第4話
優月視点
僕が自己紹介を終えると、何故かみんなが黙っていた。
「いったいどうしたんですか?」
「いや、君にも何か私たちのような二つ名があるのか気になってね。
実際どうなんだい?」
「そうですね。
暗殺者としては、"絶影"
戦場では、"死神"
と呼ばれてました。」
そう僕が告げると、
「んなっ!まじかよ!」
「そんな!この子がっ!」
「確かに背が低く、子どものようだとは聞いてましたが。」
「まさか、本当だったとは…」
「流石に驚いたな。」
と口々に感想を言う。
(上から バーチェス、ミーナ、マリーナ、キム、ロイ である。)
「皆さんご存知だったんですか?」
「もちろんだよ。
"絶影"はどんなに厳重な警備でも、どんなに暗殺対象が強くても、必ず暗殺してしまう最強の暗殺者として有名で、"絶影"の対策本部はいつも苦渋を舐めなさられていたよ。」
「僕も一回警備を依頼されて、失敗してるんだ。」
(へぇー、キムさんいたんだ。いつのかなぁ?)
「それに"死神"、たくさんの戦場に出ては必ず敵に勝ち、さらに敵の中でも強い者たちを倒していく。彼が出てきたら必ず死ぬ。それ故に、"死神"。逆に味方のときは味方から"必勝の神"と言われる。
どれも有名な話さ。それにしても、まさか君が"絶影"であり、"死神"でもあったとは、本当に驚いたよ。」
「意外に僕、有名人だったんですね。」
「そうだね。
さて、では全員自己紹介が終わったところで、ミーナの転移スキルで帰ろうか。ミーナを中心に集まって、手を肩に触れて。」
どうやら転移スキルはミーナさんが所持していたらしい。
僕はロイさんに促されるままミーナさんの肩に触れる。
「全員触れたわね?それじゃあいくわよ。」
スキル発動 "転移"
スキルが発動すると視界が白く染まり、浮遊感がする。すると次には足が地面についており、周りの景色も変わっていた。
「ふぅ、到着よ。流石に長距離転移はきついわねぇ。」
「ここはどこなんですか?」
「ここは日本探索者協会、東京支部だよ。そこの一室、今回は特別に貸切なんだ。」
「へぇー、そうなんですか。じゃあもうここは安全ってことでいいですか?」
「うん?ああ、もちろん安全だよ。」
「そうですか、なら、後のことはよろしくお願いしますね。もう限界なので、」
そういうと、僕は糸の切れた人形のように倒れた。
*********
優月が救出された日、ある所では犯罪組織のトップたちのよる会合が開かれていた。
「急に集合をしてもらってすまない。皆知っているだろうが、
そうこの会議の者たちの中のリーダーのような者が報告した。
「なっっ!?」
「そんなっ"絶影"を取られたなんてっ!」
「我らのことも知られてしまったのでは?」
「一体どうするんだっ?」
「落ち着けっっっっ!!」
騒がしくなった会議場がリーダーの声で静まり返る。
「確かに研究資料なども持ち出されてしまったが、我々がやられたわけではないのだ。
安心するどころではないが、すぐにやられてしまうわけではない。落ち着いて対策を考えていこうではないか。
幸いにもここにいるのは、今まで自らの組織をこの社会の中拡大させてきた猛者ばかりだ。我々の力をこの時ばかりは合わせて見ようではないか!そうすれば、必ずこの状況を打破できるはずだ!やってやろうではないか!」
「オオ!」
「そうだ我々の力ならばできるはずだ!」
「奴らになど屈してたまるか!」
リーダーの鼓舞により、他の組織のトップたちの士気が高まる。
そして今日、世界に激震が走った。
なんと今まで協力してこなかった世界各国にいる大犯罪組織たちが手を組んだのだ。彼らは同盟の名を混沌王の集い《カラミティクラウンズ》とし、世界に名を轟かせた。
こうして今、史上最悪の犯罪組織が生まれた。
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