とある夏祭り・参
神隠しは、なんの意味があるのか…
そればかりを考えてさらに数日。
結果的には、ここの神社の寺に何かがあると公平は結論ついた。
そして、あの少女も…付いてきたのだ。
セーラ服を着た少女、名は夏希。中学三年生。俺の一つ下の年齢。
この村には住んではいないが、隣町から交通機関を利用してこの場所に来た。
なんでも、謎があればその場所に向かい視察するとか。
そして、夏希は謎の意識不明者と夏祭りがどうも気になり…資料を探して調べたらしい。
それであることが判明した
なんでも、この村に住む住人は十五の数えた歳の子は謎の消失があり、また…その影響もあり神にちゃんとした「祭り」をしないとそうなると思い…「生贄の祀り」っと言うのが百年前にあった。その「生贄の祀り」は効果は百年間とされている。
結果的には、百年間その間は何も無かったとされ、その百年後にあたる今年で「祀り」が解けて目覚める者が居る
それが「暁の晩」という存在である。
詳細は不明だが…なんでもこの村の神様と称され崇められてたと言う。
だが、公平が聞いていた話とはかなり異なる
「暁の晩」と言う存在は、全てを消し去るとんでもなく良い「神様」っと言われ続けていた。
なので、その夏希が言うことが正しければ…この村にある神社に祀られてるはずである。
ゆっくりと公平は、寺の階段を登り…木の扉をスーッと開けた。
そこにあるのは…なにかの石像に貼られてる呪符と、壁に置かれてる「黒い刀」が一本あった。
「……これって」
「うん、多分この石像は…が暁の晩。でも…これだけ呪符が旧いと解けるのは時間の問題ね」
「作り変えられないのか?」
「私は寺主でもないし巫女でもないわ、だけど…その刀は何かしら?」
「それは、村麻紗ね」
そんな声が飛ぶと、公平は後ろを振り向いた
巫女姿の小さな少女、狐の小さな耳ともふもふなしっぽがパタパタとしていた。
「……」
「なによ?」
「いや…小狐だよな…?」
「そうよ?でも名前がないんじゃない、私は白夜。ある程度回復できたから、人型になった」
「……へぇ。ロリ幼女じゃん、可愛い!」
白夜をなでなでする夏希
白夜は、満更でもない顔をしながら「ま、まぁ…今回だけなんだから」っと言い吐いた。
ーーーーー
公平は、黒い刀村麻紗を手にしていた。
そして、結界がある鳥居に立ち刀を抜く。
「はぁぁぁぁぁーーーー!!」っと言いながら結界を真っ二つに切り裂いた。
これで通れる様になった訳だが、夏希と白夜は鳥居からこちら側には来なかった。
「……?」
「念願が叶ったみたいだけど、アンタは取り返しが出来ないことをしたわね」
「へ?」
「死ぬことはないけど、公平君は半分妖で半分が人間になっちゃったんだよ」
「は?まてまて、そんな話聞いてないけど!?」
「その刀は、持てる人と持てない人がいる。いわば適性があるのとないのがいる。実は、夏希に触らせてみたけど、手が弾かれたんだわ」
「え?夏希が…?」
「私もなんかしたかったけど、その武器は私を認めなかったわ」
「だから、あえてあんたに行かせたのよ寺に。それで…あの石の石像を叩きわってみなさい」
公平は再び鳥居の内側へと戻り…寺にある石像の前に立って切り裂いた。
すると、中から勾玉と小さな小刀が出てきた。
勾玉を白夜が手にして、小刀を夏希が手にする。
「夏希…」
「私も公平君と同じよ、最初はあんな感じに出会ったけど…戦わなきゃ行けないの。だから止めないでよ?」
「…あぁ、分かった」
寺の外に出ると、夏祭りらしい雰囲気が、一瞬にしてなくなり。
紅色に染る露店と、月明かりは赤く染っていた。
そして、鳥居の前に…狐お面をした千棘が倒れていた。
「千棘!?」っと声を上げる公平と白夜。
傍まで走り行き、千棘を抱き揺すると…狐お面が外れてカランッと音が鳴る。
その顔を見た瞬間…公平の記憶が蘇る。
それは、まだ幼かった頃である
神社付近で、なにかして一人で遊んでた時の事である。
半透明の存在が、公平を見ていた
外見は白銀の様な髪色と水色の目をした女の人で、それもなにか楽しそうな顔でこちらを見てた。
それからというもの…公平はその子と会うために何日か通い詰めた。
そして、お互いは話とかするようになり
それから数年後、公平が小学生三年の頃だ。
公平は、その子に告白した。
だが、軽く笑われて「おませさんね〜君は」っと言われた
当然何故かショックを受けて気を落としてると、頭を軽く撫でながら「君が大きくなるまで私は待とうかな?」っと答えた。
その意味は幼かった故に分からなかった。
それから数日後、その半透明な子は「もう会えないかも」っといきなり告げられた。
公平は、泣きじゃくったらしいが…半透明の存在がなだめてようやく泣き止んだ。
その時、たまたまポケットにあった黒いビー玉を取り出してその半透明な存在にあげた。
その子は笑いながら手に取りそれっきり会わなかった。
まるで記憶を無くしたようにーーー。
何故半透明の存在が会えないと言った理由は
除霊が村の人々がやり始めたからだ。
その当時は、意図もしない怪奇現象が起きていたらしく、人もないのに公平が1人で楽しそうに喋るのを近隣が目撃されていた。
その故に、彼女は…姿を消さなければならなくなった。
公平は、急に思い出した記憶に涙が頬を通り
千棘の頬に落ちる。
「……公平君」
「やっと思い出して…やっと会えたのに…。最初から知っていたんだ千棘は、俺と会えるのを。なのに…こんな話はあんまりだ…!」
「……まだ死んでないわ。だけどこのままじゃ…危ないわ」
「…!どうしたらいい?」
「こうした張本人を倒す以外はないわ。微かなのろいが掛かってるしね」
すると、微かな嫌な気配を感じ取る
後ろを振り向くと、刃がボロボロな刀を肩に乗せる少年の姿ーーー。
「お前は…?」
「へぇ?半分妖か…」
「公平、そいつ鬼だわ」
「お、鬼!?」
「暁の晩の使者、自己回復力も力もずば抜けてる。妖からしたら嫌な相手、でもあんた達2人は…半分半分の力がある。勝てないは無いと思う」
「言ってくれんじゃねぇか?妖如きに負ける鬼はいねぇんだよ!!」
動きは飛躍的に早く、公平を襲う
だが、公平は刀を振り抜き相殺する。
「ぐっ!?」
「……」
「へっ…まぐれだ今の…なぁ!!」
再び飛躍的な速さで公平を狙うような一撃だが…その腕が一瞬にして消し飛ぶ。
鬼は驚き戸惑う。
「う、嘘だろ…半分人間の分際で!!?」
「…ふふっ、彼の体を使うなんて変ね」
「ま、まさか…そのしゃべり方はーーー!?」
「あ、見苦しいけど彼は私の物よ。意識レベルは半分だけど、これぞ
「ふ、ふざけやがってーーー!!!」
「雑魚は墓場に埋葬ね〜」
次の瞬間には、鬼は真っ二つに切られ黒い煙を上げながら消えた。
「よしっと…お面外して記憶蘇るとか、公平も色々あったのね」
刀を鞘に戻すと、夏希を向いてこう言った
「ふぅん?貴方が夏希ね…彼に胸揉まれたんだっけ?」
「そ、そうよ?あなたこそ彼に素を隠すなんて酷いじゃない?」
「酷くないわよ?愛は別な形よ」
「あ、あら〜?それなら私の方が上よね?」
「あー、手に握るにはちょっと足りなかったけど」
「な、な…!!まだ成長期だから大丈夫ですよ、貴方の方こそどうなんですか?デカすぎるわ」
「負け犬の遠吠えかしら?」
「ムキーーー!!うるさい!だいたいなんでこんなやつが好きなのよ!!?」
「えー、可愛いじゃん。素直だし、馬鹿でもあるけどそれがよかったりする」
「な、なんというバカップル!!これだからリア充は嫌なのよ!!」
「負け犬の遠吠えパート2かしら」
「ぐっ!!」
そこへ白夜がこう話し出す。
「にしてもあんた達、顔も性格も似てないかしら?」っと言った瞬間、2人して「似てない(わよ/わ)!!」っ息ぴったりのハモった。
こうして、夏祭りの終息は止めどを知らなかった。
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