第三話 入国
少女に力を返した後、死の国についての説明を受けた。ここにはやはり死んだ人達が来ているらしい。死んだ人達は意識がない時に死の国で住む場所を決められるみたいだ。
驚くことに、死の国には別の世界線の死者も集まっているらしい。しかし、別の世界線の自分と鉢合うことは無く、別世界線の自分は他の地区で暮らすらしい。
別世界線の死者も居ることにより、科学技術等も僕がいた世界線より高度化しているみたいだ。別世界線の格差のせいで差別が起こったりもしているようだが、比較的安全みたいだ。この国では特殊能力以外にも異能や魔法等も使えるらしい。特殊能力は個人が使えるスキルなのに対して異能は悪魔や神など特殊な存在と同化して使えるスキルみたいだ。
魔法は四属性を基本とし、特殊魔法二属性、更に属性の無い魔法、無属性がある。他にも召喚魔法があるみたいだが、これは素質に左右されるらしい。
「大体こんなものだけど、他に気になることとかあるかな?葛之葉未来君。」
国については分かったがルールみたいなのはあるのだろうか?無いのに治安が良いということはないはずだ。
「なるほど、ルール…つまり法律だね。」
法律、ここでも通用するんだな。
今気にしても仕方ないか、僕の居た世界線みたいに多くて覚えづらいのか…?
「ここの法律は3つ、
1,目的に応じた場所で物事を行うこと。
2,街を破壊しない、した場合は国外追放。
3,禁忌は許可の無い限り使用しない。
これだけ。少ない代わりに破ったときの代償は大きいからちゃんと守ることお願いね。」
…なるほど、簡単だな。しかし、禁忌とはなんだろうか?大規模魔法か何かか?まぁ、使うことはないだろうから大丈夫だろう。
「そうね、禁忌は高等禁術魔法だから高等魔法の使い手数人でやっと一回使えるくらいよ。使い手の人数が多ければ多い程威力もあがるし、範囲も広くなる。こんなのを一人で使えるようになったら、冗談抜きで軍隊潰せるわよ。使える人なんて居ないけど。」
恐ろしい魔法のようだな。…多分、俺のスキルにあるメギドラオン…こいつはもしかすると禁忌なんじゃ…?
「えっと…未来君?今メギドラオンとかなんとか考えてたよね…?何かの冗談だよね?」
この焦りよう…やはりこれは禁忌らしい。
使う前に知ることが出来て良かった、のだが愛夏がとても青褪めてる…少し休憩をとる必要が出来たな。幸いな事に、番人がすぐそこに居るので頼めば番人の休憩室を借りられるだろうな。聞いてみよう。
「あのーすみません、少しこの子の体調が優れないようなので、何処か休める場所はないでしょうか…?少しでいいのですが…。」
番人に聞いてみた。すると快く休憩室を貸してくれた。優しい番人で良かった。
とりあえず、様子を見るしかないな。
「すみません。とはいえ流石に禁忌を一人で使えないと思っていたのに使える人が隣に居るんですもん…青褪めないはずがないです。
とりあえず、緊急時でも使わないようにしてください。もし使うときは、私の指示に従って下さい。いいですね?」
なるほど、つまりよっぽど大変な時以外は使えず、使う時も愛夏の指示を待つ必要があると言うことか。
「分かった。心に留めておくよ。」
そうしてくださいと愛夏が返す。ふと思ったが、愛夏は少女のようで大人のような雰囲気もある。多分、悪魔だから僕より遥か歳上なのだろう。とはいえ、流石に女性に年齢聞くのはなぁ…。ちょっと僕には無理だな。
「ふふ、それが賢明だと思いますよ。」
可愛らしいというより、妖艶な笑みだった。
とても美しく見えた。少しドキッとしたが、それだけで特に何もなかった。
「さて、そろそろ国に入りましょうか。」
番人の休憩室を後にし、僕は死の国へと足を踏み入れた。ここから、この国初めての大厄祭が始まるとも知らずに…。
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