第六話 襲撃

 まさか王に訓練されるとは思わなかったが、そのおかげで心得を学べた。油断はしないように気をしっかり張らないとな…。

そんなことを考えていると突然警報が鳴り出す。何が起こったのだろうか?


「警告!警告!この国に居る精鋭部隊は、至急王の間までお集まりください!繰り返します。この国に居る精鋭部隊は、至急王の間までお集まりください。」


ふむ?これは僕も行かないといけないかな。

零珠を見る。が、もう既に居ない。転移したようだ、とりあえず僕も向かうことにした。


「ここでなら使えるな。転移。」


王の間まで転移した。王の零珠以外の集まった全員が驚きながら僕を見る。


「えっと…僕の顔に何か付いてる?」


王の零珠は呆れ、気絶する者もちらほら。

殆どは僕を見て固まってる。覇気は使ってないけどな?何かしたかな僕。


「転移魔法を使えたのは俺だけだったのだ、未来。王しか使えない魔法を来たばかりのお前が使えることに驚かない筈がないだろ?」


なるほど…見様見真似でイメージすると使えただけなんだが、転移はかなり難しい魔法のようだ。そんな重大魔法とはつゆ知らず使ってしまった…次から気をつけよう…。


「…以後使わないようにします。それで今回集められたのは何故なのでしょうか?」


警報ってくらいだ。滅多なことがない限り使うわけがない。


「あぁ、そのことなんだが、今現在この国を襲撃してる奴等が居るのだ。数名だがかなりの手練のようでな…ここの区域まで到達しているみたいだ。それで警報を鳴らして集めたってわけだ。これでいいか?未来。」


「十分です。ここの区域に到達はしているようですが、何者かによって抑えられています。到達してもこの有様だとここにいる数人で一人に当たれば問題なく処理できます。」


…また驚きの眼差し…感知系も驚かれるのかな。とはいえ、もう馴れた。とりあえず話を進めよう。


「何者かはまだ不明ですが、襲撃してきた数名の処理はどうしましょうか?捕縛して連れて来たほうがよろしいですか?王よ。」


ふむ?と考え事を始める王。とりあえず結論を待つが一人の男が入ってきた。


「…瞬間移動の能力者…またはその魔法を使える者か?…まぁどちらでもいいが、まさかお前一人でここの全員に勝てると思ってるのかな?だとするなら舐め過ぎだな。」


…なるほど、これは厳しいな。敵を見極めないと下手すれば僕どころか王の零珠すらやられてしまうかもしれない。さて、どう戦うか困ったな…。


「ふんっ!俺一人でお前等なんてイチコロだぜ?お前等こそ俺を舐めるなよっ!」


「あー、一人でなんて言ってる割にここに仲間が居るのはなぜですかねぇ?」


王以外の全員が俺を見る。数名がすぐ目を離した…この数名が間者だろうな。とりあえず、こういうのはさっさと分けるに限る。


「さて、やるか。【並列分身】…散れ」


「おい!なんだその出鱈目な並列分身は!?使い手が数人しか居ない上に、最大3人に分身するのが限界のはずだ…お前はそれを6人だと!?…だが、6人分ということはかなり消耗しているはずだ。数には驚いたがよく考えれば逆に倒しやすくなったということだ。使い方を間違えたな、お前は。」


まぁ、この魔法について知識があるならそう考えるだろうな。だが、こっからが僕の本領だからな。能力開放…ここからだ。


「なんだ…急速に力が抜けてく…?」

「俺もだ…うっ…動けない…」

「これは…なんだ…何が起こって…」


反応は様々だが、やはり力が抜けることに驚きが隠せないみたいだな。


「これは、俺の能力でな。相手を弱体化させる能力なのさ、今回は簡単にあんたらの体力を弱らせてもらった。これじゃあ消耗してる俺でも簡単に倒せるからな。とはいえ油断はしないよ。やられたくないからな。」


流石に自分のほんとの能力を教える訳にはいかないから、今起こってる事象を能力として言った訳なんだが、信憑性は見ての通り。すっかり信じてもらえたようだ。


「じゃあ、このまま動けなくなるまで弱体化させようかな。それでいいですよね、王?」


構わんと一言告げ、その場から去る王。これからの準備だろうな。まぁ、僕はこいつ等から力を吸い上げるだけだからな。並列分身にも力を分けないと簡単にはやられないだろうが、多少キツイだろうな。


「さてと、じゃあどんどん弱らせようか。」


こいつ等の力は今から保って三分ってところかな。なら、ニ分で動けくなるはずだ。それまでは油断せずに力を奪い取っていこうか。

奪い取った後は多分、拷問か何かにかけられるのかな?それなら、とっておきの魔法覚えたから拷問も僕が担当させてもらおうかな?

決めるのは零珠だし、その時まで待つか。



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