プロット(最終バージョン) 第一章の1~5

 プロットを漁ってみたところ、5個のバージョンがありました。

 どれもそこまで差がないので、この最終バージョンを載せることにします。

 どうも、このプロットで編集さんから本文を書いても良いよ、と言われたようです(遠い昔の話なので忘れました)。

 そして、恐ろしいことにプロットが3万字あったので、ちょこちょこ分割しながらあげていきます。


 それでは、以下、本当に最終バージョンのプロット。


■催眠術で、世界を救え!


■第一章

■01 キャラ紹介

学校、教室、昼休み。

食堂で昼食を終えた主人公、浅見明久が教室へ戻ってきたところ……。

自分の椅子が、クラスメイトの女子たちに使われていた。

早く自分の席に戻ってゆっくりしたいのだが……。

明久は女子たちに声をかけることができない。

こういうときに、催眠術が使えたら便利だなぁ、なんて思ったりする。

少し見ていたが、退いてくれそうにないので、他で時間を潰すか、と思っていると。

明久の席に座っていた女子生徒、香芝早織が、明久の存在に気づいた。

早織「あ、浅見くん。席使う?」

明久「あ、うん……」

早織「そっか。勝手に借りちゃってごめんね」

机の周囲を占拠していた女子たちが、明久に気をつかって散っていく。

早織「これあげる。いつも、席、借りてるから。そのお礼ってことで」

そう言って、香芝早織はポケットからガムを取りだして、1枚くれた。

明久が自分の椅子に座ると、ほんのりと温かった。女子のぬくもりに少し興奮する。

たまに、香芝さんは明久に話しかけてくれることがある。

ガムをくれるなんて、もしかしたら、好意を持たれているのかもしれない。

明久は、今夜見られる流星群に、勇気を出して、香芝早織を誘ってみようか、と考えた。


帰り際、香芝早織に声をかける明久。

明久「あの、香芝さん、ちょっと良い?」

早織「ん? 何? 浅見くんから話しかけてくれるの、珍しいね」

明久「そうかな」

早織「うん。たまに目があったらそらされたりするから、嫌われてるのかなって。あ、もしかして、そういう話? 嫌いだから近寄るなとか」

明久「それはない」

むしろ、緊張して、ついつい目を逸らしてしまうのだった。

明久「えっと……今晩、流星群が来るってニュース、見た?」

早織「あ、見た見た。スマホに通知来てた」

明久「香芝さんは、その、なんていうか、星って好き?」

早織「いや、全然。まったく。興味ないなぁ。寒いのにさぁ、わざわざ外に出て、ちょっと空が光るだけでしょ? なんの意味があるのって感じ。そう思わない?」

明久「だよな!」

早織「だよねぇ。それで、なんの話?」

明久「……なんでもない。ただの世間話」

早織「そっかぁ。じゃ、また明日ね」

そう言って、香芝早織は手を振って去っていく。


明久は軽くため息をついた。

バス停でバスを待っていると、背後から背中を軽く叩かれる。

そこにいたのは、幼なじみの西條月乃だった。

月乃「だっさ。振られてやんの」

明久「いや、べつに。そういうわけじゃ……」

月乃「星、一緒に見ないかって誘うつもりだったんでしょ」

図星である。月乃とは長い付き合いなので、明久の思考は読まれやすい。

二人でバスに乗る。一緒に帰るのは久々のことだった。

月乃「香芝さんってやさしい人だから、みんなに平等に話しかけるじゃん。だから、あんたみたいなやつに、勘違いされやすいんだよね」

明久「……だよな。やっぱ、脈ないよな」

月乃「ないない。死後一ヶ月経ったくらい脈なし」

死んでいるのに脈があったら、それはそれで怖いが……。

明久「でもさ。さっき、昼休みにガムくれたんだけど」

月乃「それ、みんなに配ってるから。勘違いしてストーカーにならないでよ?」

明久「そっか。そうだよな。わかった。諦めるよ」

月乃「そうそう」

明久「……そういや、今夜、流星群が来るってニュース見た?」

月乃「見たけど」

明久「月乃は、彼氏と星とか見るのか?」

月乃「見るけど。それが?」

明久「いや、なんでもない」

昔のように、一緒に星を見ないか、と提案しようと、一瞬だけ思ったのだった。

月乃には大学生の彼氏がいる。

高校入学当初、月乃が二年生の先輩から告白されたときに

『すでにつきあっている人がいる』と断ったのだ。

明久は、月乃に彼氏がいることを知らなかった。

はっきり言ってショックだった。

明久は、幼なじみの月乃に淡い好意を抱いていた。

明確に好きというわけではなかったが、なんとなく、裏切られた気分になったものだ。

それ以来、明久は月乃と、あまり話さなくなってしまった。

もしも催眠術が使えたら……。

自分の彼女になってほしい、とまでは思わない。

ただ、また昔のように話せたら良いな、と明久は思った。


帰宅して、軽く勉強をしてから夕食の準備をする。

そうしていると、妹の浅見芽依が部活の練習(バスケ部)から帰ってくる。

芽依「お腹減ったぁ」

明久「もうちょい待て。今日はハンバーグだ」

芽依「ハンバーグ大好き! ステーキの次に好き!」

明久「……遠回しにステーキをつくれって言ってるな?」

芽依「明日はステーキだと素敵……」

ステーキが好きすぎる芽依だった。

二人で夕食を食べる。

明久「今夜さ。星、見ないか?」

芽依「うーん。やめとく」

明久「そっか」

芽依「ごめんね。みーちゃんと、ゲームで遊ぶ約束しててさ」

芽依は、たまに友達とオンラインでゲームをして遊んでいる。

星を見るよりも楽しいのだろう。仕方がない……。

芽依「あ、そうそう。もしお願いごとを唱えるなら、お母さんが生き返りますようにってお願いしといてね」

明久「そんな重要な願いは自分で頼めよ!」

芽依「まあ、願いごとなんて叶うわけないし」

明久「……さびしくないか?」

芽依「うーん。もう慣れちゃったかなぁ」

明久「もう四年くらい経つしなぁ。そんなもんだよな」

芽依「……なら良いけど」

芽依は小さく溜息をついた(引きずっているのは明久)。

↑この部分は母の死をジョークにできるくらい、ふたりのなかでは消化できているというエピソードですが

 不要ならば削除でOKです。一応コメディにしてみました。


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↑この部分は母の死を~みたいなのは担当さんに向けてのコメントです。

キャラクターの名前も確定しているし、本文と同一の部分が多いですね。

プロットというか、もはや小説を書いているくらいの勢いです。

これはたぶんプロットにしては書きすぎだと思います。

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■02 イプノスの飛来

自室のベランダに出て、星を眺める。

一応、星を見るためのチェアとテーブルを用意している。

外は寒い。水筒に入れたコーヒーを飲みながら、夜空を見上げる。

明久の家は、やや小高い丘の上にある。星を見るのに絶好のロケーションである。

今夜の流星群は、街でも肉眼で確認できるほどの光を発するらしい。

もしも願いが叶うなら……。

催眠術が使えるようになれば良いのにな、と考える。

そうすれば、くだらない学校生活を変えることができる。

まあ、催眠術などに頼らず、自分の努力で切り開いていけ、という話ではあるが……。

わかっていても、実行は難しい。

赤い星が頭上を流れる。三十分のうちに、二度ほど光っているのを見ることができた。

より一層、赤く光る星。そして、同時に白く光る星が見える。

明久「催眠術が使えますように催眠術が使えますように催眠術が使えますように……」

無駄だとは思いつつも、一応、祈ってみた。

しかし、3回唱え終わっても、まだ流星は輝いていた。

明久(うーん。一応、母の復活も願っておくか。本当に復活したら、超怖いけどな。

……つーか、長く光りすぎじゃね? 近づいてきてね?)

白い光が強さを増し、大きくなっているように思えた。

明久(やばくね?)

やばかった。

徐々に光が強くなり、轟音とともに地面が揺れはじめる。

明久(死ぬかも。やばい。芽依だけでもなんとか……)

もう間に合わない。とりあえず、目をつむり、両腕で頭をガードしていると……。

衝撃音とともに、大きく揺れた。

目を開けてみると、庭から煙が立っていた。

慌てて階下へ降りていくと、風呂場からタオル一枚で出てきた妹の姿があった。

芽依「さっきの何? なんかやばそうな音してなかった? 地震?」

明久「わからんが、なんか庭に落ちたらしい」

芽依「隕石?」

明久「かも」

芽依「大丈夫なの?」

明久「わからん。ちょっと見てくる」

芽依「気をつけてね」


スマホのライトで照らしつつ庭へ出る明久。

煙は庭の隅からあがっていた。

そこにあったのは、白い球形の、卵のようなものだった。

触れても良いものかどうか悩む。もしかしたら熱を持っているかもしれない。

ひとまず、近くにあった木の枝を一本取って、つついてみる。

すると、卵のようなものは割れ、その隙間から光を発しはじめた。

卵のようなものは、ゆっくりと開いていきく。

光とともに現れたのは、天使の姿をした小さな人形だった。

羽が生えており、頭にはわっかがついている。

あまりにもメルヘンチックすぎる。現実味がない。

イプ「我が名はイプノス。眠りを司る者じゃ……」

明久「俺は浅見明久。特に何も司ってはいない者だ」

混乱していたが、とりあえず対抗してみた。

イプノスは浮遊していたが、力なくふらふらと明久の体にぶつかってくる。

小さくて軽い。そして柔らかい。

イプ「すまぬ。手負いでな……」

明久「大丈夫か? 最期に、なんかしてやれることはあるか?」

イプ「勝手に殺そうとするな! まだ死なんわ!」

明久「そっか。じゃあ、見なかったことにして、ここに置き去りにしても大丈夫だな?」

イプ「大丈夫なわけあるか! お主には人の心というものがないのか!」

明久「いや、明らかに人間じゃないお前には言われたくねえよ」

ひとまずイプノスを自室につれて帰る明久。


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イプノスは相変わらず「のじゃロリ」系ですね。

たしかデモンベインのアル・アジフとかをイメージして書いていたのではないでしょうか。

ストーリー的には本文と一緒(一緒じゃないとプロットの意味がないぞ)。

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■03 イプノスから話をきく

イプノスいわく、彼女は眠りを司る神の使いなのだという。

現在、地球は危機に瀕している。

知的生命体の魂を好物とする『火のように赤い竜』

通称、巨大赤竜が地球を狙っているという。

明久「ふーん。へえ……。なるほどな」

イプ「全然信じておらん顔じゃの」

明久「竜とか言われてもなぁ」

イプ「妾のように天使がおるのじゃ。竜くらいおるじゃろ」

明久「お前は、俺が見てる幻覚って可能性もあるしな」

イプノスは近づいてきて、小さな手で明久の手に触れる。

イプ「これでも幻覚かの?」

明久は、すかさずイプノスの小さな小さな胸に触れる。

明久「うむ。小さいが柔らかい。ナイスミニおっぱいだ」

イプ「何をするんじゃ!」と明久の指にかみつく。

明久「いてえ! ……やっぱお前、実在してるんだな」

イプ「しとるわ!」

イプノスの存在を認めることになった明久。

イプノスは現在、巨大赤竜との戦いによってエネルギーを使い果たしており、小さくなっている。

イプノスは指輪の意志に導かれて、この日本へ落ちてきたのだ。

指輪は明久を契約相手として相応しい、と判断しているようだった。

次なる戦いに備えて、エネルギーとして、愛の力、アモーレを貯める必要がある。

そのアモーレを貯めるのに、人間の協力が必要だという。

イプ「さあ! 妾と契約し、一緒に世界を救おうではないか!」

明久「……それって、クーリングオフとかできるのか?」

イプ「無理じゃ」

明久「契約か」

なんだか面倒なことになりそうだった。

イプ「お主が協力せんかったら、地球が滅ぶんじゃぞ」

明久「地球が滅ぶとか言われてもなぁ。実感ないしなぁ」

イプ「仕方ないのぅ。他の適格者を探すかの。契約者は催眠能力が使えるのじゃが……」

明久「ちょっと待て。催眠能力?」

イプ「ああ。契約をしないお主には関係のない話じゃが」

明久「催眠能力って、あの催眠能力か?」

イプ「どの催眠能力かは知らんが、催眠能力じゃ。言っておらんかったが、アモーレとは、男女の交流によって生まれる力なのじゃ。それを手助けするために、指輪に宿る催眠能力が契約者には与えられるのじゃ」

明久(つまりはエロいことをすれば良いわけだな?)

明久「わかった。任せろ。契約しよう」

イプ「変わり身が早すぎるじゃろ!」

明久「さあ契約しよう。いま契約しよう。どうすりゃ良いんだ? お前とキスすれば良いのか?」

明久はイプノスを持ち上げ、その顔に無理矢理キスしようとした。

イプ「やめんか! 口を近づけるな! 食べられそうで怖いわ!」

イプノスがつくりだした指輪を、明久が指にはめるだけで契約は完了するという。

明久は指輪を授かり、催眠能力を手にした。

イプ「この指輪は、念じれば光る。その光を見せることで、対象者を催眠状態へと移行することができるのじゃ。指輪を使って、アモーレを貯める。それがお主の役目じゃ」

明久「オッケー。わかった。早速、世界を救ってやろうぜ」

イプ「いや、明日からで良いじゃろ。もう人間は眠る時間じゃ」

明久「そんなこと言ってて大丈夫なのかよ! 早く世界を救おうぜ!」

いますぐにでも能力を使いたい明久だった。

イプ「すまんが、妾は戦の後で疲れておる。しばしの休息が必要じゃ」

明久「仕方ねえな」

今夜から、早速酒池肉林の日々だと思っていたが……。

まあ良い。

ひとまず、明久は眠ることにした。


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うーん、本文と一緒ですね。

これくらい細かくプロットを書くと、さすがに解像度が高く見えているようです。

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■04 眠れない明久、妹催眠1

イプノスは、ティッシュケースのなかに寝かせることにした。

明久は布団のなかで横になっていたが、眠れない。

催眠能力で何をしようか、と妄想が広がっていく。

この能力さえあれば、なんでもできる……。

しかし、本当に催眠能力なんてあるのだろうか?

イプノスは、俺の見ている幻覚ではないか?

そう考え、明久は不安になりはじめる。

催眠能力が本物なのかどうかが気になる。

明久は、妹である芽依の部屋へ向かった。

妹ならば、たとえ失敗したとしても冗談で話が済むだろう。

芽依は寝る前の読書中だったようで、モコモコしたパジャマを着ていた。

たしか、ジェラートピケとかいうメーカーのものだったか……。

明久「よう」

芽依「どしたの? こんな時間に。なんか用?」

明久「ちょっと、この指輪を見て欲しいんだが……」

芽依「え?」

明久が念じると、指輪は妖しい光を発した。

紫色の光が、まるで炎のように揺らめきはじめる。

その光を見ていた芽依の目は、とろんとする。

明久「おーい」

手を芽依の顔の前で上下に動かしてみるが、反応はない。目は手の動きを追っていない。

芽依は無表情で突っ立っている。

明久「芽依?」

芽依「はい……」

催眠術が成功しているようだ。

いざ命令をするとなると難しい。

妹である。できることには限界がある。さすがに。兄妹だし。

小さな頃からずっと一緒にいる、最愛の妹だ。非道なことはできない。

明久「とりあえず、服の前のジッパーを開けてくれ」

芽依「はい……」

芽依は無表情でルームウェアのジッパーを外す。

中に着ていたのは薄手のインナーシャツだった。

寝る前だというのにブラジャーをつけているらしい。

明久「ほう……。ほほう……」

芽依は無言で立っている。

明久「寝るときにもブラジャーとかつけてるんだな。邪魔じゃないのか?」

芽依「ナイトブラだから」

明久「ほーん」ナイトブラなんてあるのか。「まあいいや。シャツもまくり上げてくれ」

芽依「……わかった」

明久の命令をきいて、芽依はゆっくりとシャツをまくり上げる。

色気のないナイトブラではあるが、これはこれで良いものだった。

いつの間にか成長しているではないか……。

なかなか柔らかそうである。

たとえ妹の胸であろうと、さわってみたくなるのが思春期の男というものだ。

いや、もちろん、妹の胸に欲情しているわけではない。

単なる学術的な興味である。

自分にはない器官を持っている、異性の肉体に関心があるだけだ。

単におっぱいをさわりたいわけではないのだ。いやさわりたいけど。

まだ催眠状態はつづいているようだ。

明久「……胸、さわるぞ?」

芽依「うん」

明久「本当に良いのか?」

芽依「うん、良いよ」

明久「本当にさわるぞ?」

芽依「さっきから、はいって言ってる」

やや言い方にトゲがある気がした。

明久は迷う。

俺の大切なファーストタッチを、妹に捧げても良いものかどうか……。

もっと大事な瞬間があるのではないか。

しかし、世界を救うためには、妹のおっぱいを揉まなければならないのだ。

うーむ。

悲しい話である。世界を救うために、おっぱいを揉まないといけないなんて!

揉みたくないのに!

うーん。しかし、妹だしなぁ……。

悩んだ末、明久は妥協案を思いつく。

明久「……太もも、さわっても良いか?」

芽依「わかった」

芽依は大腿を惜しげもなくさらす。

明久は存分に妹の太ももを堪能したあと、自室へ引き返して幸福な気分のままベッドへ。

最強の能力を手に入れてしまった……。

明久「ふふふ……」

イプ「うるさいのう……」

明久「ぐふふ……」

イプ「早く寝るのじゃ!」

イプノスの催眠能力により、強制的に眠らされる明久だった。


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やはり妹には足だけOKらしい。

ちなみに作品で書いたバージョンによっては、妹だったり義妹だったりします。

ちょこちょこ変えてます。さすがに妹はまずいか、とか。でもまあいっか、とか。

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■05 学校、校舎裏、香芝早織 催眠1

学校生活中、イプノスは明久の肩に乗っている。

まずは催眠をかける練習をすることになった。

作戦会議をするため、明久はイプノスと話ができる場所、渡り廊下へと移動する。

イプ「お主、好きな女子はおらんのか?」

明久「べつにいないけど? それがどうかしたのかよ!」

イプ「大声を出すな。何を照れとるんじゃ」

明久「クラスメイトの香芝さんっていう子が、まあ、ちょっと可愛いなっていうか。いや、べつに好きってわけじゃ全然ないんだけどな」

イプ「なるほど。香芝か。授業中、お主の視線が良く向いておった子じゃな。相当好いとるようじゃの。」

明久「好いてへんで?」なぜか関西弁になってしまった。

そのとき、明久の近くを女子生徒たちが通りかかった。

ひとりで話しているところを見られてしまった。

イプ「言っておらんかったが、妾とお主は念話もできるぞ」

明久「先に言えや!」というか。「俺の考えてること、お前に筒抜けだったりするのか?」

イプ「念話は、相手に伝えたいという意思がない限りは伝わらん。一応、妾とお主は指輪を通じて精神がリンクしておるから、なんとなく感情はわかるがの」

明久「なるほど。俺がどれだけ性的なことを考えていも、イプノスには伝わらないってことだな?」

イプ「エッチなことを考えていることは伝わるがの」

ひとまず、香芝早織を人気のない校舎裏へ呼び出すことになる。

明久「しかし、香芝さんと二人きりになる状況をつくるってのが難しいよな」

イプ「ちょっと声をかけて、一緒に話がしたいと言うだけじゃろ」

明久「お前はなんもわかってないな。それができれば苦労しねえよ。声をかけるとか恥ずかしいだろ」

イプ「うーむ。自意識過剰じゃと思うがのう……。そもそも、催眠をかけてしまえば、話しかけたこと自体をなかったことにもできるがの」

明久「それを先に言えや」

そういうわけで、明久は香芝に手紙を書き、靴箱に入れるという古典的な技を使うことにした。

場所は放課後の校舎裏。人気の少ない場所を選んだのだった。

香芝早織は、来るやいなや

早織「ごめんなさい!」と頭を下げる。「告白だよね? わたし、いま、そういうのは良いかなって」

明久「いや違うし。告白とかじゃないから」

早織「え? そうなんだ? 最近、ずっと見られてるから、浅見くん、わたしのこと好きなのかなって」

明久「好きじゃねえよ! 全然好きとかじゃないから! 香芝さんとアリならアリのほうが好きだし!」

イプ「何と比べとるんじゃ……」

早織「えー。わたし、アリ以下なの? わたしのこと嫌い?」

明久「いや、嫌いではないというか、なんというか……」

早織「冗談だけどさ。それで、何? 話って。誰か好きな人がいるから、告白するの、協力して欲しいとか?」

明久「そういうわけでもないんだが」

早織「わかってるって。浅見くん、西條さんのことが好きなんでしょ?」

西條月乃。隣の家に住む幼馴染みとの仲を、香芝早織は勘違いしているようだ。

明久「は? 月乃? なんで?」

早織「ほら、下の名前で呼んでるし。好きなんでしょ」

明久「違うから。単なる幼馴染みだし。そういうのじゃないって」

早織「顔、赤くなってるぅ」と肘で軽く小突かれる。

明久「いや、月乃には彼氏がいるし……」

早織「あ、そうなんだ。その彼氏を、どうやって殺すか、みたいな相談?」

明久「発想が物騒すぎるからな!」

やべー女だ。

イプ「いつまで漫才やっとるんじゃ。はよせんか」

それもそうだ。催眠能力で、香芝さんを俺の性奴隷にしてやるぜ……。

ふへへ……。

指輪が紫色に光り、催眠に成功する。

イプ「それでは催眠能力について説明するが……」

明久「まず、シャツをまくり上げて、ブラジャーを見せてくれ」


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うーん、このプロットは本文との差異がほとんどありませんね。

ちょこちょこ本文に採用されなかったジョークがあって、作者的にはそこが面白いです。こっちのジョークのほうが良いのでは、なんて思ったりもして……。

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