第二話 決着

 僕の力は略奪と譲渡、これで相手の力を削ぎながら自分や味方を強化、強力な力だ。

さて、あの少女でこの力を試そうと思う。


「あれ?来ないの?なら私から行くね!」


…さっきより遅くなった?いや、力を手に入れたおかげで反応速度も上がって動きについていけるようになったのか!これは有り難い、これなら剣で受け切れる。


「…遅くなったか?」


少女は驚いた顔をして、距離を取る。

それはそうだろう、先の一撃は反応出来ず偶然躱したのだから。しかし今回のはちゃんと見て、剣で受けたのだ。驚くな、と言う方が無理だろう。


「まさか、こんなに早く能力を開花させるとはね…驚きを隠せないわ…。」


なんだバレちゃったのか、もう少し隠せるかなと思ってたんだけどな。バレたならバレたでいいんだけど。


「やっぱり見抜かれちゃうかぁ…もう少し隠せるかと思ってたんだけど。流石に分析系の能力から隠せる訳もないか。」


少女は更に驚いたような顔をする。

まさか自分の能力系統を当てられるとは思わなかったのだろう。これは俺の予測でカマをかけただけだったんだが、外れてなかったみたいだね。


「葛之葉君、まさかここまでとは思わなかったよ…順応性にしろ、能力開花のスピードにしろ、こちらの予想を遥かに上回る。」


まさかのべた褒め、何かありそうで怖い。

油断させて攻撃とか笑えないので、警戒は怠らない。


「褒めてくれるのは有り難いのですが、まだ勝負がついてないので感想は後程。さぁ、続きをしましょう?」


少女はそうねと一言返し、また先程のように襲い掛かった。それを躱し蹴りを一発喰らわせる、が大したダメージにはなってない。


「今の攻撃は、剣の方が良かったんじゃない?とはいえ、まさか蹴りでこの威力とはね、予想外…。」


おっと、大したダメージになってないと思ったのは間違いだったらしい。次は能力を使ってみようか。イメージすればそのスキルを使えるのか、スキル名を言うとかじゃなくてよかった。


「剣で攻撃するより、蹴りのほうが次の動きに繋ぎやすいと思ってるんだ。とはいえ、今のは確かに剣で攻撃するべきだったと少し反省しているよ。戦いじゃそういう判断ミスが命取りだからね。」


と、話しながらスキルを使うとだんだん少女の顔が険しくなってきた。


「どんどん…力が抜けるっ…なん…で…。」


とうとう少女は倒れた。僕は倒れた少女に近づき、説明をする。


「これが僕の能力。効果は今君が体験してるね、僕は君の力を奪って僕のものにしている。君の力が抜けていくのはそのせい。」


実力を測るなんていいながら殺そうとしたお返しで力を全て吸い尽くそうと思ったが、流石にそれは後味悪いのでやめた。


「君の負けということでいいなら、君から奪い取った力を返そう。認めないならこのまま吸い続けてほんとに瀕死まで追い込むよ?」


少女にもう力は無く、負けを認めた。

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