第6話 こんな出会い方なのかよ…(後編)
昼時になり、何処か食べれる所を探していた。するとまたさっきの女性がいた。しかし、何やら様子がおかしかった。
まるで何かを探しているような…
キョロキョロしていた女性はついに俺たちと目が合った。
すると、恐ろしいスピードでこっちに向かって来た。
「や…やっと見つけた!」
俺たちの前まで走ってきた女性は、息切れをしながら言った。
「えっと…俺たちに何かようですか?」
「さっきぶつかってしまったから、そのお詫びでもしようと思って」
「いやいや! 悪いですよそんなの! ぶつかったのはハッキリ言ってコイツですし!」
俺はそう言いおっつーを指した。
「今回は俺が引き起こしたことだから、あんまし気にしないでください」
「そうはいかない。私にもそれなりの非があると思っている」
どうやら、この人は思った以上に
「もう車も呼んでしまったしな」
「・・・車?」
すると、何やら周りにいた人たちがざわめき始めた。
「お、おい…星………あれ」
おっつーは何かを見ると、震えた指でその方向を指した。そして、俺もそれを見て震え上がった。
「あ、あれって………リ…」
俺たちの前に現れたのはリムジンだった。
「すまない、あまり良い車ではないが…」
あまりの驚きに、俺とおっつーは言葉を失った。
「「・・・え?」」
━━━※━━━
結局、俺とおっつーは状況を把握出来ないまま、リムジンに乗ってしまった。
「すまないな、あまり広くなくて」
これで広くないなんて言ったら軽自動車は犬小屋か何かだろうか…
まさか秋葉原にリムジンが来るとは思わなかった。秋葉原にリムジンが通れるほど広い道あんのかと思ってしまう。てかそんなことより、なぜ俺がこんな物に乗っているのかが恐怖でしかない…
「あの~、これからどこへ向かうんですか?」
「ランチの時間だから、何か奢ろうと思っている!」
この調子だと、きっと高級店とかだろう…
「あの~、一ついいですか?」
すると、さっきから一言のも喋っていないおっつーが口を開いた。
「どうしのかな?」
「あの、あなたってもしかして、雨美 麗衣香先輩じゃないですか?」
・・・・・
その時、車のエンジンも止まったんじゃないかと思うくらいシーンと静まり返った。
雨美 麗衣香。俺も知っている名前だ。
確かうちの学校で、とても有名な2年生の先輩である。確か、親が凄いとこの社長だから、かなりのご令嬢だと聞いている。そのため、学校でその名前を知らない人はいない。確か、ファンクラブのような物もあり、ひかりもその一人だったはずだ。しかし、なぜそんなような人が秋葉原なんかに…しかもアニ〇イトに…
ドンドンドンドンッッ!!
すると突然、何かに
強化ガラスなのか全く割れそうにない……じゃなくて!
「お嬢様! お止めくださいっ!」
すると、運転席から執事のような人が顔をだした。
「わ…わた…しは、そそ、そのような名前では、ありま……せんよ?」
いや、動揺を隠せてない。
「はぁ~、バレてしまったものは仕方ない…
そうだ。私が雨美 麗衣香だ」
諦めがついたのか、あっさりと白状した。
「やっぱりそうでしたか。いやー、さっき星とぶつかったとき、顔が見えて、あれ?って思ったんですよ」
「そう言うことか。通りで変顔して、見つめてたわけか…」
「変顔じゃねーし」
「・・・そうだったのか、それは不覚をとったな、君たちにはこの事は内密にしてもらいたい、私がアニ〇イトに行ってたなんてバレたら…」
確かに、麗衣香先輩がアニ〇イトに行ったなんて知れ渡ったら、何が起こるか、わかったもんじゃない………特にファンクラブ。
「別にいいですよ? てか、俺たちと麗衣香先輩が一緒にいたなんて知られたら、それこそまずいですし」
「い、いいのかい?」
「もちろんです。おっつーも賛成だよな?」
「ああ、いいと思うぜ」
「君たち……ありがとう!」
まさか、学校一の有名人に礼を言われる日が来るなんて。
「でも、意外でした。まさかあの雨美先輩がアニ〇イトに行ってるなんて、確か……ライトノベル? でしたっけ? そんなに良いものなんですか?」
「………何?」
その時、やっと俺は気がついた。地雷を踏んだ………と。
「当たり前でしょ!?ライトノベルってのは本の中でも偏見されがちだが、数々の神作品があって!最近ではメジャーになりつつあり、本としてのクオリティも高く!それぞれの作家さんの思いが込められていて、あとがきを見た後なんかは、面白かったり泣けたり。そして忘れてはいけないのがイラストレーターだ。イラストはラノベの中でも一番重要と言っていいくらいだ!どこぞの何谷くんだって「まぁ、大事なのはイラストだから。中身なんてあんまり気にすんなよ」って言うくらいだぞ!?ラノベって言うのは、読むだけでなく、「あ、このイラストし◯びさんだ!」とか「こっちは三◯くろ◯さんだ!」ってのがラノベの良いところでもあるのさ! 君にはわかるかい!?」
「は、はぁ…」
いや、全く理解できん。
「じゃあ、今日はそのライトノベルの作家さんのサインを貰いに言ったんですか?」
「ああ、その通りだ」
「ライトノベル・・・気になるな…」
「興味があるのかいッ!」
またやらかしてしまった…
その後も、ライトノベルについてを永遠に聞かされ。案の定、高級レストランに行ったのだが、色々な意味で休まらなかった。
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