ベニーちゃん
勇希が用意した朝食を四人で食べていた。
「紅、貴様の作った朝飯は美味だ。 天晴れだ! 褒めてやるぞ」静香が殿様のような口調で感想を述べた。
「な、なによ、偉そうに!」少し唇を尖らせて、勇希は拗ねた顔を見せた。 ただ、褒められたことには変わりが無いので、少し嬉しそうであった。
「本当ね! 『ベニーちゃん』は、いい奥さんになれそうね」シンディは、勇希の事を『ベニーちゃん』と呼んだ。
勇希の用意した朝食は、ご飯に味噌汁そして卵焼きと焼き魚であった。
「そ、そうかな・・・・・・有難う」勇希は少し照れながら箸をすすめた。
響樹は会話に加わらずに、黙々と食べ続けた。
「ど、どう。 美味しいかな?」響樹の顔を勇希は見つめた。
「めちゃくちゃ、美味しいですよ! こんなに美味しい朝食は初めてかも!」彼は、あまりの感動で喋ることも忘れて食べていたようだ。
「よかった」勇希は華のツボミが開くように微笑んだ。
「む! 飯を作ると、響樹は喜ぶのか? おい、紅、私に飯の作り方を教えろ!」静香は箸を目の前において、真剣な表情で勇希に命令口調で言った。
「な、なによ。偉そうに! だいたい百年も生きていてご飯の作り方も知らないの? あきれるわ」勇希は腕を組みながら、鼻息を荒げた。
「な、なんだと! 侍は飯など作らんのだ! そんなことは女子の仕事だ!」日本刀を握りしめて静香が反論した。
「貴方も、女でしょうが!」
「まあまあ、止めなさい二人とも、ご飯は美味しく食ないと! ねっ響樹」シンディは、響樹の口の周りについた米粒を摘むと自分の口の中に飲み込んだ。
「「あ!」」勇希と静香は同時に声をあげた。
「え? なに?」響樹は二人の声に驚き箸を止めた。
「この鈍感男!」勇希が響樹の胸の辺りを蹴り椅子ごと下に倒れた。
「い、痛い、なんで・・・・・・」次の瞬間、倒れている響樹の顔の横に日本刀が突きたてられていた。
「言っておくが、・・・・・・浮気は許さんぞ!」朝日を浴びて刃が美しく輝いていた。
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