第6話



優月視点



僕と青色の悪魔の戦闘が始まった。


先程から《把握》は使用しているが、レベル差が大きいせいか、進みが遅い。そうこう考えてるうちにアスールは大剣を上段に構え走ってくる。その速さは尋常ではない。おそらくスキルの《突進》を同時に発動しているのだろう。


僕は即座に反応して迎え撃つ体制を整える。そしてアスールの間合いに入った途端に片手で上段からの左袈裟斬りを放ってくる。それに対して僕は大剣に刀を合わせた瞬間に力を抜き、流れるように受け流す。



「ヴモォ!?」



月華天真流 流水月りゅうすいげつ



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月華天真流 流水月


敵の攻撃を受け流す技であり、月でも水が流れるように受け流すという意味がある。この技は月華天真流の受け流しの基礎の技であり、さらに応用技がいくつか存在している。


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アスールの大剣を完璧に受け流すことに成功し、アスールは体勢を崩す。その隙を見逃さず、スキルを発動して畳み掛ける。



スキル発動 黒纏 



刀が漆黒に染まっていく。そしてアスールの左から懐に入り、胴体へと技を放つ。



月華天真流 円月えんげつ



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月華天真流 円月


俗に言う水平斬りである。単純な技ではあるが、その分威力が乗りやすくさらに円のどこで止められるかを選択することができる。(一回転や半回転等)剣の軌跡が月のように円を描くという意味である。


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それにより胴体に一撃を入れ、さらにそのまま回転して大剣を持つ右手にも斬りつける。しかしアスールは大剣を落とさず足の膝で蹴りをしてくる。


僕はそれをバックステップで避けそのまま更に右手を斬りつけようとするが、アスールは大剣を盾にそれをガードする。盾にした大剣を斜めにして僕の刀を受け流す。僕はわ・ざ・と・体制を崩し隙を見せる。それにつられてアスールは僕の背中に斬りかかる。しかし、僕はそれを見ずに躱し、がら空きの胴体をもう一度『円月』で切り裂く。


流石に少しは効いたのかアスールは即座にバックステップで下がる。それを追撃せずに僕も一度下がる。



「ふぅ、今のは結構深く入ったと思ったんだけど、思ったより浅かったな。これが硬化スキルかな。体皮を硬化させて防ぐとはね。」



アスールも警戒しているのかこちらの出方を伺っている。だと思いきや、なんと《増幅》を発動していた。それにより、アスールの魔力が大剣に流れ、さらにどんどん増えていく。



(この隙に斬りかかりたいが、流石にあの魔力量の大剣の間合いにこのまま踏み込みたくはないな。)



僕は急いでそれを迎え撃つ体制を整える。



(《身体強化》を六割まで上げて、魔力を循環させて、さらに二割ほど全身を強化。刀にも魔力を流して二割ほど強度を上げる……、よし、完了。《支配ノ瞳》による把握も終わった。これでアスールの初動を見極められる。)



僕の準備が整ったのと同時にアスールの《増幅》も終了したようだ。そして大剣を上段に構え先程より速いスピードで《突進》を同時に発動して向かってくる。僕も先程と同様に迎え撃つ姿勢を取る。


遂にアスールの間合いに入る。しかし、まだ近づいてくる。



(リーチを生かさないのか?いや先程のことから学んでいるのか。)



そして僕の刀の間合いに入った瞬間、初の大剣技を放つ。



大剣技 兜割り



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大剣技 兜割り


大剣使いの身につける戦技。大剣技の中でも威力は上位に入り、その威力は地をも割ることができる。


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戦技


職業に就いた時に身につけられる技。使用することで通常よりも強く、速く、技を放つことができる。

ただし、魔力を消費する。

例)剣士であれば、剣技。

  弓使いであれば、弓技。  などなど。


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「ヴモォォォ!!」



気合い一閃僕の身長の倍以上の高さから放つその技はキレがあり、速かった。


しかし、僕の《把握》はその動作全てを完全に捉えた。



月華天真流 流月りゅうげつ



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月華天真流 流月


相手の技を刀などで受け止め、その威力を体を通して地面に流す受けの技。月をも受け止め、流せるという意味を持つ。


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「ヴモッ!?」



アスールは《増幅》に『兜割り』まで使った必殺の一撃を自分より遥かに小さい者に受け止められたことに驚愕し大きな隙が生まれる。


僕はそこにさらに『流水月』で大剣を受け流し体制を崩させる。そして《黒纏》を維持したまま、刀に流す魔力を三割に上げて切れ味を上昇させる。



月華天真流 閃華せんか



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月華天真流 閃華


身体全体を使って助走等は無しにその場に立ったまま神速の斬撃を放つ技。『円月』よりも威力は高い。剣閃が通った後に血の華が咲くという意味。


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その一撃がアスールの《硬化》をも突破して致命傷を負わせることに成功する。



「ヴモァァァ!!」



堪らずアスールは下がろうとするが今度は追撃をする。


一瞬にしてまた、懐に入り『円月』を傷口に叩き込む。そして瞬時に刀を納刀し、『瞬華』で《硬化》も使われていない無防備な、首を刎ねる。


アスールは倒れ、光の粒子になる。



「ふぅ。」



そして僕はそれを見て残心をとき、刀を鞘に納める。

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