第6話
私は勢いよく右手を挙げた。
「すいません、私も放課後用事あるんでそろそろ帰っても良いですか?」
そう言ったら、エイノさんはマスクを取り剣を上にあげた。最初にあいさつしたときにやった動きと同じだ。
「ありがとうございました!!」
私も、同じ言葉を返す。そしてエイノさんは剣を持ってない方の手を差し出してきた。握手しろってことかな?
「右手でしてくださいっす」
つい利き手である左手を出そうとしてしまいコードにぶらさがった剣が揺れて当たりそうになってしまった。
「あ、すいませんつい……」
「気にしなくていいっすよ、先生に無理やり連れてこられていろいろ大変っすね?」
「ええまあ、でも楽しかったですどうもありがとうございました」
会話しながらエイノさんはさりげなくさっき先生に付けられたコードを外してくれた。後は着替えてさっさと
帰るか…と思ったらちょっと気になることを見つけてしまった。エイノさんが持ってた剣、置いてあるのを見るとハンドガンのような形をしている、どこかで見たような…あ、倉庫にあった鍔の小さい剣と同じだ!
「あの……その剣の持ち手の形っていうのは……」
「え?あぁ、これっすか?ぼくのエペの剣は握りやすいようにこういう突起が付いてるっす」
「使う人によって剣の持ち手の形は違うもんなんですか?」
「そっすね、エペは特にいろんなタイプ使う人がいると思うっすよ」
「その人の好みってことですか?」
そうっす、もちろん指導者とか環境にもよると思うっすけど」
そうなのか……まあ私にとってはめちゃくちゃどうでもいいことだけど、よくわからない知識だけを得てその日は学校を後にしたのであった。
逃げるように帰ってきたら疲れてそのまま寝てしまった…今日の強引な入部について親に説明するのはまあ
明日でも良いか……ってか何やってんだろ、わたしは?
やりたいことを続けられなくなって新しいことをしようと思っても結局尻込みしてばかりで…こんなんじゃ
まともな大人になれないかも…まあそれは今考えることでもないか、フェンシングってオリンピックの時ちょっとだけ話題になるやつだったけどあれって種目が分かれてるんだね。体操競技みたいに基本全種目やるってもの
じゃないのかな? それとも陸上競技や水泳は種目によって出る選手が基本分かれてるみたいだけどそんな感じなのかな?
そういうことも聞いとけばよかったなぁ……ってそこまで気にするほどじゃないか、たしかフェンシングには三種目あってフルーレと今日やったエペと……あと一つは何だったかな?教えてもらってただろうか、まあいいやもう眠いし……。
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