43日目

「お姉さんはどうして小説を書かれ始めたんですか? 」

 私は、思わず口に入れた駄菓子を吹き出した。

 若いというのは、時に残酷な程自分勝手だ。……1年だけど。


「ねぇ、その解答って『好きだから』以外にあるのかしら? 」

 その娘は眉を顰めて、笑う。

「ないですね。ワンチャン『そこにぺんがあるから』とか? 」

 私は、呆れたように溜息を吐く。

「なにがワンチャンスあるのよ」


 くそ、弟はなにをしている。

 そもそも、なんでこの娘と私は駄菓子屋で弟を待たねばならない?


 それも、これも放課後に互いの家で互いの作品を読み合おうなどとこの小娘が口走ったせいだ。

 そんな事をすれば、私の大切な作品が盗まれてしまうじゃないか。

 いや、それ「ごめんごめんお待たせ」のアイディアを根こそぎ奪う事が真の目的なのではなかろうか? ……可能性は「あれ? 姉ちゃんどした? 」と言えるだろう。


――異世界転生まで

  あと57日――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る