【最終章 始まりを迎える為の反抗 】02

『それで、要件をざっと説明してくれ』

 電話越しにガサゴソと物音をたてながら父さんに聞かれ

「霧縫さんが君嶋に捕まった。大体捕まってから今は十分過ぎでどうしたらいい」

『本当にざっとだな――えっと――これか!――君嶋、君嶋、これと――う~ん』

 ページを捲る音が忙しなく聞こえてきたと思えば今度は悩んでいる。

『他に君嶋についての情報はあるか?』

「猫マスクをかぶってた。昨日、一昨日の事件の容疑者だ」

『そうか――そうかそうか!』

 自分では早く霧縫さんを探したいと思う反面、引っ越してきたばかりの僕が無理に捜したところで見つけられないのは明白である為、ただ力が入るばかりだった。

『ここだ!ポイントは二つある、八代神社か自宅だ』

「どうして神社?」

『お前から依頼が来る前に俺の方でも二つの事件の仮説を幾つかたてていたんだ。犯人が猫で今までの被害者が鼠と龍、それで思いつくのは十二支ぐらいだ』

「間の十二支はどこにいったのさ」

『そんなの知らねえよ、俺は結果だけ求める主義だ』

 安楽椅子探偵が大雑把なもので――

「そうかいそうかい――ありがとう」

『頑張ってこい、警察にはこっちで連絡しておくから、でへへ』

「感動を返せ」

 こいつ絶対僕の親じゃねえだろ――母さん好きすぎか!

 父さんの気づかいなのかよく分からないその言動で心が軽やかになって頭を冷やす事ができた。

 公園内に停車されていた僕のロードバイクを取りに行き。

「神野!まず自宅へ行くぞ」

「え――うん」

「しっかり掴まってろ!」

 神野を後部座席に座らせてから勢い良くペダルを漕ぎ始める。

 ここから君嶋の住戸までは五分。

「神野!八代神社の場所を調べといてくれ」

「分かった」

 時間が惜しい今、出来ることはしておかないと。

「神野は僕の家から―――を取って来てくれ、僕は君嶋の部屋に行ってくる!神野はそれ取ったら自転車に戻ってろ」

「分かった。大城君も気を付けて」

 マンションに着いてから神野に住戸の鍵を渡して僕は階段で、神野はエレベーターで自身の目的の場所へ急行する。

 君嶋が居るのは僕の家の上の階だが――

「チッ、やっぱ此処じゃないか」

 警官一人がただ呆然と空を見ている姿を見てからすぐに引き返す。

 ならやっぱ神社か――

 先に着いた僕はロードバイクにまたがり、神野が来るのを待つ。

「持って来たよ」

「ありがとう、それと八代神社の場所――って」

 神野からアル物を貰ってポケットにしまい、後部座席に座ってから尋ねると僕の脇腹に腕を回しながらスマホをこちらに見える様にしながら両手で持っていた。。

「――これなら大丈夫」

 スマホに映し出された赤いピンのポイントが八代神社だろう。

 色々とアウトっぽい感じだが今は緊急事態だ。

「行くぞ神野!」

 八代神社までは十分、間に合うのか?いや、間に合ってくれ!

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