第10話 これってデートになっちゃうのかよ…
家を出て、学校を通り過ぎ、駅まで行くのに約三十分、そこから電車で五つ離れた駅で降り、さらにそこから徒歩で約十分でようやくショッピングモールに着いた。
「こんなところにこんな大きいショッピングモールがあるんですね」
「まあ、東京に近いから、結構都会感があるんだよな」
「本当に凄いですね。私の実家があるところはひっそりとした町なので、都会に憧れていたんです」
鈴華は目を輝かせはしゃいでいて、こんなに子供っぽい鈴華は初めてみた。とても可愛い。
「・・・でも流星さん、何でわざわざ都外まで来たんですか? 都内の方が近いし都会じゃないですか?」
俺がなぜ、わざわざ東京の外を選んでいるか?理由はもちろん東京は人が多いからに決まってる・・・あとリア充が多いこと。
ちなみに俺たちの家は東京にあり、都会とは少し離れた住宅街にあるが、行こうと思えば、渋谷や秋葉原などに行ける場所だ。
「それじゃあ、まず何から探すか」
ここはかなり大きいショッピングモールなので品揃えは豊富、大体の物は置いてあるはずだ。
「本屋さんがそこにあるので、まずは本を買いましょう・・・あっ、あと今日は、別行動はなしで、一緒に見て回りましょう」
「ああ、その方がいいだろうな」
確かに別行動だと、何かあったときに対処できない可能性があるからな・・・あれ?女子と二人で買い物って、デートじゃね?・・・いや違うか。
「鈴華は普段どんな本を読むんだ?」
「そうですね~、たとえば夏目漱石とかいいですよね、あと時代小説とか」
「現代っ子なのに渋いな・・・ですよね、なんて言われても教科書くらいでしか読んだことないし…」
今の時代、皆スマホやゲームなどデジタル化が進んで行く中で、時代小説を読むJKはなかなか珍しくとても良いことだと思う。だって今の時代は、スマホに『激おこぷんぷん丸』と書こうと、激おこまで入力すると変換に『激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム』と出てくるくらい変化しているのだから。
しかし、これを見つけた時は、マジでビビった。
閑話休題。
だいぶ話がそれてしまった。
「流星さんはあの…ライト、なんとかですよね」
「ライトノベルな」
「そうでした」
「じゃあ、ライトノベル見に行っていいか?」
「それなら私も行きます!」
━━━※━━━
「ライトノベルって鮮やかな色をしてますね」
「確かにそうだな」
たぶん鈴華にとってこの空間は異世界だろう。
「流星さん、ライトノベルの特徴って何ですか?」
「うーん、表紙や途中途中にイラストが描いてあったりすることかな」
「そうなんですか、ちなみにどういうジャンルがあるんですか?」
「色々あるよ、恋愛、ラブコメ、異世界ファンタジー、ホラー、SFとか、まだ色々ある。」
「凄いんですね、ライトノベルって」
「そうだろ、ちなみに俺はラブコメが一番好きだ」
「そ、そうなんですか、意外です」
鈴華はとても驚いた表情で俺を見た。俺がラブコメってそんなに変かよ…
「流星さん、一つ質問なんですけど、イラストってそんなに大切なんですか?」
「・・・ッ!」
俺はそれを聞いたとたん、反射的に答えた。
「当たり前だろ!?イラストはラノベの中でも一番重要と言っていいくらいだ!どこぞの何谷くんだって「まぁ、大事なのはイラストだから。中身なんてあんまり気にすんなよ」って言うくらいだぞ!?ラノベって言うのは、読むだけでなく、「あ、このイラストし◯びさんだ!」とか「こっちは三◯くろ◯さんだ!」ってのが楽しいんだよ!」
「は、はぁ」
「ヤベッ!」
つい言ってしまった、ラノベの話しになると我を忘れてしまうので気をつけてはいたのだが・・・ついつい専門用語も使っちゃったし。
「ご、ごめん!つい熱くなっちゃった!別に怒ってる訳じゃないから!?・・・だから、あの、その・・・」
ど、どうしよう!?なんて言えばいい?折角鈴華と買い物をしに来たのに空気悪くしちまった・・・
「大丈夫ですよ流星さん、私が考えないで言ってしまったからですし。それに、そんなに熱く語れるってことは、ライトノベルが好きな証拠ですので・・・私の方こそすみません。」
俺は鈴華の言葉に、とても申し訳なく思った。でも、それ以上に嬉しかった。
「鈴華は何も悪くない、俺の方こそごめん。 あと━━━━━ありがとう…」
「・・・えっ、 えーと、その、あの・・・じじ時間もありませんし!そろそろ行きましょうか!?」
「あ、ああ…」
なんか誤魔化された気もするが、確かに時間も考えてここは終わりの方がよさそうだ。
「じゃあ、次の店行くか…」
━━━※━━━
「流星さん、本当に大丈夫ですか?」
「あ、ああ、も、もちろん…」
買い物があらかた終わり、俺は荷物持ちとして
「私も持ちますよ、流星さんに任せっぱなしじゃあれですし…」
「いや、全然余裕だから」
「あ、ありがとうございます」
おいおい、そんな顔されたら可愛過ぎて死ぬだろうが。七つあった心臓が一つしかないぞ。
「そ、そろそろお昼ですし、休憩がてらレストランでもいきますか」
確かに良いかもしれん、お腹も空いてきたからな。
「そうするか」
━━━※━━━
「どこにするか?今回は俺の奢りだ」
「良いんですか? ではそこの『ファミリーレストランゲスト』なんてどうですか?」
鈴華はたぶん俺のことを考えてくれてるのだろう。値段が安くて比較的リーズナブルな店を選んだ。
「別に遠慮する必要ないぞ、もっと高くてもいいからな」
「えーと、なら『サイデリア』で」
「なんで安くなってんだよ!?」
まあ、鈴華がそれでいいならいいけど。
「とりあえず入るか…」
「あの…流星さん、あの人って…」
すると鈴華が誰かを見つけたらしく、俺は鈴華が指をさした方を見た。
「確かアイツは・・・取巻 愛奈だったか」
そこにいたのは昨日の海で海の家でバイトしていた、取巻 愛奈だった。
正直関わりたくない。なので店内に逃げようと思ったのだが、目があってしまった。
「流星センパイじゃないですか~、奇遇ですね。あれ、鈴華センパイも一緒ですか?もしかしてデートですか?」
なんでこう言うやつってすぐ馴れ馴れしくしてくるの?怖いんだけど・・・てか、
「んなわけねぇだろ、なあ鈴華」
「そーですねぇー」
あれ?なんで鈴華少し不機嫌なの?
「悪いな、お前の相手はしてやれないから、俺たちはこれで」
「ちょ~と待ってくださいセンパイ、実は私もお昼ごはんがまだでぇ~、よかったら一緒に食べませんかぁ? もちろんセンパイの奢りで!(キャピーン)」
いや、キャピーンじゃねぇよ。
「はぁ…ダメだ。悪いが今日は、お前分のお金は持って来てない」
「えぇー、いいじゃないですかぁー・・・てゆうかもうお前呼ばわりですか!」
いや、お前だって馴れ馴れしかっただろ。
「鈴華センパイはいいですよねぇ?」
「わ、私!? まあ、いいですけど…」
「鈴華センパイがいいって言うならお言葉に甘えて♪」
結局こうなっちまうのか…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます