第3話 この先輩面倒くさすぎかよ…
一度、解散となった俺たちは、別々に別れた。先輩は何やら俺に用事があるようだったので、鈴華とおっつーには、先に教室に戻ってもらった。
「それで、俺に用事でも?」
「うん、まず星くんと鈴華くんの関係をもっと知りたいかな」
「なるほど」
隠すこともないので、言われた通り俺と鈴華の事情を説明した。
「なるほどね、流石、星くんと言うべきか…」
話を聞いた先輩は呆れ返っていた。
歩きながらそんな会話をしていると、後ろから誰かが走ってきた。
「いたいた! もぉー星、どこ行ったかと思った…………あれ……麗衣香先輩!?」
すると、そこにひかりがやって来た。先輩を見たとたん、一気にテンションがハイになった。というのも、ひかりも雨美 麗衣香ファンクラブの一人だからだ。
「先輩! 戻って来てたんですか!?」
「ひかりくん、久しぶりだね」
「戻って来てたなら言ってくださいよー!」
やはり麗衣香先輩の前でのひかりは全くの別人だな…
「そう言えば、どうして星と一緒にいるんですか麗衣香先輩?」
「実は星くんに少し用事があってね」
「そうだったんですか、あと星」
「ん? なんだ」
「おっつーと鈴華ちゃんは一緒じゃなかったの?」
「さっきまで一緒だったけど二人には先に教室に戻ってもらった」
「ふーん了解。じゃあ私はこれで。………星、先輩に失礼のないように」
「はいはい」
俺ってそんなに失礼な奴なのかな? 結構気をつけてる方だと思うんだが…
そして、ひかりは先輩に一礼をして去って行った。
「それじゃ、俺たちも行きますか」
━━━※━━━
体育館裏の
「ここなら人も来ないし、ここでいいかい?」
「はい、大丈夫です、いつでもきてください」
「じゃ…じゃあ、遠慮なく…」
すると、先輩は目を閉じた。
そして、先輩の顔が少しずつ俺の顔に近付いてくる。
そして、ついに十センチほどまでの距離に━━━━━
「君はこっちの住人じゃなかったのかッ!?」
「何言ってんのお前?」
うん、こうなること知ってた。俺知ってた。
「だってそうでしょ!? 星くんのような奴が彼女出来るわけないだろ!?」
「アンタ本当に失礼だなッ!? お嬢様はお嬢様らしく綺麗な言葉使え!」
「第一に星くんはこっちの住人でしょ!?」
こっちの住人。翻訳すると、「オタク」だ。
そう、この先輩の裏と言うのは、実は隠れオタクであると言うこと。
隠れの理由は言うまでもないが、お嬢様だけあってそういう類いの趣味はあまり好まれない…てかダメ。しかも先輩にはたくさんのファンがいるから絶対に明かせない。
この実態を知っているのは俺とおっつーだけ。先輩ラブなひかりには教えていない。
「私は君にあんな素敵な世界を教えてあげたんだぞ!?」
「ええ、感謝してます。 俺にラブコメという素晴らしいものを教えてもらって」
「違う!私が教えたのはそんなラブコメじゃない! だからそんな爽やかな笑顔をするな!」
確かにこの先輩のおかげでライトノベルに出会えたことは感謝している。でも、それよいりも大切なものが出来たからな。
すると諦めたのか、俺から離れて壁に頭を密着させ、両手で叩き始めた。
「先輩………壁に罪は無いって知ってましたか?」
そういうと先輩は叩くのをやめ、顔を赤くし頬っぺを膨らませて俺を睨んだ。
・・・かわいい
俺はつい、そんなことを考えてしまった。
「先輩、機嫌なおしてくださいよ」
「・・・じゃあ星くん。今週の土日のどこかで一緒に秋葉原に行かないか」
「土曜日は鈴華とデートなので日曜日でいいですか?」
「星くん…君は私に〇してもらいたいのかい?」
この先輩どんだけ非リアなんだよ…
「あ、そうだ先輩。一ついいですか?」
「ん? なにかな星くん」
「鈴華に先輩のこと話していいですか? 隠すのも面倒ですし」
「いいよ、私だけ聞いておいてこっちは教えないじゃあれだからね」
「ありがとうございます」
「いやいや、どうってことないよ。それより時間も無いし、教室に戻ろうか」
そして、俺と先輩は解散した。
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