資 質
学校の授業が終了した後、響樹と勇希は、昨日、静香と話をした河川の橋の下で彼女達と待ち合わせをしていた。
響樹達が到着すると、静香とシンディは既に到着していた。
「OH! 私のジョージ!」シンディは再び、響樹に抱きつこうとした。 勇希は響樹の体を引き寄せ、静香は日本刀でシンディの動きを制止した。
「なによ、久しぶりにジョージに会えたのに、YOUはまた邪魔する気なの!」シンディは、目を見開く。
「なぜ、貴様が日本にいるのだ! たしかあの時、・・・・・・帰国したはずではなかったのか?」彼女達には、何か経緯があるようであった。
「ああ、日本の学校で英語を教える為にまた来日したの、配属された学校でジョージを見つけたの。 やはり赤い糸で結ばれているのよね、ME達は ・・・・・・その新参者と一緒にしないでよね」シンディは胸を張っていた。張った胸がツンと上を向いて勝ち誇ったようである。
「確か、新任の英語教師が海外から来るって・・・・・・・貴方のことなの?」勇希は驚いた。確か、先日学内の英語力を向上させる為に、外人教師を採用したと噂に聞いていた。 それがこんな色気満開のボンキュウ教師とは想像もしていなかった。
「俺は、この外人さんとも・・・・・・?」響樹は他人事にしか思えなかった。(一体、どれだけの女性に、ちょっかいを出していたのだ・・・・・・・記憶を消す前の俺は・・・・・・)
「だから言っただろう。 お前は節操無しに色々な乙女と接吻を繰り返してきたのだ」静香が呆れ顔で応えた。
まるで、響樹の考えが彼女に聞こえたかのようであった。
その横で勇希が明らかに軽蔑したような視線を送っていた。
「え、え、勇希先輩! ・・・・・・ちょっと・・・・・・」響樹はすがるように勇希の制服を引っ張った。 その手を彼女は払うように弾いた。
「貴様達、妙に親密になった様子だな・・・・・・」静香のこめかみに十字の血管が浮き出ていた。 漫画でよく見る怒った時の表現のようだ。
勇希は顔を真っ赤に染めた。
響樹は勇希がまた怒っていると勘違いして少したじろいだ。
「ジョージは、まだ嵐子に狙われているのね・・・・・・」シンディが口を挟む。
「またって、・・・・・・あの嵐子さんって、ずっと響樹君を・・・・・・?」勇希は目を見開いた。
「そうだ、あの女は、自分の息子を亡くしてから四百年ほど、その男の命を狙ってきた。ただ、その男は不死身だから、・・・・・・殺すことは出来なかった。 何度も死ぬような思いはさせられたとは思うがな」静香がシンディの言葉を補足した。
「その首に赤いチョーカーを巻いているって事は、貴方もジョージとキスしたのね。それでは、貴方も一緒にジョージを守ってもらわないといけないわね」シンディの言葉。
彼女がジョージと呼ぶ言葉に違和感を覚えたが、改めてキスという単語を聞いて恥ずかしくなる。
その様子を見て響樹は更に後ずさりした。
彼は猛烈に勇希が怒っており、今にも上段蹴りを食らわせられると身の危険を感じて震えていた。
「昨日言ったが、嵐子のバックについた組織の力で、その男を殺す方法を見つけたらしいのだ。 その組織は不老不死の解明と、超人開発の仕組みの解明を目的としているそうだ」
響樹と口づけを交わすと、相手は不老不死の力と、超人的な力を手に入れる。
ただ、それは誰でもその力を手に入れる事ができる訳では無く
勇希の目を見て、その
そして、その恋敵は自分達と同じ宿命を背負う事になるのだから・・・・・・。
「そこ!」急にシンディが声をあげた。 彼女の手から何かが飛んでいく、それは勢い良く橋の影に飛んでいく。
それは何かに弾き返された後、彼女の手元に戻ってきた。 シンディが手に握りしめていたものは、ブーメランであった。
「感づかれましたか・・・・・・」人影が舞い降りる。それは緑色の髪をした男であった。端整に整った顔立ち、身長は百八十位。 黒色のスーツを身に纏い、姿勢よく歩いてくる。
男の首には緑色のチョーカーが巻かれていた。
「まさか・・・・・・・」勇希は男を見た後、響樹に視線を移した。
彼女のその目は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます