冗談じゃないわ!

マンションの住人達に見つからないように外に出ることにする。


 すでに、昨夜からの騒ぎでマンションに女性が紛れ込んでいることはバレバレであろう。

「行きましょう!」響樹の合図で響樹、勇希、シンディの三人は学校へ向かった。

 シンディは本日より、学校に勤務するそうだ。 さらに、午後からは、引越しがあるらしい。


 響樹は、今晩はあのような騒動から解放されるのかと思うと安堵で少し胸を撫で下ろした。

 ちなみに、静香はマンションで留守番ということになった。

 昨晩交渉して、ひとまずシンディの引越し先に静香も同居することで話がついた。 ただし、条件として静香もアルバイトをする事が決まった。

 静香は始めこそ抵抗したが、宿無しの生活に戻ることは流石に抵抗がある様子で、渋々承諾した。

 仕事探しは、後日勇希に手伝ってもらうことを約束していた。

「ところで、貴方本当に先生・・・・・・出来るの?」勇希が訝しげにシンディを見た。


「Meだって、伊達だてに長い間生きてないわよ。 世界中の言葉はほとんど使えるわ。 あ、それから学校では、二人とも私の事を『シンディ先生』って呼んでね」シンディは誇らしげに胸を張った。その光景を見て勇希の目が強張った。(ま、まさか・・・・・・)

 勇希はいきなり、シンディの腕を掴み道端に引き寄せた。そして耳打ちするように呟く。

「・・・・・・ちょ、ちょっとシンディ・・・・・・先生。 貴方、ブ、ブラつけてないの?」出来るだけ響樹には聞こえないように聞く。


「・・・・・・・?」響樹は二人の行動に唖然としていた。

「うん、私はブラは着けない主義なの。 そのほうが魅力的だし、私達不老不死だから、ボディラインも崩れないのよ。・・・・・・ちょっと、嬉しいでしょう」シンディは両手で大きな胸を持ち上げた。まるでスイカを二つ手にしているようであった。


「へー・・・・・・」一瞬得をしたような気持ちと、目の前の光景に勇希は唖然としていた。

「って・・・・・・駄目よ! 貴方、先生なのでしょう! 上着来なさい、上着!」勇希はシンディが手にしていた上着を奪い取ると、彼女の肩に羽織った。

「面倒臭いわね・・・・・・見せて、減るものでもないのに」言いながらシンディは、上着の前ボタンを指で閉じた。


「まったく・・・・・・冗談じゃないわ!」勇希は呆れ顔で呟いた。

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