お泊まり

「はぁ」」もう彼女の口からは、ため息しか出てこない。


「「そうだ・・・・・・」」クレナイは、勇希のかばんの中に手を入れて何かを探している。


「「・・・・・・」」響樹はクレナイの視線と同調して、彼女の鞄の中をボーっと眺めていた。


「「ちょ、ちょと、あまり見ないでよ!」」


「「そんな、無茶な!」」体が同一の為、異なるものを見ることは不可能であった。


「「あった!」」クレナイは鞄の中から、勇希のスマホを取り出した。 クレナイはスマホの画面を操作して、電話をかけた。 少しのコールの後、相手が電話に出た。


「「あっ、お母さん。 あのね、今晩は直美の家に泊まるから・・・・・・・、うん、宿題が一杯あって・・・・・・解っているって、・・・・・・・じゃあね」クレナイは、スマホの電源を切った。


「「泊まるって、まさか・・・・・・俺の家に、泊まるんですか?!」」響樹はクレナイの口を借りて驚きの声を上げた。


「「ちょっと、不動君って馬鹿なの・・・・・・・この状況で、私に何処へ行けっていうのよ」」言いながら、クレナイは別の処に電話を掛ける。 アリバイ工作の為、直美という友達に話を合わせてもらうようにお願いをした。


「「違うわよ・・・・・・お願いよ!」」どうやら、男とお泊りと突っ込まれて誤魔化したようだが、あながち間違いでもない。


「「これで、とり合えず、大丈夫ね・・・・・・・そうだ、食事はどうするの」」勇希は練習後で空腹であることに気がついた。


「「そうですね。一応、冷蔵庫には、食材がありますが・・・・・・」」クレナイは冷蔵庫と収納庫を開ける。


「「なに、これ、・・・・・・買出しに行きましょう」」勇希は響樹の食材を見て呆れた。 賞味期限切れや、インスタント食品しか存在しなかった。


「「えっ、この格好で・・・・・・ですか?」」自分の姿を見ると、およそ普通人とは思えない姿をしていた。


「「そうね・・・・・」」勇希は思案した。


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