プロット(最終バージョン)第二章の前半

■第二章

■香芝催眠2

授業中。

現在の催眠能力で、うまいこと香芝さんにエロいことができないか……と考える。

明久(なんかキスとかしたいよな。めちゃくちゃアモーレ貯まりそうだし)

イプ「関係性を強めておらん限り、お主は命を落とすじゃろうな」

明久(危険すぎるだろ……)

イプ「キスよりも前に、もっと普通にすべきことがあるじゃろ」

明久(なるほど。足の指を舐めるとかだな?)

イプ「お主は冗談で言っておるのか、それとも真面目に言っておるのか……」

もちろん冗談だ。

今度は真剣に答えよう。

うーむ。

明久(……手の指を舐めるとかだろ?)

イプ「なにも変わっとらんわ!」

明久(いや、足の指を舐めるのはアブノーマルだけど、手の指を舐めるのはノーマルだ)

イプ「どちらもアブノーマルじゃ! お主には、今後一切、ノーマルについて語る資格はない!」

資格を奪われてしまった……。

明久(とりあえず、俺からさわらなければなんとかなるわけだ)

イプ「まあ、そうかもしれんのぅ……」

明久(最強のアモーレの貯め方を思いついたから、見せてやるぜ)

イプ「心配じゃのぅ……」

明久は香芝早織を呼び出した。

場所は屋上へとつづく扉の前にある空間(塔屋、階段室などと呼ぶ)。

そこは少しほこりっぽい。

いまは使われていない、型の古い椅子や机が積まれている。

早織「えっと、こんなところに呼び出して、なんの話?」

明久「この指輪を見てくれ……」

いつも通り催眠に成功する。

明久は、置いてあった木製の椅子に腰を降ろす。

明久「これから俺は椅子だ。そういうわけで、さあ! 座るんだ!」

明久の命令をきいて、早織は膝の上に座ってくる。

隣でイプノスが呆れたような顔をしていた。

早織は明久のことを椅子と認識し、明久の膝の上に座る。

明久「……さすがに軽くはないな。ずっしり感がある」

イプ「女子にそれを言うのは禁句じゃ」

明久「しかし、やわらかいなぁ。俺、次生まれてくるときは椅子にするわ」

イプ「次に生まれるも何も、世界が滅んだら転生先がないのじゃが……」

それもそうか。なかなかシビアな話である。

明久「なあ、これは俺からさわってるわけじゃないから、急性アモーレ中毒にはならないんだよな?」

イプ「理論的にはそうじゃが……。しかし、大してアモーレが貯まっておらんぞ。前にも言ったように、アモーレというのは、人間同士のふれあいによって、心と心が通じ合ったときに生まれるもので……お? 急にアモーレの量が?」

明久「俺の息子がやや硬くなりつつあるんだが、これは急性アモーレ中毒になるだろうか?」

イプ「なるわ! たわけ! 何勃起しとるんじゃ!」

明久「いやいや、するだろ。普通に。思春期の健全な男子高校生舐めんな。やわらかいし、めっちゃ良い匂いするんだぞ。勃起するわ。しまくりだわ」

イプ「お主の精神が不安定になると、アモーレの許容量が落ちる! はよ欲望を鎮めんか! お主の母殿の裸でも想像せい!」

明久「いや、うち、母さん死んでるからな」

イプ「……そうじゃったな。それはすまん」

明久「あと、母さんすげー美人だったしな。むしろ興奮するぜ」

イプ「するな!」

と言っているうちに勃起が収まらない。

早織が立ち上がる。どうやら催眠が解除されたらしい。

イプ「まずい……。お主の勃起のせいで、香芝は尻をさわられたと認識したようじゃな」

明久「平手だろ? わかってるって!」

明久(たしか、前は右手で叩かれたな……)

早織の右手の平手打ちを予期して構える明久。

しかし、そのとき急激な頭痛が襲ってくる。急性アモーレ中毒だ。

明久「うっ……」(と怯む)

イプ「いかん。やはり急性アモーレ中毒になったか。踏ん張れ! 耐えるのじゃ!」

早織の平手打ちをまともに喰らい、明久はそのまま階段を転げ落ちてしまう。

催眠が解除される。

早織「あれ? 浅見くん? いま、お尻をさわられたような……」

イプ「さっきの出来事は夢じゃ」とイプノスが事後処理をしてくれる。

明久「頭……痛い……」

早織「大丈夫? とりあえず、保健室行く?」

香芝早織に支えられたまま、保健室へ向かう明久。

イプ「こうやって肩を借りているときが、もっとも良い感じにアモーレが貯まっておるのぅ……」

明久(そういう作戦だぜ)

イプ「嘘をつくでない!」


■保健室 幼馴染み、西條月乃催眠1

保健室のベッドで寝ていると、西條月乃がやって来る。

明久「……なんだよ」

月乃「倒れたってきいたから」

明久「看病しに来てくれたのか?」

月乃「べつに。違うし。そういうわけじゃないけど。一緒に帰ってあげても良いっていうか」

一緒に帰ることになる二人。

明久「こういう風に二人で帰るのって久しぶりだよな」

月乃「……まあね」

会話がつづかない。気まずい空気がつづく。

イプ「催眠術を使ったらどうじゃ」

明久(うーん。どうするか……。

さすがに急性アモーレ中毒は勘弁して欲しいから、ひとまず、手を繋いでおくか……)

月乃に催眠術をかける。

明久「月乃、手を繋ごう。あと、今日は、昔みたいに素直になってくれ」

明久が、おずおずと手を差し出すと、月乃がゆっくり握ってくれた。

二人、無言で歩いていく。


イプ「良い感じにアモーレが貯まっておるぞ! その調子じゃ!

つきあいたてのカップルの初々しい感じが出ており素晴らしいのう!」

明久(恥ずかしいから黙っててくれ……)

月乃の手を握るのは久しぶりのことだった。

明久(しかし、もうちょいなんか刺激がほしいな……。なんか変態行為ができないものか……)

イプ「やめんか。また急性アモーレ中毒になるぞ」

明久(大丈夫だ。ぎりぎりのラインを考えるから。

うーん。月乃のスカートのなかに隠れるというのはどうだろうか?)

イプ「どうだろうか、じゃないわい! お主は何を言っとるんじゃ!」

明久「いや、だから、月乃のスカートのなかに隠れて、そのまま家に帰るんだよ。

すると月乃の素晴らしい尻を見ながら帰れるわけだ。どうだ? 素晴らしい発想だろ?」

イプ「恐ろしい発想じゃ。その短いスカートのどこに隠れようというのか……というか、お主、声が出とるぞ」

明久「おっと」

というか。

月乃から意識がそれていたため、催眠が解除されていた。

明久(やべえ!)

明久と月乃は手を繋いだ状態のまま、歩いていく。

明久「あれ?」

月乃「何?」

明久「怒らないのか?」

月乃「なんで怒らないといけないの?」

明久「いや、怒らないなら良いんだが……」

二人は無言で歩いていく。

催眠状態でないのに手を繋いでいる、というのは不思議な感覚だった。

明久「なんか、懐かしいな」

月乃「懐かしい?」

明久「小さな頃、こうやって遊びに行ってただろ」

近所の公園へ行くときは、いつも明久が月乃の手を引っ張っていた。

月乃「手、大きくなったね」

明久「お前もな。胸はあんまり育ってないが……いてえ!」

足にローキックを食らう明久。平手より痛い……。

月乃「それ以上言ったら怒るよ?」

明久「まだ怒ってないのに蹴ったのかよ……」

柔らかい手。すべすべしている。

手を握っているだけなのに、なぜか幸せな気持ちになれた。

しかし、月乃には彼氏がいるのだ。

本来は、自分ではない、誰かがこの手を握っている……。

そう考えると、少し辛いものがあった。

月乃「あのさ」

明久「なんだよ」

月乃「いままでも、これからも……。わたしたちがおばあちゃんとおじいちゃんになっても、こういう風に歩けたらさ。良いよね」

明久「……ああ」

しかし、月乃には彼氏がいるのだ。そのことを考えると胸が痛くなる。

イプ「まあお主が頑張らないと、地球はまもなく滅ぶ。老人にはなれんがの」

明久(さらっと言うなよ……)

別れ際。

月乃「明日、久しぶりに、朝、起こしに行ってあげよっか」

明久「お、おう」

月乃「じゃあね」

と言って、月乃は去っていく。


■巨大赤竜の襲来1

深夜、イプノスに叩き起こされる明久。

カーテンを開けてみると、空が割れ、赤く染まっていた。

その隙間から、一瞬だけ赤い巨大な竜の姿が見える。

イプ「まだ本格的な侵攻ではないようじゃが……放置すると世界中で火事などの災害が起きかねん」

明久「どうすりゃ良いんだ?」

イプ「変身して戦うのじゃ。アモーレは、香芝や西條から得られたが、まだ少々心もとないのう……」

明久「そうか。頑張ってくれ。俺は寝る」

イプ「何を言っておるんじゃ? お主が戦うのじゃぞ?」

明久「マジかよ。きいてねえよ。アモーレを貯める協力をしろってだけじゃなかったのか?」

イプ「言っておらんかったかの? えへへ」

明久「えへへじゃねえよ! わざとだろ!」

イプ「ま、契約したからにはしっかり頼むぞ」

明久「……まあ良いよ。世界を救わないといけないんだよな。危なくないだろうな?」

イプ「危なくないわけないじゃろ。地球を滅ぼすほどの力を持っておるんじゃぞ」

明久「本当に大丈夫なのかよ……」

イプ「ひとまず、今日は本格的に戦うつもりはない。時間をかけてアモーレを集めたほうが得策じゃ。そういうわけで、今日は先制攻撃をして、封印をする程度じゃ。危険はない」

明久「なら良いけどさ」

イプ「しかし、アモーレの量が不安じゃ。手っ取り早く貯めるには……」

明久「仕方ねえな」明久はイプノスを持ち上げた。「するか。キス」

イプ「嫌じゃ! そもそも妾とお主は契約を交わしておるから、何をしてもアモーレが貯まらん!」

明久「そうなのか。じゃあ、イプノスの胸とかさわっても大丈夫なわけだな?」

イプ「大丈夫なわけあるか! 無意味じゃ! ひとまず、妹御を抱きしめるなどして、少しでもアモーレを貯めてくるのじゃ」

明久「わかった。ちょっと待ってろ」

明久は急いで妹の部屋へ行った。寝ている芽依を抱きしめ、ついでにキスをし、胸も揉んでおいた。

明久「行ってきたぜ」

イプ「……抱きしめただけにしては、ちょっとアモーレの量が多い気もするのじゃが」

明久「細かいことは気にするな」

イプ「まあ良いか」

イプノスの体が光を発し、小学生高学年程度のサイズに変化を遂げる。

明久「……お前、でかくなれたのか」

イプ「普段は省エネモードなのじゃ。戦闘のときは、さすがにの」

明久の背中から、イプノスと同じように羽が生える。

イプノスの使う魔法によって、宇宙空間まで瞬時に移動する。

そしてイプノスの指示に従って呪文を唱えると、指輪から光線が発される。光が竜をがんじがらめにする。

明久「……やったか?」

イプ「やめんか! それ、絶対にやってないやつじゃろ!」

明久「やってないのか?」

イプ「そもそも、攻撃ではない。あれはしばらく動きを止めておく術じゃ」

明久「なるほどな。時間稼ぎ、か」

翌日は、真夏のように暑かった。

イプノスいわく、巨大赤竜が近づいた影響だという。

イプ「そういうわけで、お主が真面目にアモーレを集めねば本当に世界は滅ぶ。わかったじゃろ?」

明久「ああ……。たしかに、あれが地球に来たらやばいな。今後は真面目にアモーレを集めるよ」

イプ「良い心がけじゃ」

明久「……エロいことをしようとしても、どうせ急性アモーレ中毒でまともに楽しめないしな」

イプ「そっちが本音じゃろ!」

明久「まあな。しかし、関係を深めると言っても、どうすりゃ良いんだ?」

イプ「少しずつ仲良くなって、デートなどをするのが良いと思うがの」

明久「なるほどな」

明久は危機感を強め、真面目にアモーレを貯めることを心に誓う。


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読んでて思いましたが、プロット版のほうが展開が速くて読みやすくないですか?

まあ、小説というよりはシナリオになってしまいますけれど。

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