第2話 田中、転生
(ん…………)
意識を取り戻した田中は、しばらく動く気力も起きずにぐったりと横たわっていた。
体が重かった。
まるで、全身が泥にでも変化してしまったかのようだ。
今日も平日なので仕事に行かなければならないのだが、上昇志向のない田中としては、自分のアンニュイさの方が仕事よりも優先される。
────そしてそのまま、気だるい
やっと動き出す気になった田中だったが、そこでようやく異常事態に気がついた。
(あれ? おれって確か昨日、チーフの奢りで
病院にでも搬送されたのだろうか。
もしそうなら、堂々と会社を休めてラッキーだ。
などと呑気に考える。
が、しだいに覚醒し始めた脳が「そうではないよ」と
まず、寝床がやけにゴツゴツとしていて、しかも尖った小石みたいなものが突き刺さったりもしてきて、背中が痛い。
まるで、地面に寝かされているような感触だ。
次に、風の流れ、虫や鳥の声、草や木の匂いを
壁に遮られているようには思えない。
つまりここは屋外だ。
そして最後に、一番重要なことだが…………
明らかに、田中は全裸だった。
「
意味もなく英語で叫び、田中は飛び起きた。
その目に飛び込んでくるのは、一面に広がる草や木。
そして────
「な、な、な…………」
────ガリガリに痩せた
「なんじゃこりゃーーーーーーーっ!!?」
田中一郎(26)
第二の生の始まりである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます