ファションショー

家に帰るとファッションショーが始まった。


 静香は新しい服がよほど嬉しかったのか、購入した物を順番に着用しては、響樹達の前を自慢げに歩いた。 シンディが選んだ物はプロポーションを強調させる服が多いのは少し気になるが・・・・・・。

 響樹の隣に勇希が座り、パチパチと手をたたいている。 シンディは自分の選択した洋服を着る静香を見て、コーディネーターのように満足気な面持ちであった。


「お、それ可愛いじゃないか!」響樹は、静香が着てきた服を見て身を乗り出した。 それは、ジーパン生地のオーバーオールであった。白いシャツ、ズボンの裾を少し多めに捲り上げてスポーティーな感じであった。 どちらかというと地味であったが、可愛い感じで静香の内面を強調しているように見えた。


「そ、そうか、響樹はこれが良いか! よし、私もこれが気に入った!」静香は嬉しそうにはにかんだ。この後、暫らくの間、静香はこの服を着続ける事となる。


「んん、私はこんな地味な服選んだ覚え無いのだけど・・・・・・」シンディは訝しげに静香の服を見つめた。 確かに、シンディが選びそうな組み合わせでは無かった。


「シンディが選ぶのは、ちょっとエッチな服が多かったから・・・・・・私が選んだのよ」勇希は静香が脱ぎ捨てた服を拾えあげながら応えた。 確かに、短すぎるミニスカート、チャイナドレス、果てはバニーガールなど、実用性の無い服も沢山紛れていた。


「女は色気が一番よ・・・・・・YOUだって、あんなナイトウェアを買・・・・・・」

「ちょ、ちょっと!」勇希は慌て、シンディの口を塞いだ。 その顔がまた、真っ赤に染まっていた。

 最近、勇希の顔が赤くなる所をよく見かけるので、体の調子が悪いのかと響樹は少し心配になった。


 静香は姿見の前で様々なポージングを試みている。こんなに嬉しそうな彼女は見たことが無かった。

「ところで、さっき嵐子から貰ったペンダントを見せて・・・・・・・」シンディが真剣モードの顔で催促する。


「ああ」言いながら、響樹はポケットの中からペンダントを取り出して、机の上に置いた。 それは銀色の大きなメダルのような形をした飾りがついている。 なにか細工が施しているのかと思い、シンディが色々と調べるが全く解らない。

「本当に、大丈夫なの。 嵐子さんって、響樹君の事を・・・・・・・」勇希は殺伐とした言葉を使う事に躊躇とまどいを感じた。


「そうだな・・・・・・・初めの頃は別にして俺も彼女に敵意を感じないんだ。 俺が甘いのかもしれないけれど」響樹はペンダントを眺めた。 メダル部分に自分の顔が反射して写っていた。響樹は自分の言葉を証明付けるかのようにペンダントを首に下げた。

「響樹、意外と鋭いところがあるわね。そんなに女心が解るのだったら、Me達にも気を配ってくれたら嬉しいんだけどね」シンディは呆れたような顔で呟いた。

「全くだわ・・・・・・」勇希も同調した。


「・・・・・・・?」二人の会話の意味が、響樹には理解出来なかった。


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