5
「見張りがいるな」
先行していたワシが、曲がり角で立ち止まった。
トウタも追いついて覗くと、そこは広い空間になっていた。
空間の先に、幾つかの通路が伸びている。ワシによれば、地下牢に繋がっているらしい。
見張りの敵は3匹ほど。2足歩行の狼の様なモンスターで、体の大きさは成人男性ほどだ。
「誰か遠距離攻撃できるかい?その隙に、あたいがちゃちゃっとしめてやるよ」
「遠距離なら…一応……」
「よし!なら任せた」
リズは気風よく言うと、突撃体制を整えた。
「俺らも行くぜ!」
「自分だけが活躍したと言われては、たまらないからな」
タカとワシも道具を持ち、走り出す準備をしている。
「行きます……」
トウタは緊張しながら、拳銃を構える。入っているのはユリアも使っていた、爆発する弾丸だ。5発しかないが、ここで使うのは間違っていないだろう。
3人の内一番奥にいる敵に狙いを定め、引き金を引いた。
手の中に軽い反動があった後、弾丸が奔り、モンスター達の足元が爆発した。
「外した……」
弾丸は思ったよりも飛距離が出なかったのか?照準が下を向き過ぎていたのか?分からないが、とにかく的に当たらなかった。
「あたいには、十分な陽動さ!」
弾丸は直接的な被害を生み出さなかったが、相手を混乱させる効果があったらしい。
モンスター達が戸惑っている間に、リズが突っ込んで行った。
「『スタンプ』!!」
スキル発動と共に斧が青く光る。振り下ろされた刃は衝撃波を生み出し、モンスターをリンゴの様に押し潰した。
「俺も行くか、『ストンプ』!!」
スキル発動と共に、ワシの足が光り出す。地面を踏み付けると強烈な反発が発生し、ワシは一歩で魔物の間合いに入った。
「『千影脚』!」
スキルを活かした技とでも言うのだろうか。ワシは連続する蹴りで、モンスターを壁に押し潰していく。
「俺も行くぜ!『投擲』!!」
タカは複数本の短刀を取り出すと、スキルを発動させた。短刀は最後に残っているモンスターに飛翔し、刃を喰い込ませていった。
ガアアアアアア
短刀の突き刺さったモンスターは目に怒りを宿し、タカへと突撃しようとする。
「ほら!止めだ!」
リズは大斧を振り回すと、その勢いでタカとワシの獲物の首を跳ね飛ばした。
「一丁上がり!」
あっという間の出来事だった。3体のモンスターは倒されて、空間が静寂に支配される。
「てめー、人の獲物横取りしてるんじゃねーよ!」
「そんな事より、斧に巻き込まれそうになったんだが」
「あたい達仲間だろ?細かいこと言ってんじゃないよ!」
いや、勝ち誇る3人の声がすぐに静けさを追い払った。
タカとワシは文句を言っているが、リズは笑って取り合おうとしない。
(皆……強いんだね……)
これなら任務は何とかなりそうだと、ほっと胸を撫で下ろした。
トウタは銃を腰に差し、3人へと近づいて行った。
――戦場では、僅かな気の緩みは即座に死に繋がると。
「トウタの兄貴!危ない!!」
「え?」
――トウタに理解しておけと言うのは、酷な話かも知れなかった。
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