100日目

 その日が普段の1日とどう違うのか。


「では、この度は緊急特例と致しましてお通夜はなし、ご遺骨を前に住職様にご供養して頂く、という形になりますが宜しいでしょうか? 」


 絶対にどこかで今日この日にも

 生まれる人がいて。


 そうして去っていく人がいる。


 そんな事、テレビを点ければすぐに気付く、当たり前の事。


 だって時間はずっとずっと

 昔から止まることなく続いているんだから。


 永遠なんてのは言葉でしかない。


 いや、その生物が感じ得れるその生涯という時間が

 ある意味では永遠なのかもしれない。


 弟はもう時間を刻まない。

 もう、アタシやおかあさんおとうさんと共に歳をとらない。


 まるで、本の中の登場人物みたいだ。

 弟を知っている人だけの

 頭の中の登場人物。

 

 ――――――


「とても……残念な事だが……。

 昨日の朝、秦祀が亡くなった。

 ご両親の意向もあって、葬儀にはご家族だけで送られる。

 だが、落ち着いたら先生はご焼香をあげに行こうと思う。一緒に行きたい者はまた後で教えてくれ」


 丁度、来週には期末試験発表で

 月末には夏休みを控えてた。


 とても、暑い日だった。


「それで、その事で今日はこれから緊急の学生集会がある。

 皆、すぐに並んで体育館に向かってくれ」


 なにも考えられない状態なんて初めてだったから。

 私は戸惑ってばかりだった。


 だって。

 だって、彼からは

 昨日も連絡の返事が返ってきてたから。


 心配いらないって。


 夏休みにはまた皆で小説を考えようって。


 本当は気付いてた。

 返事を返してくれてるのは、君じゃないんだって。


 でも、信じてたから。

 その嘘はきっと本当になるって。


 正直、すぐには私はこの現実を受け入れれないと思う。

 大好きなラノベとかみたいに

 続きがどこかにあるんじゃないかと思ってる。


 いつか。

 いつかね?


 君の事、全部受け入れれたら

 君を私の物語に書いていいかな?


 君が生きている世界を

 書いてみたいんだ。


 それが例え、現実の世界とは全く違う。

 異世界だと、しても。


――異世界転生――

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