第3話

そんな風に軽く言ってみるとすぐに

「そうと決まればさっさと体験しちゃいましょ、ほらあそこに防具と剣置いてあるから」

またしても強引に手を引っ張られ倉庫へと連行される…まああまり聞かない競技だし部員集めないと大変なんだろうけどさ……


「そういえばあなたの利き手ってどっち?右手」


「いえ、左利きなんですけど…」


「ぎっちょかあ、まあたぶんあったと思うけど……ああこれね!」

そう言って倉庫の奥のほうから剣やマスク、防具やらユニフォームのようなものをおもむろに拾い上げた。

まずはじめに剣に目を向ける…持ってきた剣は横に置いてあるものと比べて鍔のところがとても大きく見える、

そして持ち手部分がまっすぐで長い…鍔の小さい剣はけん銃の取っ手のような形をしてるのに……もしかしてこっちのほうが普通なのだろうか?変わってるのかよくわからないが…とりあえずズボンだけ穿いてみる。


「じゃあまずこれを左手に持ってみて」

剣を渡されると思ったら変なコードの先を持たされてしまった。


「それを持ったままプロテクターとジャケットに袖を通してみて!」


よくわからないけれど言われるがままにやってみると上着の袖と端からコードが出たなんだか間抜けな格好に

なってしまった……

「よし! これでOK、早速ファイティングやってみよう。あ、ついでに一応借用書ってことでここにクラスと名前書いといてくれるかな」


なんか暗くてよくわからなかったのだがとりあえず書くものを書いたら二人で倉庫を出ていくことにした。


「じゃあちょっとエイノー、新入部員の相手してやってー」


練習してる部員らしき人に向かって先生は私を指した。


「いや、私まだ入部するなんて一言も言ってないんですけど…」




「さっき入部届に名前書いたでしょ、もう部員だからねあなたはここの。もう取り消せないから!」


「でもあれ、えっ、防具とかの借用書みたいなもんって言って…」


「あれ?そんなこと言ってたかなぁ」




……見事にはめられてしまったようである……ほかの部に仮入部や見学したときも結構きつい勧誘するところはあったがここでこうもあっさりやられてしまうとは…まあ親に言って学校に事情を話してもらえればなんとでもなるだろう。けれど一応着替えたわけだし、とりあえず体験のつもりでここは先生にしたがっておくとしよう。

面倒だが退部届を出しなおせば問題ないはずである。

「何すか先生、この子の相手すればいいんすか?」


呼ばれてきたのは自分より少し背の高い…6フィート4インチくらいかな、やや筋肉質な豆タンク体型で肌の白い美形の部員のようだった。


「そうよ、まあ軽くやってあげなさいね」


先生はそう言うといつの間にか手に持っていたコードをさっき服に通した私のコードにつなげ始めた。


「これでよし!あとこのコードのこっちの端を剣のそこにハメてみて」




よく見ると剣のところにソケットのようなものがありコードの先の尖った部分と穴の数が同じだ。


こうやってつなぐのかと感心した。




「ガードのところをついてくださいっす」

言われて顔を上げるとすでに準備を終えたエイノという人が何かを待っている。


「あっ、はい……ってはい?」

「こうやるのよぅ!!」


先生が私の剣の先の方を持ってエイノさんの鍔を剣先のボタン部分で押す、横にある機械のパネル部分が


小さく黄色く光ったのが見えた。


「あとは床突いてみてくれる?」


突いてみると今度は大きな緑色のランプが点灯しさっき聞いたモスキート音のような音が出た。


「じゃあ挨拶したらはじめてみて」


「お願いします!」

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