長いので機械人と名付けよう。機械人の数は百体ほどで、それらは未だに僕に気付いていないのか詠唱を続けている。ここで僕は《魔力支配》を使う。自身の魔力を薄く引き伸ばし周囲に広げていく。そして、その範囲に機械人が入った瞬間に彼らの魔力を支配する。そして、意図的に魔力暴走を起こさせ、殺していく。魔力暴走により、どんどん爆発するため、範囲外のものも死んでいく。
・魔力暴走 : 魔力暴走は体内の魔力がコントロールできずに活性化してしまうと起こり、制御に失敗すると体内から爆発してしまうという現象だ。主に魔法の発動時に起きる。
・魔力支配 : スキル名と同じだが、効果は違うものであり、これは技術である。自身の魔力を広げて、相手の魔力と接触させることが条件。触れた相手の魔力の波長を自身の魔力の波長で強引に上書きすることで、相手の魔力を操ることができる。ただし、複数人に同時にやった場合複雑な操作はできない。今回のように魔力を活性化させる程度である。
先程の魔力暴走はこの技術を使って、相手の魔力を大きく活性化させ、さらに相手の魔力操作をずっと妨害していたのである。そのため活性化した魔力が暴走してしまい、爆発したというわけだ。
機械人を掃討した後には、一人だけ、生き残りがいた。彼・女・は光る剣を持ち、周囲にシールドのような膜を張って爆発から逃れたようである。“彼女”といったのはその容姿が今までの機械人とは違い、少女の形をしていたからである。
少女は膜を消し、剣をこちらに向けてくる。僕も小太刀を構え、銃をしまい、空いた手にはもう一本の小太刀を逆手に握る。
僕は縮地と呼ばれる技術を使って距離を詰める。少女はそれに対して剣に魔力を集め、僕の出方を見てくる。僕は少女の間合いに入った瞬間にバックステップで間合いを離れる。その一瞬の後に僕のいたところを少女の剣が通り過ぎる。
少女はそれを避けられたのを理解した瞬間に剣に溜めていた魔力を解放する。
「聖剣技 光翔斬」
そう呟いた途端に剣が眩いほどの光を放ち、少女が剣を振り下ろすとその剣から光の斬撃が放たれる。
僕はその範囲外にすぐさま逃れる。そして左右の小太刀に《黒纏》を使う。そして身体能力を強化し、縮地で一気に距離を縮める。僕の小太刀の間合いに入った瞬間、少女はこちらに気付いたようだったがもう遅い。
月華天真流 小太刀術 華舞
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月華天真流 小太刀術 華舞
小太刀の俊敏性を生かした連撃技。何連撃までという縛りはなく、ただ続く限り連撃を叩き込むという技。華の舞うようだという意味。
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自身の身体能力をスキルにより最大限まで引き上げることで、さらに速さと力強さを持たせ、連撃を叩き込む。少女は対処が出来ずにおり、連撃が止まることはない。少女はなんとか頭を守ってはいるが、僕はさらに加速していく。そこに《劍帝》のスキル《連なる重み》が発動し、威力が一撃ごとに上昇していく。右手を切り飛ばし、剣を持つ手を切断、足を切り刻み、胴体に無数の傷をつけていく。遂には頭の防御も突破し、首を跳ね飛ばす。
その時点で連撃を中止する。後にはバラバラになった少女の形をした機械と光り輝く剣だけが残っていた。
剣は持ち主を失ってもその輝きは衰えずにいた。僕はその剣を拾い《看破》を発動する。
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機械仕掛けの聖剣
レア度 : 伝説級
古代文明が生み出した人工の聖剣。天然のものではないがその性能が劣ることはない。また、この聖剣は使い手を選ばない。
所有者の魔力量上昇(大) 切れ味上昇(大) 耐久性上昇(超) 光属性魔法付与 アンデット系への与ダメージ上昇(超)
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相当強い武器だったらしい。今後使うことも検討しておくとしよう。
それにしても今回の戦闘は身体がとても動かしやすかった。身体がイメージ通りに動くため、無駄な動きがないのだ。また、疲れもほとんどない。
(これは《身体操作》と《息吹》のおかげだろうな。特に《身体操作》が有能すぎる。これは龍との戦闘前に獲得できて本当に助かったな。)
考えもそこそこに僕は奥にある階段を降りていく。
恐らく次が最後なのだろう。そう思わせるには充分な扉が階段を降りた先にあった。今までで一番大きく一番豪華な造りをしている。
(さて、遂に神との対面だ。とっとと神装を得て、地上へ戻ろう。)
そして僕はその扉に手を掛け開いていった……
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