第4話

 エイノさんがそう言うと剣先を上に挙げてマスクを付けた。


とりあえずなにもわからないので真似するしかないか……。


「お願いします!」


私もそう言って軽く会釈するとマスクをする、変なにおい……臭い……まあ倉庫で眠ってたんだしそりゃそうか。構えてみる……ってよく考えたら構えもなにも習ってないぞ、相手の見よう見まねで良いのか?でも相手右利きみたいだし左右反対になるとしたらぁ……ええと……


「オンガード!!」


先生がなんかジェスチャーみたいなことしてそう言った。


わけがわからずあたふたしているともう一度さっきよりも大きな声で言った。


「オンガード!!」


だからなんなんだよそれは!? さらにあたふたしているとようやく


「あ、そういえばまだ構え方も何も教えてなかったね」


……今更気づいたのかよ……エイノさんがいったんマスクを外した。


「まず剣を持ってるほうと同じ足を前に出して、相手に向ける。そう、それからもう片方の足は


90度傾けてかかとを付ける、うん、それから靴1足分くらいスタンス取って、剣は相手の顔から胸、相手のガードあたりに向ける、もう片方の手は後ろ、まあバランス崩さない程度に適当にしとく」




適当ってなんだよ?とりあえず軽くひじをまげてボクシングのファイティングポーズを下げたような感じで良いのだろうか……


「まあそんなもんで良いかな、初心者だし。じゃあそれでやってみて、オンガードって言われたらね、そのあとエト・ヴ・プレって言うから、そんでアレって言って手をこうしたら(開いた手を近づけるジェスチャー)好きに突きに行ってね」


なんだか全然よくわからないままなのだが、ハイととりあえず頷いておくことにした。


「それじゃあ本当に今度こそ、オンガード…………プレ・アレ!」


なんか途中聞こえなかったけどとりあえずこれで試合開始ってことだな…さてどうしよう?結局超適当に構えだけ習っただけなのに…相手はこっちが初心者なのをわかってるからか構えてからほとんど動いてこない……やっぱりここは自分から仕掛けなきゃならないのか…とりあえずボクシングのジャブみたいな感じで剣で軽くついてみるか、ちょっと前進しながら剣を前に突き出してみた


「ピーッ!」


「アルトー!」


機械の高い音が響いた。機械のパネルを見るとランプが赤く光っていた。


「ちょっとーエイノだめでしょ、相手は初心者なんだからね?」


「あ、サーセン…」


エイノさんが片手で謝るジェスチャーをして言った。こっちが突かれていたのか?こっちが何やるかで頭がいっぱい(といっても軽く手を伸ばしただけだが)で全然気付かなかった……何が起こったというんだ!?

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