第16話 まさかの家出!(後編)

「鈴華ちゃん、待たせてごめんね・・・ってあれ?」


 見てみると、そこには気持ち良さそうに寝ている鈴華ちゃんの姿があった。小動物みたいでとても可愛い。


「疲れたんだろうなーきっと」


 そりゃ疲れるよね、聞いた話によると10日間実家に戻って色々してたらしいし…しかも戻って来てすぐこんなことがあったんだもん。


「に…にしても本当に小動物みたいね…」


 これはヤバい…何がヤバいって、鈴華ちゃんの寝顔を見てると理性が保てなくなりそうなくらい可愛い。星はよく襲わないものだ…見たことないのかな?この寝顔。


「ほっぺた触るだけならいいよねぇ~?」


 私は恐る恐る、鈴華ちゃんのほっぺたに、手を伸ばした。


「ひかり~ご飯出来たわよー」


「・・・ッ!」


 すると、一階からお母さんの声が聞こえた。どうやら夜ご飯が出来たみたいだ。


 別に、悪いことしようとしたわけじゃないのに、なんでこんなテンプレなタイミングで…


 可哀想な気もするけど、仕方なく鈴華ちゃんを起こした。


━━━※━━━


 鈴華ちゃんを起こした後、一階に降りた私たちは食卓に向かった。すると、そこには珍しく机に綺麗に料理が並べられていた。いつもじゃあり得ない光景を見た私は、その凄さに圧倒された。


「・・・んッ! 美味しいです!」


「それは良かったわ、私もこんな可愛い子に美味しいって言ってもらえると嬉しくてよだれが出るわ♪」


「なんでよだれが出るのよ…」


 はぁ、うちの変態には、本当に困ったものだ。でもまあ、アレがいないだけましか…


「この味付け、みりんでまろやかになってますね。でも他のは…?」


「おっ、流石鈴華ちゃん!いいところに、気づくわねー、もしかして鈴華ちゃんも料理するの?」


「はい、まだ半人前ですけど頑張ってます!」


「若いのにすごいわね~ でも、この味付けは私の秘伝だからナイショ」


 何が秘伝だか…こんな味付けは初でしょ。


「そうだ、お母さん」


「ん? 何、ひかり」


「実は少しの間、鈴華ちゃんをここに泊めたいだけどいいかな?」


「もちろんよ! うちにずっといてもかまわないわ!」


 うん、とても予想通りの反応が返ってきた。


「本当にいいんてすか?」


「いいわよ、JKはいつ見ても興奮……じゃなくてワクワクするもの♪」


 今本音が駄々漏だだもれし過ぎてひくんですけど…


 あと、ワクワクもどうかと思う。


「お母さんもこう言ってるんだから大丈夫」


「ありがとうございます…でも、あまり迷惑は掛けさせられないので、なるべく早く帰れるようにします…」


 別に迷惑なんて思ってないのに、鈴華ちゃんらしい。


「ひかり、他にもまだ料理あるから運ぶの手伝って」


「はーい」


 お母さんに呼ばれたので私は、キッチンへと向かった。すると、お母さんが私に手招きをした。


「どうしたのお母さん?」


「鈴華ちゃんって、一体何があったの?」


 なるほど、いつかはその質問もされると思っていた。別に本当のことを言う必要はないだろう。


「家で色々あったらしくて、家出みたいな…」


「なるほどね、わかったわ」


 どうやら納得してもらえたらしい。


━━ガチャン━━


 すると、玄関の扉が開く音がした。


「ヤバッ! すっかり忘れてた!」


 アレがついに来てしまった…鈴華ちゃんを一人にしたら危ない!


「キャーーっ!!」


 すると、鈴華ちゃんの悲鳴が聞こえてきた。


「鈴華ちゃん! 大丈夫ッ!?」


 すると、私が向かった時にはもう遅く、カオスな状況になっていた。


「・・・ッ! ひかり!誰なんだこの可愛い女の子はッ! ひかりの友達か!……可愛いねぇ~♡名前なんていうの~♡」


「あ…あの、ひかりさんこの方は?」


「はぁ、それはうちのお父さん…」


「それとはひどいじゃないかぁ~♡でもひかりは可愛いなぁ~♡」


 ああ、駄目だ…この変態にはついて行けない。


「じゃあ今日は二人ともパパと一緒にお風呂入ろうかぁ~♡」


「とりあえず死ねッ!」


「ぐほッ!」(キラキラ-)


 私はお父さんを止めるために腹部に一発食らわせた。そしてお父さんは虹色のモザイクを吐いて倒れた。


 そのあと、どうにか鈴華ちゃんを守りきり、私の部屋へと避難した。その後お風呂に行き、お父さんが入れないように見張りながら入った。


━━━※━━━


「どう? そのパジャマ、小さくない?」


「はい、大丈夫そうです、ありがとうございます」


「それはよかった~。ごめんね、何も言わなくて。実はうちの親は筋金入りの変態で…それが理由で結婚したらしい……それ以上は聞かないけど」


「あはは…」


 これから少しの間、二人から鈴華ちゃんを守らないといけないなんて…(鬱)


「あ、よく見たらもう九時過ぎてるじゃん…もう寝なきゃ」


「ひかりさんこんなに早く寝るんですか? 偉いですね」


「あの二人変態って結構そういうのにうるさいんだよね、だから早く寝てるって感じ」


「そうなんですか、じゃあ私も疲れましたし寝ましょうか」


 鈴華ちゃんはその後、疲れたのかすぐに眠りについた。私は鈴華ちゃんの寝顔を眺めた、その可愛いさについ微笑ほほえんだ。


「……おやすみ」

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